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注目の研究農学

オウトウの自他識別の機構を探る

掲載日:2016.10.04

助教 松本大生(果樹園芸学)

 「オウトウは2品種の苗木を植えないと実がならない。」この話はオウトウを植えてみようとした人であれば耳にしたことがあると思います。植物は一つの花の中におしべとめしべをもつため、自分の花粉がめしべにつけば簡単に実ができそうに思われがちです。しかしながら、いくつかの植物種ではめしべは自分の花粉を見分けて拒絶することができます。近親交配を防ぐこの機構は自家不和合性と呼ばれており、オウトウやリンゴといった果樹の仲間にも見られます。受粉しても実がなるとはかぎらない、という性質は果樹栽培にとって実に厄介なものです。果樹の自家不和合性に関する研究は国内外で50年以上前から行われており、現在では遺伝子レベルで解明されつつあります。

 オウトウの自家不和合性を担う遺伝子は、めしべで分泌される細胞毒タンパク質(S-RNase)と花粉の中に存在するSFBタンパク質であることがわかっています。オウトウの花粉はめしべの中を伸長している間、めしべから供給される栄養素と一緒にS-RNaseを取り込んでしまいます。SFBは花粉に取り込まれたS-RNaseが他人のタイプか自分と同一タイプであるかを識別し、自分と同一タイプのS-RNaseにのみ毒性を発揮させていると考えられていますが、そのメカニズムは明らかになっていません。私はオウトウの自他識別機構を解明すべく、山形県や京都大学の研究者と連携しながら研究に取り組んでいます。

めしべの中を伸びるオウトウの花粉の画像
めしべの中を伸びるオウトウの花粉

オウトウの自家不和合性機構モデル<br>(SRN:S-RNase,X:未知の無毒化因子)の画像
オウトウの自家不和合性機構モデル
(SRN:S-RNase,X:未知の無毒化因子)

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