掲載日:2018.12.11
体育は、学校教育の教科として確立され、すでに多くの方になじみのあるものとなっているように思います。私たちの体育学も、この制度に足場を置きながら、スポーツをも視野に入れつつ営まれてきており、子どもたちの体力をいかに高められるか、試合でのパフォーマンスをどのようにすれば高められるか、といった実践的な問いが広く共有されているように見えます。しかし体育が、学校教育にこのようなかたちで採用されているということは、それほど当たり前のことではありません。
社会的な制度が確立されるには、それに先立って、人々の願いや理想といった具体的な駆動力となるものがある(あった)はずです。私たちは、それを意識することなく日常を過ごせてしまいますが、私の関心はまさに体育に関してその駆動力を探し当てることにあります。現在私は、過去の文献資料の中にその最初の痕跡を求めています。過去を知るということは、私たちが今を生きるための、また未来を考えていく際の「物差し」となるように思うのです。