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教育における生成系AIの利用について

2023年4月18日 

学生・教職員の皆さんへ

理事(教育、入学試験担当)・副学長 出口 毅

教育における生成系AIの利用について

 急速に進展と普及を見せる、人工知能(AI)を使った生成系AIに対して社会的な関心が大きくなっています。入力した質問にAIが文章を生成して答える対話型のソフト「ChatGPT」が公開されて以来、バージョンの更新とともに生成する文章の質や正確さの飛躍的な向上が話題となっています。すでに試してみたり積極的に使用したりしている方も多いことでしょう。これらを踏まえて、生成系AIの利用に関する留意事項や対応について、次のとおりお知らせします。 

 生成系AIを含む高度AIは、新しいツールとして人間の知的活動を補助し、うまく利用すれば、さまざまな分野で役立つことが期待されています。一方で、収集された膨大なデータの扱いなどがブラックボックスとなっているために、導入への懸念も指摘されています。 

 これまでに指摘されている懸念に基づき、利用の際に留意すべき主な事項は、以下のとおりです。

・出力される情報には、不正確なものや矛盾するものなどが含まれていることがある。
・個人情報等の入力した情報が、意図しないで流出したり漏えいにつながったりする可能性がある。
・生成したものについて、著作権侵害の問題に巻き込まれる可能性がある。
・高度AIの進化により失業者が増加するなどの社会的問題が指摘されているが、それらに対する議論が追いつかず、制度や法律などが整備されていない。

 大学においては、教育への利用について特に注意を払う必要があります。授業時間外などでの利用を禁止することは現実的でなく、また、アカデミアとしてこの問題に関心を持って対処していくことが求められているはずです。現時点で、教育においては、以下のことを参考に上記の懸念に対応してください。

・本学は教育ビジョンで「深く考え実行する力の育成」を掲げており、AIの出力をレポートや学位論文等にそのままコピーして利用することは避けなければならない。課題によっては、不正行為である剽窃と見なされる場合があるので、利用した場合には、利用について明示したり、自分の考えと区別したりするなどの工夫が必要である。
・AI利用が進んでも、客観的で論理的な文章理解や文章生成の能力育成は、大学教育における重要な目標の一つである。学生の皆さんには、自ら学び、自ら考え、考えたことを表現することへの努力を惜しまないでほしい。
・教員においては、指導や評価において、学生に対して利用場面や利用方法を明確に指示・説明したり、課題や評価方法を工夫したりする必要がある。
・利用について授業などで理解を図りながら、学ぶ能力を向上させる必要がある。

 この問題では、教育に限らず大学での諸活動において何が問題でどのように問題に対応するのか、教職員及び学生が深く考え、実際に行動することが重要であると考えます。今後、利用方法や諸課題への対応などについて、国の動向等を参考にしながら、学内で議論する場と機会を設け、必要に応じてお知らせする予定です。