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大橋知征 農学部 食料生命環境学科 1年

派遣先大学 ガジャマダ大学 派遣期間 2020年2月25日~3月9日 

<日本語教室での活動内容>

日本語教室は平日に、1回90分の授業を1日2回行った。月曜日から木曜日は通常の授業を行い、金曜日は日本の文化を紹介した。参加者のレベルに合わせ、初級、中級、上級に分かれて授業を行った。 

初級の授業では主にひらがなやカタカナ、動物や食べ物などの日常生活で使いやすい単語や自己紹介などを教えた。参加者は日本語を学び始めたばかりの方が多く、内容は基本的に英語で伝える必要があった。ひらがなやカタカナは「わ」や「れ」、「シ」や「ツ」など形の似ているものを重点的に教え、その日に教えた文字を私が発音し、それをノートに書いてもらい、書き順の確認などを行った。また日本語での自己紹介を1人ずつ行ってもらった。 

中級では文型やこそあどに加え、旅行や買い物、道案内など実際に起こりうる場面を設定して文章を作る練習をした。基本的には英語で授業を行い、時には日本語で教えることもあった。また助詞の使いわけや「あたたかい」、などの同訓異字ついて質問され、すぐに答えられないものもあり、母国語を説明できないことに少しショックを受けた。 

上級では日本語で授業を行い、自分の好きな音楽や将来の展望、興味があることなど、その日のトピックに合わせて自分の考えを相手に伝える練習を行った。日本語は問題なく話すことができ、自信をもって日本語を話す姿にレベルの高さを感じた。 

文化紹介では書道や折り紙を行った。書道では、自分の名前を習字で書いてもらった。折り紙では鶴や手裏剣を教えたが、恥ずかしながら私より現地学生の方が様々な折り方を知っており、逆に現地学生から指導してもらうことがあった。また日本の着物や法被などを紹介すると、インドネシアの伝統的な服装について教えてくれた。文化紹介を通して、お互いの文化の違いを知ることができ、文化の多様性を感じたと同時に、日本人としてもっと日本の文化を学び、紹介できるようにする必要があると考えた。 

<日本語教室以外での交流活動>

平日は授業を終えると、現地学生が滞在先のホテルに来てくれ、トランプやUNOなどのカードゲームや雑談などをした。日本のアニメや漫画、音楽などへの興味が高い方が多く、年代が近いこともあり会話が弾んだ。また授業の合間や授業後には現地学生と昼食や夕食にも出かけた。インドネシアの食べ物は辛い物が多く、特に初日に食べた辛味調味料のサンバルはかなり刺激的であった。また反対に飲み物は甘いものが多かった。マンゴーやグアバ、シールサックなどのジュースは手軽な価格で飲むことができた。滞在中にはナマズやドリアンなども食べることができ、食文化の違いを感じることができた。また土日にはモスクや歴史博物館、サンビサリなどの観光地やマルオボロ通りやモールにバイクで連れて行ってもらった。また、私はインドネシアについてから3日目で体調を崩してしまい、病院へ連れて行ってもらった。初めての海外病院での受診であったことや新型のウイルスが流行していることもあり、緊張したが、現地学生がやさしく接してくれたため、安心して受診することができた。かなり焦ったが、今思えば貴重な体験ができたと考えている。 

<参加目標の達成度と努力した内容>

今回、私が学生大使に参加した目的は、大きく2つある。1つ目は、日本とは違う文化や現地学生との交流を通して様々な価値観に触れ、自分の考えの幅を広げることであった。この目的は概ね達成できたと考えている。インドネシアは世界最大のムスリム人口をほこる国ということもあり、生活の中に自然と宗教が根づいている面がみられた。豚肉を食べることやお酒を飲むことは禁止されており、礼拝のために1日4回、町のスピーカーからコーランが流れていた。宗教が文化や考え方、生活に溶け込んでいる姿をじかに見ることができた。また信仰の度合いは人によって異なることも印象的であった。日本の生活とは違う面を見ることができ、これらの経験から、文化や考え方は国によって様々であることを体感できた。物事の価値観などについても尊敬できる点もあり、自分に必要な考え方について少し吸収できたと考えている。 

2つ目の目標は国際化について具体的なイメージを持つことであった。大学の学びにおいて国際化について頻繁に聞く機会はあったが、具体的なイメージは自分の中で持てておらず、何となく「きっと重要であるのだろうな」程度に考えていた。しかし私の専攻している農学においてこれから先、海外との関わりがさらに強くなり、影響を受けることは講義を通して学ぶ機会があったため、今回の学生大使に参加し、少しでも具体的なイメージを持ちたいと考えた。この目標の達成度は70%ほどであると考えている。現在のインドネシアは衛生環境やインフラの面で整っていない面があったが、現地の学生はその環境を自分で変えようとしており、今あるチャンスを逃さないために努力する姿や熱意をもって学ぼうとする姿を見ることができた。同世代であるこのような現地学生の姿を通して日々の私の大学生活を反省するとともに、このような学生と国際化によって関わる可能性があることを知り、多くの国との関わりを持つ国際化についてイメージを持つことができたと考える。しかし、農学に対する国際化の知識は満足に得られなかったため自ら知りたいと考えた。 

<学生大使に参加しての感想>

今回、学生大使に参加させていただくにあたり、本当にやり切れるのか不安になった時期もあったが、インドネシアの学生は授業を熱心に受け、常に優しく接してくれた。また拙い英語力しか持ち合わせていなかったにもかかわらず、様々なことについて質問をしてくれ、またインドネシアについてたくさんのことを教えてくれた。国や宗教観が異なったとしても互いの文化を尊重し、親密に過ごした時間はかなり濃い時間であった。そして人間として尊敬でき、目標としたい面をたくさん見ることができた。このような方々と交流を持てたことはこのプログラムに参加して得た、一番の収穫だと考えた。今の自分に足りないものが具体的に分かったとともに、たくさんのこと吸収し少しでも近づきたいと考えた。 

<これからの展望>

今回の派遣を通して、海外には日本とは違う様々な文化や考え方があることを体感できた。しかし拙い自分の英語力から、つい日本語を話せる方と一緒にいることが多く、対話のチャンスをつぶしていたと考えた。今思えばもっと多くの人と対話すべきであったと考えている。そのため、より多くの人と会話をするためにも英語の勉強に力を入れたいと考えた。そして、もっと様々な考え方に触れたと考えた。また海外文化の多様性を知ることができたため、それらについて積極的に知ろうとし、取捨選択しながら考えの幅を広げたいと思った。また今まで失敗を恐れて新しいことに挑戦することができなかったが、現地学生の懸命に勉学に励む姿や今回の派遣を通して、失敗ものちに経験として活きることが分かった。そのため、恐れずに自分の目標に向かって挑戦したいと考えた。

また終わりにあたって、日本で事前に授業準備の相談に乗ってくださったカナウェイ先生、また現地の授業で、至らない点も多かった僕にアドバイスや手助けをしていただいた日本人の皆さん、また授業を真剣に聞いてくださった現地学生の皆さんにこの場を借りて感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。

日本語授業の様子1の画像
日本語授業の様子1

日本語授業の様子2の画像
日本語授業の様子2