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安倍遼河 人文社会科学部 経済・マネジメントコース 2年

派遣先大学:ベトナム国家農業大学

派遣期間:2019年8月28日~9月11日(15日間) 

日本語教室での活動内容

日本語教室は1日に3回あり、午前の部が10時から11時30分、午後の部が15時40分から17時10分、夜の部が18時30分から20時であった。午前と午後は生徒が5人から15人ほどと少ないため山形大学生はどちらか一方のみ参加し、どちらに参加するかは日によって異なるという形式で行った。夜の部は生徒が約25人と多いため山形大学生は全員参加した。

 授業は初級クラスと会話クラス(上級クラス)の2つに分けて行った。日替わりで教えるクラスを変えて、なるべく偏りの無いようにした。現地の大学の先生から授業の主な内容やテーマを決められており、それに従って授業を行った。初級クラスの授業内容は平仮名と片仮名を覚えることであり、授業の流れは以下の順番で進めた。

①      新しく覚える文字の発音練習
②      書き取りの練習
③      新しく覚える文字を含んだ単語の学習
④      簡単な挨拶や会話の練習(時間が余った場合のみ)

授業中は黒板やホワイトボードを使って教えていたが、初級クラスの準備はあまり多くは無く、その日に教える単語を何にするかを考えることくらいであった。しかし、授業では思うように進まないケースが多かった。特に、日本語の発音で苦戦している生徒は多かった。「つ」を「ちゅ」と発音してしまう人、「ざ」と「じゃ」の違いを理解することに苦労する人、「ぴゃ」と「ぴや」の区別が曖昧になってしまう人など、外国人と接しないと分からないような日本語の難しいポイントが多くあった。また、書き順や止め払いができていない人も多かった。私は生徒の間違いに気がついたら正しいものを教えるようにしていたが、何度も何度も注意してしまうと「日本語はめんどくさい」と思われて嫌いになってしまわないかと常に心配しながら授業していた。

会話クラスでは1日ごとに会話のテーマが決められていて、それに沿って会話を進めた。2週間のうち前半は日本の文化の紹介や数字やものの数え方、後半は買い物などの日常生活の中のシチュエーションを想定しての会話を行った。しかし、テーマが与えられていると言っても、話を続けやすいテーマと話を広げられないテーマがあり、テーマの内容が終わってしまったら残りはフリートークの時間である。私はフリートークの時間であってもただの雑談で終わらないように、生徒にとって何か収穫のある時間にして欲しいと考えていた。私は中学の英語の教科書に載っているような基本的な会話を参考にして進めたが、生徒に少し飽きられてしまった。それに対して、他の山形大学生はお互いに自分のふるさとを紹介し合うという内容で会話しており、楽しそうに授業していたことが印象に残っている。

最後に、日本語教室で準備した方が良いと感じた物は、初級クラスは単語を覚えながら平仮名と片仮名を覚える練習帳であり、より適切で実用的な単語を教える時に役に立つからである。また、会話クラスでは日本地図を持っていると役に立った。これは会話に困った時の話題として活用しやすく、日本の地理に詳しくない外国人にとって日本のイメージを掴みやすくさせられる。

 日本語教室以外での交流活動

 私たち山形大学生のお世話をしてくださったのは、現地の大学の日本語学習者で構成されている「日向クラブ」というグループの方々であった。日向クラブのメンバーの中には日本へ留学する予定の人や日本で就職しようとしている人がいて、少し難しい日本語でも通じる場合もあり、生活全般で助けてもらった。

授業のある日の昼食と夕食は日向クラブの方やその他の日本語クラスの生徒とも一緒に食べて、いつも賑やかな食事会となった。また、買いたいものや食べたいものがあったら授業や食事の間に連れていってもらった。休日は大学から離れた場所にある観光名所につれていってもらったが、ベトナムはこの時期は雨季で天候が悪い時が多く、思うようには楽しめなかった点は残念であった。

 感想と展望

 日本では世界共通の言語として英語を学習している人は大勢いるが、ある特定の地域で働くため、一国でしか話されていない言語を本気で学習する人は多くは無い。そのため、日本でしか通じない上に難しいと言われている日本語を、一生懸命に学習している外国人と接することは新鮮であった。私の感覚からすれば、日本でしか話されていない言語よりももっと話者の多い世界的な言語を学習すれば良いのにと思ってしまった。しかし、日本語クラスの生徒になぜ日本語を学習しているのか聞いてみると、彼らのほとんどは何らかの理由で日本のことを好きになり憧れを持って学習していることを知った。

 人口減少や経済の衰退など日本の将来といえば暗いイメージが多いが、周りのアジアの国からすれば日本はまだ優れていることの多い国なのだと感じた。自分の住む国として嬉しく思うと同時に、日本語クラスの生徒に対して、これからも魅力のある国としてあり続けるための責任と使命があると、大げさではあるが一国民として思った。これは実際に海外に行かないと気づけない貴重な発見だと感じた。 

 最近よく「グローバル化」という言葉をよく耳にするが、それについて語る日本人は、日本人が外国をどのように見るかという視点ばかりで語られているように感じる。周りからどのようなイメージを持たれているかについてまで考える人は少ないのではないか。そこで、日本国内の事象について考える時、外国人が日本をどのように捉えて考えているのかをもっと知る必要があると強く思った。これが今回のプログラムで私が最も印象に残ったことであり、学んだことである。

 今後の学習や生活、仕事において、この発見を生かして取り組んでいきたい。そして、この考えを私だけでなく周りの人にも共有していけるように努力したい。

歓迎パーティーでの集合写真の画像
歓迎パーティーでの集合写真

初級クラス(夜の部)の授業風景の画像
初級クラス(夜の部)の授業風景

大学の校舎と広場の画像
大学の校舎と広場

現地の学生とゲストハウス近くの商店街を歩く様子の画像
現地の学生とゲストハウス近くの商店街を歩く様子