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三澤元喜 人文社会科学部 経済・マネジメントコース 2年

派遣先大学:ラトビア大学

派遣期間:2019年8月26日~2019年9月23日 

日本語教室での活動内容

ラトビアに行くに当たって、渡航前のオリエンテーションで配られた資料に参考として記載されていた「みんなの日本語の文型と教案」というサイトのページをコピーし、それを中心に授業を組み立てていこうという目途を付けていた。実際、きちんと教材を設定して持って行ったことで、それを使って基本的な動詞やそれに関連する単語から数え方の単位などに至るまで、幅広いことをシンプルかつ明確に教えられたと思った。だが、先に挙げた教材だけで全てがまとまったわけではなかった。ラトビアの日本語教室では、ビギナークラスとアドバンスクラスの二つがあったが、うちビギナークラスでは上記の教材で事足りていたものの、アドバンスクラスでは日本語の運用に長けている人が多数見受けられ、教材が扱っていた初歩的な内容では十分でないと感じるときが多かった。そのような場合には教材は使わず、日本語で会話をしながら生徒側が誤った文法を使っていたらその都度注意する、というやり方を取っていた。

また、自分は極力生徒に沿った授業を行いたいと考えていた。例え日本語を日々うまく運用できていたとしても、それが日本語を教えることの上手さに直結するわけではない。日本語を教える立場ではあるから精一杯努力はするものの、日本語を教えるプロと比較しては自分の方が劣っているのは自明の理である。では自分ができることは何かと言ったら、堅苦しい勉学を軸とせずに教えられることと、日ごろから感じている日本と日本語の面白さを伝えることだと思った。加えて、主観ではあるが、日本語教室に来ている生徒の方々はみな日本人との会話を楽しみに来ているのだと感じていた。そこで、やはり小難しい知識をマニュアル通りにキッチリ教えていくよりも、相手の興味や知りたいことに合わせての授業を目指した方がいいのではないかという結論に至った。それからは、生徒側が学びたいと思っていることや、自分自身が感じている日本と日本語の興味深い部分を軸に、楽しんでもらうことを前提とした授業を行った。それこそ、多少身近でない漢字や若者特有のスラングなどの、勉学としての日本語学習では扱わないようなものまで取り扱ったが、それで楽しんでもらえていたようであったし、日本語教育のプロでない自分にしかできないことをできたと思っている。 

日本語教室以外での交流活動

 自分たちが宿泊した施設はホステルプリマというところなのだが、そこには様々な国々の人がいた。まず、自分はラトビア人との相部屋であった。かなり不安だったものの、同室のラトビア人は、三時間もかけてラトビアのおすすめの観光地や伝統の料理や祭事について紹介してくれたり、ラトビアで人気の食べ物を買ってきて食べさせてくれたりと、自分にとても優しくしてくれた。

また、ロビーにいると多くの人と自然と交流する機会があった。ウズベキスタン人とともに談笑したり、どこの国の人間かわからない人と地下にあるスポーツ施設で運動したりと、島国の日本ではなかなかできないであろう貴重な経験ばかりであった。

参加目標の達成度と努力した内容

 このプログラムに参加するに当たって自分が目標と掲げていたのは、現地の人とたくさんコミュニケーションを取ることと、物事を多角的にとらえられるようになることだった。前者は自分のできる範囲でやれたと思う。いつも同伴してくれる生徒の方々に積極的に話にいけた。もちろん、いつも楽しく会話できたわけではない。伝えたいことが伝えられないもどかしさや、それを他者と比べてしまったことで更にストレスを感じたこともあった。しかし、そういうストレスを感じたからこそなんとかして話したいと思うようになり、空き時間に英会話の勉強をするなどして自分なりに努力はした。その結果、初めのころに比べるとかなり話せるようになったと実感できた。

後者に関して。そもそも物事を多角的に捉えようと思うことがかなり漠然とした目標であったと今は思う。今回のプログラムを通して自分が多角的に捉えられたもの、つまり違う見方を得られたものは、ストレス、人とのつながり、自信の三つについてだ。これは努力して得たと言うよりかは環境によってもたらされたと言った方が正しい。何にせよ、個人的には後者の目標も十分に達成できたと感じる。 

プログラムに参加した感想

 自分は、せっかく海外に行くいい機会なのだから長い間滞在したいと思い、四週間ラトビアに滞在した。結果として、本当に貴重な経験をできたと思っている。終わった今でこそ多少美化できるが、正直、特に最初の二週間は本当に大変だった。周りの人間が「楽しい」と言っている裏で、自分は苦虫を噛み潰したような表情で日々を送っていた。本当にストレスを感じていたし、案外平気な顔をしている人間たちが信じられなかった。しかし、そういうストレスを一身に受けられたことは何もマイナスなことではないと思っている。むしろ、こんなに稀有な経験をさせてもらえた自分は幸せ者だと思う。思うことがありすぎてここには書ききることができない。もし学生大使に行くかどうか迷っている人がこの文章を読んでいるのなら、是非一度行ってみて、自分がこの文章に書けなかった部分を体験してきてほしい。 

今回の経験による今後の展望

 正直、今回の経験を経て、「将来はこういう仕事に就こう」というような具体的なインスピレーションは湧かなかった。だが、こういう人間になりたい、こういう生活を送りたいというモチベーションは湧いた。具体的に言えば、自分のやるべきことを常に見据えて行動したい、また自信を持って行動したいと思うようになった。ただ、大きな出来事があったからと言って、もちろんそれが今後の人生を変えるきっかけになることはあっても、それだけで人生が変わるわけではないと思う。火のない所に煙は立たないが、その火で炭を起こさなければその煙もすぐに消えてしまう。そういう意味では、今回の経験で得ることができた価値観や考え方をきちんと習慣に落とし込みたいと思う。今回の貴重な経験を無駄にしないためにも、一歩一歩着実に努力していきたい。