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山崎文香 医学部医学科 1年

派遣先大学 ラトビア大学  

派遣期間 2019年9月2日~9月15日 

日本語教室での活動内容

 日本語教室は、ビギナーとアドバンスの2つのクラスに分かれて行った。受講者1人につき1~3人の山大生がついて、各々のレベルや学びたいことに合わせた授業をした。具体的には、ひらがなかるたを用いてその発音や簡単な単語を練習したり、耳や目などの1つの漢字を教えてそれに関連した慣用句を説明したり、受講者が作ってみたい日本食のレシピを日本語のサイトを用いて教えたりした。

 こちらが一方的に説明しているだけでは受講者は疲れてしまうので、雑談をはさんだり多様なアウトプットの機会を定期的に組み込むようにした。さらに、イラストや図を使えば未熟な英語で長々と説明するよりも易々と言いたいことが伝わった。また、ひらがなの「し」や「ち」の発音は、日本人にとっては大差無いもののラトビア人にとっては明確な区別をつけるのが一般的な音が内包され得ることを知り、発音をアルファベット表記で教える方法は利便性が高い一方で注意が必要だと感じた。 

日本語教室以外での交流活動

 授業の後リガの観光名所を案内してもらったり、夕食に連れて行ってもらったりした。そこでラトビアの伝統的な食べ物を食べ、英語と日本語で様々な話をした。その中で彼らのうちの多くが日本語教室に来ている理由は趣味だということを知り、日々仕事や学校がある中で空いた時間を学びにあてる姿勢に尊敬の念を抱くと同時に、他言語とは人間の文化や思想を反映しており異国の人間との縁を結ぶことを可能にする興味深く実用的なものであることに気付かされた。日本語の他にフランス語やロシア語を学んでいる人もおり、ラトビア語も含めて簡単な会話や単語などを逆に教えてもらったりした。休みの日には受講者のひとりの誕生日パーティーに招いてもらいその華やかさに驚いた。ラトビア人はシャイな人が多いと聞いており実際にそのような面を感じることもあったが、だからこそ仲良くなろうとしてくれる様子がとてもありがたく思え、嬉しかった。 

参加目標への達成度と努力した内容

 私にとってのこのプログラムにおける目標は、今まで勉強してきた英語を実際にコミュニケーションの道具として少しでも使い慣らすことと、その上で立場の異なる人と話すことで自分の価値観を洗い出しその至らなさを知り、あたらしい考えやそれに付随する行動様式を得ることだった。結果としてそのどちらもを達成することができたが、その度合いは十分なものではなかった。今考えれば私の目標は有り体に言えばこのプログラムに参加すれば自動的にもたらされる可能性が高いので、それをどの程度手に入れられるかが論点だった。2週間という期間は案外短く、自分にとっての積極性をもってしてもラトビアの方々と一緒に過ごせる時間は限られていた。けれどもできる限り様々なことを英語で話し、相手の言葉をかみ砕き消化していった。また、日本語教室においては学びの進度や目標の違いもさながら担当する人もそのときにならないと分からないため初めの頃は戸惑ったが、誰の担当になっても良いように空いた時間に教えられる内容の引き出しをインターネットを使って増やし、授業中に何をすべきか迷って受講者を待たせてしまう時間を減らすように努力した。けれども、数人で一人の方を教えると遠慮のため授業がもたついてしまうことも多く、日本人とラトビア人の双方に申し訳なかった。考え込み過ぎずに、軽やかな空気をつくれる発言力の必要性を感じた。 

プログラムに参加した感想

 私は今回が二度目の海外渡航だったが、一度目は団体で行動していたため一人で様々な手続きをし海外へ行くことに不安があった。しかしいざやるしかない状況になると、案内を見て従えばなんとかなった。今まで人任せにしていたことを自分でやることで、自分にもできるのだという自信につながった。リガの町並みは優美で協会や美術館などの見所も多く、夏は日本より涼しく日も長く麗らかで、町歩きは心踊るものだった。オペラやバレエは比較的安価に見ることができ、それでいて素晴らしくて感動した。また、始める前は日本語の教え方など五十音の他には想像もつか無かったが、実際に教えていくうちに改善点がみえてきて、実りのあるものとなった際に言われた感謝の言葉はおおきな充足感を与えてくれた。あっという間の2週間であったが、毎日が濃密でありとてもよい経験となったと思う。 

今回の経験による今後の展望

まず、日本語で社交的な会話ができなければ英語では言うまでも無いので、シンプルにコミュニケーション能力を向上させる努力をしていきたい。これは、経験によってのみ培われるものであると思うので、日々の生活の中で話しかける勇気と相手の話を聴く意欲と会話を続ける根気を養っていきたい。

 そして私が今回の滞在で最も印象に残ったことは、ラトビアにおける多言語との距離の近さである。ラトビアには独自のラトビア語があるが、多くの人が英語やロシア語を流暢に話し、たとえ未熟な段階であってもそれらは彼らの日常で当たり前のように使われていた。それはラトビアは地理的に英語やロシア語の通じる国とつながっており、それを使っての交流の機会が多いからであろう。例えば、ロシア語と日本語を勉強中のあるラトビア人は、友達とインスタグラムのコメントでロシア語をカタカナで送り合っていた。このように言語を混ざり合わせて遊ぶことがままある環境に彼らはいるのだと実感した。日本は島国であることもあり、日本語の存在はある意味絶対的であり、現在の私には英語でさえ授業の他に使う機会はほとんど無い。だからこそ、いくら日本人が勤勉であっても流暢な英語を聞き取り喋ることのできる人は多くないのだろう。したがって、私は英語能力を実用的なレベルにするため今後も積極的に今回のような英語を使ったコミュニケーションの経験をつめる機会に参加し、自らの日常に英語を意図的に取り入れるようにしていきたい。