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布川翠 農学部 食料生命環境学科 2年

派遣先大学:ラトビア大学  

派遣期間:令和元年8月28日~9月16日(20日間) 

・日本語教室での活動内容

日本語教室には、様々な年齢やレベル、そしてそれぞれの日本語を学ぶ理由をもった生徒さんがいた。そのため、毎回変わる生徒さんのレベルとニーズに合わせた授業をするということが難しいところであった。私が受け持ったのは、ひらがなから実際に日本で使える簡単な短文、さらには日本のマナーを学びたいという生徒さん方だった。ひらがなの学習は、五十音の授業をしたあとに動物の名前や野菜の名前、天気などの言葉を発音して書いてもらうという方法で進行した。ここでは濁点や拗音と、「は」と「わ」の用法の違いを理解してもらうことに苦労した。短文の学習は、基本的な挨拶から自己紹介、相手のことをたずねる練習を行った。日本のマナーを学びたいという生徒さんは上級のレベルの方で、食事の場面や目上の人に対する礼儀などを教えさせてもらった。上級の生徒さんの持つ日本語の語彙力の高さと学ぶ意欲には驚かされた。私たち日本人が日本語を見直す機会にもなったと感じている。また、折り紙などを授業内に取り入れる工夫をした。日本の文化に楽しく触れて貰えたのではないかと思う。女性の生徒さんは特に日本の柄に興味を持っていて、そういったところに共通したものを感じることができ嬉しかった。

毎回の授業では、自分自身がつたない英語と慣れない進行に不安を持ってしまっていたが、生徒さんは授業を楽しもうと能動的に構えていてくれて、こちらが安心させられた。準備の不足も感じたので、想定できるレベル別の進行方向を考えておくべきだったと思う。また、授業に関することは他の学生大使の山大生との協力があってこそのことなので、皆には本当に感謝をしたい。 

・日本語教室以外での交流活動

日本語教室の授業後には、生徒さん数名がラトビアの様々な店によく連れていってくれた。現地の食や文化について現地の人から聞くことが新鮮で、実際に住んでいる人の目線からの話はすごく楽しかった。ラトビアにはロシアとドイツが混ざったような食文化があり、現地では日本食も人気だった。ラトビアに関することをこちらからたずねると日本語で答えようとしてくれたり、各々のおすすめの場所やラトビアの歴史なども教えてくれて、ラトビア、リガの美しい街の背景にある深いものに興味がわき、もっと知りたいという気持ちが強くなった。また、生徒さん皆さんの私たちへの親切さと熱心さには感動した。 

・参加目標への達成度と努力した内容

プログラムに参加するにあたって、人と文化に触れ、自分の視野を広げることが大きな目標のひとつであった。この達成度はかなり高いものになったと感じる。ここで努力したのは、自分から人や文化に触れようとすることである。学生大使という機会をじゅうぶんに活かして、できる限りのことを見て体験して吸収したいという思いで積極的な行動を意識し生活できた。また、日本と外国を比較し客観視することも目標のひとつであったが、普段の生活がどれだけ贅沢で素晴らしいものか、日本の良さや利便性を再認識することができた。あたりまえにあるライフラインの整い方、物の清潔さと精密さは誇れるものなのだと改めて思った。一方で、ヨーロッパの人たちは日本人よりもっと本能的な豊かさを持った生活をしているように思えた。自分がやりたいことをやりたいように自分らしくやる、自然の植物や動物、虫とともに暮らすなど、それぞれの個性が尊重されつつも自然と社会の一部であることを感じられる、そんな、ならではの素晴らしさも発見することが出来た。 

・プログラムに参加した感想

普段交流する機会が滅多にないラトビア人の生徒さんを始め、学生寮に住む様々な国の人たちと滞在中毎日交流ができたことは非常に貴重な経験となったと思う。このような近い距離で共に過ごすによって、生活の中での日本以外の感覚や価値観が見えてきたことはとても興味深く、新たな勉強になった。また、コミュニケーションをとる中で言葉が通じない時やこちらが汲み取れなかった場面、ラトビア人の方に英語が通じない場面が何度かあったが、「正しい文を話す」よりも互いに伝えようとし、分かろうとすることの重要性をとても実感した。言葉で繋がることができないときには、言葉を用いない優しさや心遣いを感じることが多々あり、人のあたたかさが世界に共通していることを考える機会ともなった。しかしやはり、海外の人にももっと伝えたい、自分自身ももっと分かりたいという気持ちが強くなり、実用的な英語の力を付けたいと思った。学ぶ意欲もすごく刺激されたため、そういった面でもとても有意義な経験だったと感じる。 

・今回の経験による今後の展望

今回、「観光」という形ではなく海外に出て、ある程度の期間滞在することではじめて得るものがいくつもあることに気がついた。私は今後もっと国外に出てよりたくさんのものや人に触れ、自分の視野を広げていくべきであると思った。普段見えている狭い世界だけで自分の世界を終わらせず、視野を広げる欲を持って進んでいくことは重要な意味を持つと考える。また、日本にはないヨーロッパの人の「豊かさ」への考え方と感覚を取り入れたり、反対に、海外にはない日本の魅力を輸出していくことに関わりたいという目標ができた。将来何がしたいかが見えてきたため、これを元にこれからもっと具体的な構想を練っていくと同時に、今回の経験を大きなモチベーションとし、英語の力を高める努力を続けていきたい。

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朝のセントラルマーケット

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ラトビアのミトン売り場