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平山結喜 工学部 化学・バイオ工学科 3年

派遣先大学:ラトビア大学

派遣期間:令和元年8月26日~9月9日

〈日本語教室での活動内容〉

ラトビア大学での日本語教室は、日本語に初めて触れる人から長年学んで流暢に話せるといった受講生の日本語習得レベルが様々であったため、beginner、advanceの2つにレベル分けをして授業を実施しました。各レベルにおいて先生役の山大生1人に対して1~2人の生徒で、時間割りは次の様に行いました。 

・beginnerクラス:月、火、水 (16:30~18:00)

・advanceクラス:火、水、木 (18:30~20:00) 

 日本語教室では、一方的な授業にならないように心掛け、生徒の学びたいことを確認してから相手にあったレベルで個別に指導する形で行いました。学びたい内容は「ひらがな、カタカナ、挨拶などの初歩的な日本語」「漢字」「慣用句」「Barで使える日本語」と多様であり臨機応変に対応する必要がありました。

具体的な授業内容について、beginnerクラスで小学生2人を担当した際には、ひらがなと片仮名をノートにローマ字の読み付きで写してもらい、一緒に発音の練習をしました。そして、覚えたての日本語に楽しみながら馴染んでほしいと思い、小さい折り紙に一文字ずつ書いてもらってカルタを行いました。ポケモンが好きらしくポケモンの名前でカルタをするなどの工夫をしたところ楽しんでくれたようで嬉しかったです。

 Advanceクラスでは、社会人の方を担当し、「漢字」が大好きで沢山覚えたいというのと近々日本に初上陸するとのことだったので、小学生の低学年で習う漢字に加えて来日したときに役立つ実践的な漢字を選抜して覚えてもらいました。途中に復習で漢字の書き取りの問題を出題したり、一緒に生徒さんの名前に漢字を当てたり、簡単な日本語での会話の練習を兼ねて日本の音楽や文化、山形についてなどの雑談を交えるなどを行いました。最後には私の拙い授業に「とても楽しい!いい先生だったよ。」と言って頂き感謝しかなかったです。

日本語を教えるのは初心者で勝手が分からず、また、「が」と「の」の違いなどの質問された際に英語で分かり易く説明できない場面があり申し訳なく落ち込みましたが、相手のニーズを把握したうえで自分が説明できる範囲に絞って事前に準備をすることで最終的にはお互いに満足度の高い授業ができたのでは…と思っています。(周りの方に恵まれとても助けられました。)

 〈日本語教室以外での交流活動〉

 授業後に毎回、日本語教室に来てくれた生徒が夕食に誘ってくれて、ラトビア料理を食べたり、Dance Barでダンスをしたり、ハニービールといったラトビアで勧めのお酒を教えてもらったりとディープな経験ができました。また、休日には、リガ湾に面したユールマラに連れていってくれてバルト海を目前にビーチバレーをしたり、自然で有名なスィグルダでアクティビティを体験したりと現地の人ならではの休日を過ごせました。広大な自然を満喫できる設備が日本に比べとても充実しており、多くの人が思い思いに過ごしてゆったりとした時間が流れていました。(ストレスフリーな理想の休日…)

また、日本語教室に来てくれていた高校生の誕生日パーティーで豪邸に招待され、パーティーをするなど日本にはない文化で貴重な経験ができました。ただ、ラトビアの母国語はラトビア語で英語を流暢に話していて、話しかけてくれても英語が苦手で聞き取れず、言いたいことを話せなくてもどかしく虚しい思いする場面が多くあり、もっと英語が話せたら仲良くなれたのに…と心底後悔しました。この感情を忘れずして、試験のためだけでなく純粋にもっと英語を勉強したいと思えるようになれました。

 〈プログラムに参加した感想〉

何から何まで日本とは異なり、毎日が刺激的で2週間があっという間でした。具体的に「バスに乗ること」を例に挙げても、バスに乗るのに公共交通機関の乗車券で「e-talons」と呼ばれるカードを自分でタッチして乗る仕組みがあり、街中のICT技術が進み、効率良く乗り降りして人の動きを潤滑にするITを上手に活用した良い例がみられました。その上、無賃乗車もできる難点があるのにも関わらず、信用で成り立っている点で国民性に信頼感を覚えました。

そして、車窓からは街に浸透した個性的で装飾過多なユーゲント・シュティール建築がみられ、車内の乗客からは濃いメイクにアクセのフル装備、大胆なタトゥー、個性的な服装、強い香水の匂いを身にまとい全身から個性を感じ、街並みの芸術性の感性が住民にも根付いているのではないかと考えさせられました。(とっても素敵でした!)

また、ロシア正教の教会の前を通るときに十字架を画く方がいました。ラトビアは日本と同じくして自然崇拝の国で自然を神様とし、信仰の対象としてきました。ただし、ラトビアの宗教構成は、無宗教者が最も多く占める他、キリスト教(ルーテル派、カトリック派、ロシア正教会など諸宗派)、ラトビア神道、ペイガニズム(ラトビア神道以外の自然崇拝)、その他の宗教(回教、ヒンズー教など)と多様です。そして、日本では人との違いに違和感を感じ同調圧力に従うことが多かったのですが、海外では様々な考え方や個性を重んじるのは当たり前のことで、自分や他人の個性をもっと大切にしてあげたいなと思いました。

こういった海外では当たり前で、自分の当たり前ではなかった何気ない日常の経験に基づく知見や感情の積み重ねが、視野を広げたり、異文化の理解に繋がってくるのだと体感し、このプログラムに参加してよかったと思いました。

 〈参加目標への到達度と努力した内容〉

 私は、工学部に所属しており、工業製品に興味があって海外の日用品、化粧品また食料品といった商品の実態を見て回ることと、ラトビアという日本とは全くバックグラウンドの異なる未知の世界に身を置いて視野を広げること目標にしました。些細なことですが、ラトビア発のコスメショップや日本でいうスーパーや薬局へ行って商品のラインナップをチェックするなどをすると、ラトビアの自然豊かな土地で生まれたフルーツや蜂蜜、植物、ハーブを用いた自然由来のオーガニック製品が多くみられました。北欧の先住民が医療と美容の面で昔から自然の恵みがもたらす力を尊重してきた伝統のレシピと現在の近代的な技術が融合して多くの人に愛されていることが分かりました。また、たった2週間の滞在でしたが、上記で述べてきた様々な経験を通して、来る前より視野が広がったことと思います。

〈今回の経験による今後の展望〉

 日本語教室の生徒さんから、母国語のラトビア語に加えて日常的にロシア語、英語、ドイツ語を耳にし、必要に迫られて自然とマルチリンガルになったという、とんでもない話を聞きました。(日本語教室で日本語も学び、今後フランス語も習い始めるとのこと…) 

日本は島国であることから多様な言語の必要を迫られる場面が少なく、文化も井の中の蛙になりがちなのではと感じました。視野を広げるうえで言語の大切さを痛感しつ、今後は、研究室への配属と院への進出を考えているため、英語で論文を読み書きしたり海外へ行き発表する機会があるかと思うので今回の経験を活かし、不得意ながらも英語の習得に励んでいきたいと思います。

リガ旧市街の画像
リガ旧市街

十字架の丘(リトアニアにも行けました)の画像
十字架の丘(リトアニアにも行けました)

バースデーパーティーinカルリス邸の画像
バースデーパーティーinカルリス邸

日本語教室のアーティスさんとの画像
日本語教室のアーティスさんと