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派遣先大学:ガジャマダ大学
派遣期間:2023/02/19-2023/03/07
1 日本語教室での活動内容
月曜日から金曜日まで、午前と午後1時間半ずつ日本語教室が行われた。参加者の人数は毎回バラバラであった。そのため、参加者をレベル別に7つのグループに分け、日本人学生7人が各グループについて日本語を教えた。初級はひらがなやカタカナの読み書き、簡単な挨拶や自己紹介などを教えた。中級は個人の要望を聞き、基本的な会話のフレーズを練習したり、参加者の興味関心に基づいて、日本の文化などに関する話をしたりした。教えるときの言語は英語が基本で、参加者のレベルによって日本語を使ってコミュニケーションをとった。正直なところ、現地学生の英語は巻き舌の発音が混じっていて、聞き取りづらいと感じることもあった。しかし、現地学生の英語力が高く、こちらがもっと英語を使えればより多くの情報を伝えることができただろうなと思うことのほうが多かった。
2 日本語教室以外での交流活動
日本語教室以外での現地学生との交流は、「YU-UGM Friendship Games」というイベントがあった。山大生が花笠の披露や簡単なゲームなどを行ったり、ガジャマダ大学の学生と一緒に歌を歌ったりした。特に驚いたのは、歌を歌った流れでカラオケ大会になったときである。インドネシア人は歌うことが好きだということに気づき始めていたが、J-POPの知名度は想像以上だった。すごく楽しそうに日本の歌を歌う姿を見て、とてもうれしかった。
世話係の現地学生とは、毎日一緒に食事をした。休日は観光地などジョグジャカルタやその周辺のいろいろなところに連れて行ってくれた。一緒に見た景色や過ごした時間は、かけがえのない思い出である。
3 参加目標への達成度と努力した内容
「日本の外の世界を知る」ことを目標としており、このプログラムによって視野を広げることができたため、参加目標は達成できた。インドネシアの文化や大学生のリアルな生活、インドネシア内で日本がどのように知られているのかなどについて知るために、気になったことなどを積極的に質問するなどの行動を心がけた。
4 プログラムに参加した感想
インドネシアに行って感じたこととして、コミュニケーションの大切さが挙げられる。コミュニケーションなんて日常的にやっていると思うかもしれないが、日本に戻って生活してみて、または今までの日本での生活を振り返って、人とのコミュニケーションが不足していたのではないかと思った。
第一に、日本語教室を通して、現地学生間のコミュニケーションが活発であると感じた点である。例えば、日本語の授業でグループごとに分かれた際に、グループ内での教え合いがスムーズかつ、活発であった。はじめは知り合いなのかと思ったが、多くの学生は初対面同士だった。こちらの拙い英語のせいでうまく教えられないときは、わかった人がわからない人に説明をしてくれたたためとても助かった。授業が終わってからこちらのSNSを聞いてきたり、初対面同士で交換したりする動きも活発だった。日本の学生だと、初対面同士でのグループワークはもちろん、初対面じゃなくても話し合いや教え合いがスムーズにいかないという経験があるのではないかと思う。現地学生同士のコミュニケーションによって、日本語教室の雰囲気もとても良かった。
第二に、大学内に人と人が関わる空間がたくさんあると感じた点である。最も印象的だったのは、カフェテリア、いわゆる学食の様子である。利用したカフェテリアはとても開放的で、活気があって居心地が良かった。山形大学の学食を利用するとわかるが、今は感染対策の仕切りのせいで向かい合って食事をすることもできない。友達と集って共に時間を過ごすことも難しい。大学内で気軽に集まることができる場所があることはとてもすてきだなと思った。
5 今回の経験を踏まえた今後の展望
プログラムに参加して第一に思うことは、思い切って参加して本当に良かったということである。今回のプログラムが、はじめの海外であった。よって、海外に行くということに対してポジティブな感情よりも、不安や恐怖などマイナスな感情が大きかった。それでも大学生のうちに外の世界を知る必要があると感じていたため、このプログラムへの参加を決めた。これまで外国人と交流する機会をほとんど持たずにきたこともあり、上手くコミュニケーションがとれるのか、どうやって接したら良いのか未知の世界だった。しかし、自然と会話をしたり、一緒に行動したりすることでいつの間にか友達になっていた。インドネシアの人たちと自分の間にあると感じていた壁は、私の一方的なイメージが重なったものだったのだと思う。
第二に、日本の他に世界を見る視点を持てたことが大きな収穫だと思った。日本で生活していると、日本人の感覚や価値観が当たり前になってしまい、疑問を持ったり、捉え直したりするという機会がない。教員養成課程で学んでいて、グローバル化などといった言葉がよく使われるが、日本以外のことをよく知らないまま、子どもたちに世界規模で物事を考える力を養うことができるのか疑問だった。世界規模で物事を考えるには、日本という枠を越えて物事を考えることに慣れなければいけない。私自身、今まで日本で生活をしてきて、慣れ親しんだ住環境や食文化、言語などによって不自由を感じることはほとんどなかった。不自由を感じることがなければ、当たり前とされていることに対して、改めて疑問を抱くこともない。そのため、日本という一点ではなく、日本とインドネシアという二点から見る視点を持てたことは、一つ前進だと思う。
これらの経験を踏まえて、今後は歴史や文化、言語などインドネシアについてより深く知っていくことが必要だと考えている。今回はインドネシアという国との接点を持つきっかけとなったが、そこまでで終わってしまった。インドネシアの方々は、私たちを温かく受け入れてくれた。そして、時間やお金、優しさなど多くのものを費やしてくれた。今回のプログラムでできた接点をもっと密接で深いものにしていくことが、このプログラムに関わってくれた人たちへの恩返しになると考えている。