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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記(1)」

 7月15日に日本を立ち、インドネシアのジャワ島中南部の古都ジョクジャカルタ市にある、ガジャマダ大学に来ています。ジョクジャカルタ市は「平和の町」と言う意味だそうで、人口約43万人。100を超える大学のある学園都市で、ジョクジャカルタ特別州の州都でもあり、8世紀から興亡を繰り返した王国の首都でした。特に14世紀に栄えたマジャパヒト王国は、宰相ガジャマダの時代に、西のスマトラ島、東のバリ島をも支配下に置いたそうです。1945年にインドネシア共和国が成立し、王国は無くなりましたが、宮殿にはスルタンが住んでおり、現在もジョクジャカルタ特別州の州知事をしています。

 ガジャマダ大学は、かつての名宰相の名を由来とし、1949年にスルタンの離宮に創設されました。現在18学部を擁し、インドネシア最大の名門国立大学です。学部は、農学、林学、農業工学、社会政治科学、法学、経済商学、哲学、文化科学、心理学、生物学、地理学、数学自然科学、医学、薬学、歯学、工学、動物科学、獣医学があり、学生数5万5000人、留学生605人、教員2266人、職員2301人がいます。

 私のオフィスは、私の専門が昆虫進化生態学のため、昆虫学のある農学部に用意されていました。農学部の教員は133人で、博士学位取得者は72人いますが、59名が海外で取得し、日本からは29名、山形大学(岩手大学農学連合大学院)出身者は2名いました。

 キャンパスの広さは約150ヘクタールありますが、今まで私が訪れた、ハノイ農業大学、延辺大学、ジョモ・ケニヤッタ農工大学、カトリカ大学とはかなり異なった雰囲気があります。これらの大学は、塀に囲われた1つのキャンパスの中に、各学部の建築群が佇んでいますが、ガジャマダ大学は、各学部が独自のキャンパスを持っており、そのキャンパスの集合体としてガジャマダ大学を形成し、独特の大学町の雰囲気を醸し出しています。

 その一角に、私が住むゲストハウス地区があります。植民地時代の、南国の植物をふんだんに配したヨーロッパ風のお屋敷街約120軒がそのまま大学構内の教授住宅兼ゲストハウス地区になったようで、私が入居した住居の敷地は約520坪ありました。前庭には、着生蘭のついた大木や、ヤシや竹など、様々な観葉植物が植えてありますが、バナナ、スターフルーツのような果樹もあり、裏庭には、マンゴーとパパイアの木があります。

 多くのゲストハウスは、トイレ・シャワー付きの寝室が4部屋と、応接間、居間と食堂、台所がありますが、基本は一軒の家を数人でシェアーしており、台所は使用禁止になっていました。私は2部屋を借りました。その結果、他に1部屋を週に1度だけ利用する日本人の女性研究者がいる家に決まり、台所も利用でき、共用部分である応接間、居間、その他の空間を含め、個人住居のように使用することが可能となりました。他に、裏庭に面して使用人部屋などが5室ありますが、現在は、庭師を兼ねた管理人が1人住んでいます。

 この地区の住居は単に教授住宅やゲストハウスとして利用されているだけではなく、「日本研究センター」や、「韓国研究センター」のように、各種の研究センターとしても利用されています。私の借家の2軒隣の家は、最近、博物館として改装されたそうですが、そこは、4~5歳時代の、アメリカ合衆国大統領オバマ氏が過ごした住居だそうです。

ガジャマダ大学の正門より、ムラピ火山を望むの画像
ガジャマダ大学の正門より、ムラピ火山を望む

ゲストハウスの画像
ゲストハウス