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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記(5)」

 今週も、ガジャマダ大学の18もある学部の主なところを巡りました。山形大学の理学部に当たる学部は、数学自然科学部、生物学部、地質学部の3つに分かれています。各学部の学科や大学院の専攻の分類はなかなか複雑なのですが、整理すると以下になります。

 数学自然科学部には、化学科、数学科、物理学科、地球物理学科、統計学科、コンピューター科学科、エレクトロニクス学科があります。いずれも大きな学科で、例えば化学科の場合、43人の教員と34人の技官・事務官がおり、学科学生は478人、修士院生は180人、博士院生は84人いました。生物学部は、生物科学科、植物学科、生態学・自然保護学科、遺伝・分子生物学科、微生物学科、動物学科があります。地質学部は、地質学・環境学科、地図作成学・遠隔感知学科、地域開発学科から構成されています。

 ガジャマダ大学から約30キロ北方に、ジャワ島を代表する活火山ムラピ山があります。天気が良いと、標高2911mの険しく聳え立つ秀峰が、ガジャマダ大学からも良く見えます。最近では、2010年に大噴火をして土石流が起こり、多くの橋や家屋が破壊されました。避難民は30万人にも及んだそうです。最寄りのアディスチプト空港の滑走路には火山灰が積もり、空港はしばらく閉鎖されたそうです。

 その麓には、世界文化遺産の仏教寺院ボロブドゥールがあります。高さ34.5m、正方形の基底部の一辺の長さが123m、という巨大な石造りの建造物ですが、1814年に偶然に発見されるまで、約1000年間も堆積した火山灰の下に眠っていました。近くにある、やはり世界文化遺産のヒンズー教寺院群のプランバナンは、9世紀に約240基の石造りの寺院群ができたそうですが、1584年のムラピ山の噴火で破壊され、周囲に残骸が転がっており、今は高さ47mのシバ神殿など8基が佇んでいるだけです。しかし、それも2006年の中部ジャワ大地震でもろくなり、多くは内部立ち入りが禁じられています。このように、ジャワ島では、火山の大噴火や大地震、そして津波が繰り返して起こるために、ガジャマダ大学では理学部から地質学部を独立させ、大きな研究機関を作っています。

 どの学部でも、常に話題になるのは、農学部で開講している無料日本語クラスのことです。「農学部限定ですか」と聞かれ、「そんなことはありません。全学に解放しています」と言うと、「そういう情報は流れていませんね。ぜひ、うちの学生も参加させたいです」と言われます。現在は農学部の学生が中心で44人が登録しています。クラスは月曜日から木曜日にかけて日に2回行っており、「誰でも、いつでも、何度でも」をモットーにしているので、学年末休暇のこの時期を利用して、皆勤の学生が4人もいます。全くの初心者の男子学生は、12月に実施される日本語検定試験の願書を購入したと言っていました。

 日本語クラスでは、先週から、3~4人一組になり、覚えた言い回しを寸劇として披露しあっています。「こんにちは」「今日は良いお天気ですね」「あなたのシャツはきれいで清潔ですね」「私はきれいで、頭が良くて、やさしいです」「私もそうです」「あなたの飲み物を飲んでも良いですか」「いいえ、だめです」「けちですね」などなどです。

 その一方で、私のセミナーの参加者は、学年末休暇中のためか、極めて少ないです。

ボロブドゥールの画像
ボロブドゥール

プランバナンの画像
プランバナン