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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記2(3)」

 5月27、29日と、飛び石連休でした。それぞれ、モスレム、キリスト教の祝日です。他に、仏教、ヒンズー教、儒教の祝日もあります。日々の生活は主にモスレムの習慣で動いていますが、約300の多民族国家だけあって、少数者の宗教にも配慮しています。

 この連休に大学は休みになりましたが、日本語クラスは、受講者の熱い希望で開講し、受講登録者は193人になりました。日常のクラスには約30人が参加していますが、27日のクラスは、午前も午後も、約50人が参加しました。28日にはテレビクルーがやってきて、授業を撮影して帰って行きました。10分間に編集して放映するそうです。

 29日の午後の日本語クラスを終えた後に、強く誘われて、農学部の経営する製茶会社の茶畑に行きました。ガジャマダ大学は西ジャワにあるのですが、茶畑は中部ジャワのPagilaranの、車で6時間もかかる標高1000mの山の中にありました。広さは1200ヘクタールで、事態を良く呑み込めないまま、ジョクジャカルタの暑さを逃れ、高地の冷涼なコテッジでの生活に魅了されてついていきました。3泊4日の旅行でした。

 コテッジに着いたのは夜の11時過ぎでした。真っ暗な山中の、細く急でデコボコの道の果てのかなりの斜面に、人口3000人の平屋の集落があり、その最奥に製茶会社の大きな工場がありました。工場の敷地に温水シャワーのある部屋が用意されていました。

 茶畑と製茶会社は、オランダ植民地時代にでき、国営化されて農学部に移管され、50年前に農学部から分離独立して民間企業になったそうです。しかし、社長以下幹部職員6人は、農学部の中堅教員4年任期の出向で、30日に会社創立50周年のお祝いの会がありました。会場は集落にある製茶会社の集会場で、約150席が設けられていました。主賓挨拶は農学部長で、私は最前列に座らされ、農学部長により会場の全員に紹介されました。

 会社は、正規職員が300人で、非正規職員が1600人だそうです。直営の茶畑は、このPagilaranだけですが、他に中部ジャワの5か所で、地元農民を指導して茶畑を作らせ、葉の買い上げをしているそうです。4年に1度剪定しているお茶の株は樹齢100~200年のものも多く、同じお茶の木から1~2週間に1回、1年中、葉を摘んでいる、と言うことでした。日本なら、4~7月に2~4回摘んで終わりです。工場で生産される紅茶の1日の生産量は25~30トン。優良なものは日米欧に出荷し、海外出荷量で国内2番の会社だそうです。質的に劣る葉は、ジャスミン茶に加工して、国内消費に充てているそうです。

 会社の創立記念のお祝いのため、100軒を超す露店が架設され、手押しですが、メリーゴーランドなどの大型遊具も5基、臨時に設置され、野外音楽会もあり、地域の人々が楽しんでいました。31日は朝6時から、茶畑を巡る散歩会と工場の見学会がありました。主な参加者は、夫妻で集まった農学部の幹部教員で、10数組いました。ガイドの話によると、夜の茶畑には、野生の地鶏を狙って、周囲の自然林よりヒョウが出てくるそうです。

 圧巻は、31日の夜9時からのワヤンという伝統影絵で、翌午前4時に終わったそうですが、私は途中で退席しました。先立つ午後7時半からは子供たちの舞踊が5題あり、私達夫婦に対する歓迎と言うことで、終わるたびごとに一緒に記念撮影がありました。

Pagiliranの茶畑。陰の木は風と日差しを和らげます。の画像
Pagiliranの茶畑。陰の木は風と日差しを和らげます。

Pagilaranの小学校の生徒による舞踊の画像
Pagilaranの小学校の生徒による舞踊