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大崎教授の海外駐在記「ガジャマダ大学駐在記3(3)」

 昨年、駐在した時は、大統領選の真最中でした。本命は、守旧派の元国軍幹部プラボウォ氏。対抗は、民主主義派で、ガジャマダ大学林学部出身の、ジャカルタ特別州知事ジョコ・ウィドド氏。選挙権は17歳からあり、全員が選挙権を持つガジャマダ大学の学生は、その多くがジョコ・ウィドド氏を推していて、学内で、熱い政治論議を展開していました。

 選挙では、下馬評を覆して、ジョコ・ウィドド氏が新大統領に選ばれ、国家官房長官にガジャマダ大学学長で社会政治科学部出身のプラティクノ氏が就任。初の女性外務大臣に、ガジャマダ大学法学部出身のレトノ・レスタリ・プリアンサリ・マルスティー氏が選ばれ、その他、重要閣僚に何人かのガジャマダ大学出身者がなりました。

 今回、日本語クラスで、新大統領になって、世の中どのように変わったかを聞いてみました。「厳しくなった」というのが異口同音の答えでした。例えば、大学在籍可能期間が、7年から5年に短縮されたそうです。

 ガジャマダ大学は、年間4回の卒業式があります。学生が多いので一斉に卒業論文を見ることができないと言い、成績の良い順に、3か月ごとに学生を卒業させます。学生ものんびりと、卒業実験がうまくいかなかったから、と言い、5年、6年と在籍しています。日本語クラスの工学部のギラン君も6年生です。そんな彼が、「今年の8月に卒業できなかったら、退学になる」とぼやいていました。

 「先生にとっても、厳しい状況になりましたよ」と言われました。ビールが販売禁止になったのです。インドネシアは人口の90%が禁酒のイスラム教徒です。ジョクジャカルタ特別州に、元々酒屋は一軒もありません。ワインなどの酒類を飲みたいなら、高級ホテルかヒンズー系のホテルに行くしかありません。しかし、ビールはコンビニで売っていました。

 それが、今年の4月16日から、売り場面積400㎡以下の店でビールの販売が禁止になったのです。屋台で飲むのも禁止で、大型店舗での販売は許されていますが、自己規制が始まっているそうで、高級ホテル、高級レストラン、高級カフェーでのみ、飲めるそうです。

 5月13日に、山形大学の同窓会をしました。山形大学農学部で博士学位を取得した教員4名と、農学部に1年間の短期留学をした3名、それと、蔵王山寮サマープログラムに参加した、農学部2名、工学部1名の学生が参加しました。大学近くの高級レストランに私が全員を招待しましたが、学生達の中に、初めての洋式レストランだ、とはしゃぐ声がありました。私も、一人酒ですが、久し振りにビールが飲めて、一息つきました。

 翌、5月14日は「国民の祝日」で、大学は休みでした。日本語クラスは、「休みだからこそ参加できる」という学生の要望で開きました。日本人女子留学生も2人参加しました。皆に何の祝日かを聞いてみましたが、誰も知りませんでした。ある学生が直ぐに調べて「キリスト教の祝日だ」と言いました。インドネシアは世界で最もイスラム教徒の多い国ですが、信教の自由はあり、イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンズー教、それぞれの祝日が設けられています。「なぜ5月14日がキリスト教の祝日だと思うか」と問うたところ「キリストの誕生日だろう」と答えた学生がいました。正解は、キリスト昇天の日でした。

山形大学同窓会の画像
山形大学同窓会

インドネシア国産ビンタンビールの画像
インドネシア国産ビンタンビール