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大崎教授の海外駐在記「ジョモケニヤッタ農工大学6(1)」

2月25日~3月10日の予定で、ケニアのナイロビ北東の郊外にあるジョモケニヤッタ農工大学に駐在しています。空は青く、木々には、赤、白、黄、の花が咲き、半袖に心地よい風が吹いてきます。

ケニアは、昨年の8月26日に「ビニール袋使用禁止令」が施行されたそうです。製造、販売、輸入は勿論、ビニール袋を持っているだけで、最長4年の禁固、最大約430万円の罰金だそうです。私は友人達の土産を日本で買った洒落たビニール袋に入れて手渡したところ、「良く空港の税関を無事に通過できましたね。手荷物検査があったなら、悪くて禁固4年、罰金430万円ですよ」と言われました。まるで、麻薬を持ち込んだような扱いになるそうです。

前日に、黙ってビニール袋入りの土産を受け取った友人に、後で具合を聞いたところ「誰にも見られないように、車の床に置いて持ち帰り、慌てて家の中に持ち込んだ」と言われました。ケニアは警官が直ぐに車を止めて、何だかんだと理屈をこねて罰金を取ろうとします。ビニール袋が発見されたなら、半端な罰金では済まされなかったでしょう。私は、どこに行くにも、折り畳み傘をビニール袋で包んでカバンの中に入れて持ち歩いていますが、それを友人に直ぐに見とがめられました。「危険ですよ」

しかし、私は「ビニール袋使用禁止令」は致し方ない法令だと思いました。ケニアに来てまず驚くのは、都市でも田舎でも、道の縁にビニール袋のゴミがうず高く溜まり、延々と続いていることでした。ケニアでは、どの小売店に行っても、商品をビニール袋に入れて渡してくれました。これは、日本でも同じだと思います。しかし、ケニア人は、そのビニール袋をどこにでも捨てます。

ビニール袋のない時代、多くのゴミは有機物でした。捨てれば、家畜や野生動物、アリなどの昆虫が直ぐに食べ、あるいは分解してしまい、ゴミ問題はありませんでした。しかし、ビニール袋を慣習に従って捨てれば、道路に残り、美観を壊し、家畜や野生動物に食べられ、川の流れに乗って海に流失し、海鳥や海の生物に食べられ、彼等の大きな死亡要因にもなっていす。今回、お店で買い物をしたとき、商品は茶色い紙袋に入れて渡されました。

3月に入り、ケニアの国立大学は、教職員の賃上げストが始まりました。講義室を使っての授業は全面的に中止されました。昨年の3月に来た時もスト中でしたが、あれから数えて4度目のストだそうです。なぜ、ストが断続的に続くかと言うと、交渉で政府は賃上げを受け入れ妥結し、ストは終わるのですが、その後、政府は常に約束を反故にしてしまったそうです。そしてストは再開され、妥結し、反故にされ、の繰り返しだそうです。

15年前に、ケニアに1年間滞在しました。最も印象的だったのは、何か不都合が生じた時、接した人々はその場の雰囲気を壊さない実に巧みな言い訳を言うのです。今回のストの話を聞いていると、当時を思い出しました。現政権は昨年の大統領選挙で金を使い果たし、無い袖は振れない状態なのでしょう。しかし、それを言っても、何も解決しないので、その都度上手に言い訳を言って、ストを解除しているのだろうなと思いました。

(1)日本語クラスの窓の外。の画像
(1)日本語クラスの窓の外。

(2)雨の後、キャンパス内に突如現れたシロアリのアリ塚。の画像
(2)雨の後、キャンパス内に突如現れたシロアリのアリ塚。