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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記4(5)」

 

リガはバイカウツギの季節

 学生寮の隣に、大きな体育館を持った学校があります。義務教育に当たる12年制の基礎学校と、さらに上級の、3年制の中学校を併設しています。6月1日に、校庭で卒業式後の記念撮影と思われる賑わいがあり、6月2日には、学内に人影がなくなりました。

 6月3日に、この学校の体育館に、剣道の胴衣を着た一団が現れた、という噂を聞きました。髭面の日本人らしい人が含まれていた、というので、地域教育文化学部の竹田隆一先生を連想しました。先生は、この数年間、山形大学の学生と、バルト三国や北欧の学生達との剣道交流を行っています。そこで、翌4日に体育館に行ってみました。

 この日も剣道家達がいました。髭面の日本人もいましたが、竹田先生ではなかったです。ラトビア剣道協会会長のVladimir Kindzulisさんと言う方がいたので話を聞くと、竹田先生のことは良く御存知で、「今年、竹田先生は、来ないそうですよ。」と言いました。

 居合わせた日本人は、国際社会人剣道クラブという特定非営利活動法人のメンバーで、男性12名、女性5名の剣道家達でした。メンバーの平均年齢は70代だそうで、リーダーは、77歳の範士八段湯村さんという外科医でした。範士八段とは、剣道界の最高位だそうです。ロシアとバルト三国を九泊十日で巡る親善旅行の途中で、この日は、湯村杯選手権大会を行い、バルト3国の剣士、女子16名、男子24名が参加したそうです。

 このバルトを巡る国際親善は、6年前から始めたそうで、東北学院大学剣道部師範、教士八段曽根さん、宮本武蔵の「五輪の書」で説く二天一流の師範で「五法の形」を受け継ぐ教士七段一川さん、など、日本剣道界のキラ星のような方々の一団でした。

 話しは変わりますが、各国で行っている日本語クラスの伝言板として、インターネットを利用しており、ラトビアでは、Google+を使っています。5月の下旬、日本語クラスを開いている経済学部の教室は、卒業論文の論述試験会場となり、毎日、日本語クラスの教室変更を強いられました。そのため、伝言板で教室変更の情報を流し続けました。

 この伝言板には管理人を置いていないので、自由な書き込みがあり、予想外の使われ方をする場合があります。2014年のロシアによるウクライナのクリミア半島侵攻の際には、ロシアに対する非難が連日書き込まれました。クリミアに祖母が住む学生がいて、祖母はロシア侵攻の際に、ウクライナ西部の親類の許に脱出したそうです。

 そんな伝言板に、6月初めに、韓国映画祭の宣伝や案内招待が書き込まれました。ラトビア大学人文学部には、アジア文化学科があり、日本語、中国語、韓国語のコースがあるのですが、2年前から韓国政府が韓国人教師を派遣して来て、学内で大々的な韓国フェスティバルを開くようになりました。今年も、6月の上旬に、人文学部で韓国映画が3本上映されることになり、その本格的な案内パンフレットが、学内のあちこちに積み置かれていました。

 日本から遠く離れた地で日本に興味を持つ学生の中には、韓国にも近親感を持つ学生が少なからずいます。そして、漢字を使わない韓国語は、日本語よりも簡単で、とっつき易いと言い出します。そんな学生が、伝言板に韓国映画の宣伝を書いたようです。

 ライラックの花が枯れ、バイカウツギやタニウツギの花が咲く季節になりました。

基礎学校の卒業式の日の画像
基礎学校の卒業式の日

ゲストルーム窓の外のバイカウツギの画像
ゲストルーム窓の外のバイカウツギ