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ベトナム国家農業大学駐在記5(2)

  山大生を「学生大使」として送っている本学の海外拠点校には,それぞれ,学生の受入れに関わる現地調整を担う教職員がいる.今回は,山形大学ハノイ海外拠点事務所(ベトナム国家農業大学に設置)でその役割を担う,同大学外国語・国際教育センターのトゥラン・ティ・ホアイ・トゥ先生(以下,「トゥ先生」)を紹介したい.

  トゥ先生は,ベトナムの首都ハノイの南約350kmのゲアン省の出身だ.高校時代までを故郷で過ごした彼女は,本学がベトナム拠点を置くベトナム国家農業大学への入学を機に,首都ハノイに移ることになった.現在の職場でもある同大学の学部学生時代,彼女は作物学を専攻したという.

  2012年に大学を卒業後,ベトナム国家農業大学外国語・国際教育センターに職を得る.同センターの仕事に就く中で,向学心に富む彼女は,上位の学位を得ようと考え始める.折しも,ベルギーの高等教育機関も関わる修士課程プログラムを見つけた彼女は,2014年から休職して研究に励み,翌年には見事「農村経済・社会学」の修士号を取得した.

なお,この修士号を取得した時期にトゥ先生は,結婚という転機も迎えている.間もなく女の子を授かった彼女は,現在(2019年3月),4歳児の母親でもある.

修士号を取得して,ベトナム国家農業大学外国語・国際教育センターに復職したトゥ先生は,現在に至るまで,「学生大使」の受け入れの一切を担うほか,ベトナム国家農業大学における外国人講師の授業を統括する要職にある.

トゥ先生に山大生の印象を聞いたところ,「みんなフレンドリーで,直ぐにベトナム人学生との交流が深まるのが印象的だ.山大生の世話で苦労があるとすれば,ベトナムに来てお腹をこわす学生が多いことでしょうか」と応えた.確かに,特に夏場にベトナムを訪れる山大生の中には,環境の違いから体調を崩す学生がいる.一般的に,ベトナム料理は日本人の口にもよく合うので,体調不良で豊かなベトナムの食文化に触れられなくなるとしたら残念なことだ.そのことをトゥ先生は,本学学生の様子を見ながら,とても気にかけてくださっていたのである.今後は,本学側としても,学生が日本を発つ前の事前指導を強化したい.

  さて,トゥ先生は,家庭を持ち,4歳になる娘さんを育てながらも向学心を持ち続けている.昨年来,彼女は日本に留学して博士号を取得する可能性を探っていたという.そして,本学との縁を活かした進学を考え始め,2018年秋から岩手大学大学院連合農学研究科博士課程(本学も連合構成大学)への入学を目指した.2019年2月の入学試験に見事合格した彼女は,この4月から日本の大学院生となる.来日後の研究拠点は,同博士コースを連合で構成している(北から)帯広畜産大学,弘前大学,岩手大学,山形大学の何れかとなるが,彼女はもちろん本学教員の指導下での研究を選択し,この春には鶴岡での研究生活が始まる.

鶴岡に発つに当たり,トゥ先生は,ベトナム人が多く食する野菜の値段が日本では高いことを心配している.鶴岡では,畑を借りて,自分で野菜を育てることも検討している.産直施設で鶴岡の優れた農産物にも触れていただきながら,まずは日本生活が軌道に乗るように支援したい.本学農学部(在鶴岡)の「学生大使」経験者には,今度は同じ学生として,彼女の研究生活を見守って欲しい.

  再び大学院生となるトゥ先生に,ご家族はどうするのかと質問したところ,当面は自分単独で山形に入り,落ち着いたところで夫と娘を日本に呼ぶつもりだという.ベトナムの家庭において女性が強いということはよく聞く話だが,トゥ先生の家庭もそうなのだろうか.

トゥ先生の画像
トゥ先生

山形大学ハノイ海外拠点事務所(ベトナム国家農業大学内)の画像
山形大学ハノイ海外拠点事務所(ベトナム国家農業大学内)