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大崎教授の海外駐在記「ハノイ農業大学駐在記(2)」

 ハノイ農業大学の学生数は急激に増加しているそうで、昨年度の新入生は、学部9000名、修士1250名、博士100名、でした。教職員数は1300名ですが、教員はそのうち700名です。日本の大学と極めて異なっているのは教授の数で、2名です。在任期間も数年です。したがって、学長や5名の副学長も、ほとんどが准教授です。准教授の数も約60名で、残りが講師です。なぜ教授・准教授の数が少ないのかその理由を聞いたところ、教員の給与を抑えるための国策だろう、という話でした。急激に増える学生数に比べて教員や教室の数が不足しているので、授業はまだ薄暗い午前6時40分に始まり、漆黒の午後9時まで続けられていました。

 サテライトの業務に留学案内があります。そこで、ハノイ農業大学から海外大学への留学生数を調べたところ、正規コースへの留学は、学部生は2名、大学院生は0名でした。学部生は日本の協定校への給費留学生ですが、大学院生0名には納得がいきませんでした。知る限りの准教授は日本や欧米の大学院に留学して博士学位を取得しており、現在も海外への留学生はいるはずです。しかし、よくよく聞いてみると、海外留学組はハノイ農業大学の修士修了後に講師として採用され、その後に海外に留学していました。留学熱は高く、海外の大学院を目指して外国の国費留学試験を受ける学生もいるのですが、定員枠が極めて少ないので、合格は難しいそうです。また、私費留学は経済的に夢のまた夢だそうです。結局、海外への留学生の多くはベトナム国費給費生で、講師の中から選抜されて留学するケースが多いそうです。ベトナム全土で年間の選抜人員は約100名だそうですが、そこは社会主義の国。いずこの社会主義の国々と同じ慣例の人選が行われている、とある教員が語っていました。

 別の業務、共同研究の推進は、大学間とは言っても個々の教員の意欲に委ねるしかありません。現在、山形大学では、安田弘法副学長が6カ国の研究者との共同研究「自然共生型水稲栽培の研究」を主宰しており、ハノイ農業大学の研究者も参加しています。

 もう一つの業務、教員・研究者の交流は、毎年、セミナー、シンポジウム、ワークショップ、という形で行われて来ております。私も大学院生や研究者を対象に、セミナーを2度行いました。さらに今学年度中に、3度の講義を約束しています。しかし、最も推進できたのは、学生間の交流です。今年の9月に山形大学に、学長資金でハノイ農業大学の学生15名を2週間にわたって招待しました。このときには、さらに、ベトナム南部のカントー大学の学生5名と中国の延辺大学の学生10名も招待し、日越中3カ国の共同合宿を蔵王山寮で行いました。お世話をした中心は、三宅和弘氏を室長とする山形大学渉外部の国際交流室です。来年の2月か3月には、山形大学から11名の学生がハノイ農業大学を2週間訪問します。特筆したいのは、ハノイ農業大学において山形大学の学生をチューターとする日本語クラスの推進です。詳細は稿を改めてお伝えします。

ハノイ農業大学本部の画像
ハノイ農業大学本部

構内野外カフェで日本語クラスの学生たちの画像
構内野外カフェで日本語クラスの学生たち