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大崎教授の海外駐在記「ハノイ農業大学駐在記(3)」

 学生間の国際交流の手段として、ハノイ農業大学に設置した「日本語クラス」に山形大学の学生を語学チューターとして派遣するプログラムを推進しています。日本語クラスは、2011年4月にハノイ農業大学の副学長の依頼で、サテライトを管理する、日本語に堪能なベトナム人を講師として開設されました。当初は100名を超す受講希望者の中から40名に絞り、20名の2つのグループを作って、それぞれに週1回のクラスを開いていたそうです。しかし、管理人たちの移動が激しくて、私が赴任した今年の5月には、受講生は14人にまで減っていました。そこで、大崎美貴子氏が、5月を日本語の強化期間として、週日の5日間、午前と午後の各90分間、3~4名の少人数のクラスを開講しました。

 日本語クラスに通う学生は意欲的な学生であり、英語の特進クラスの学生でもありました。ベトナムは英語教育を重視して、2016年までには全国のすべての小学校で3年生以上に英語教育を実施するそうです。ハノイ農業大学でも英語は90分の授業が週2回行われていましたが、成績優秀者は、アメリカ国際開発庁(USAID)が英語講師を派遣して開講している特進クラスで、さらに週1回90分の授業を受けていました。日本語クラスの学生は、日本も日本語講師を派遣してくれないか、と言いだしたのです。

 6月に私は帰国し、山形大学の基盤教育院で「グローバル社会を生きる君たちへ」という講義を行った際に、学生達へ「ハノイで、英語で日本語を教えてみないか」と呼びかけてみました。15人の学生が応じ、学生たちは直ぐに集会を持ち、日本語教育法を基盤教育院の専門の先生方に相談する一方で、自分たちで、英語での授業法の研究と工夫を重ね始めました。それに即応して国際交流担当の安田弘法副学長が結城学長と相談し、ハノイ農業大学の国際交流担当副学長に連絡を取り、山形大学は派遣学生の旅費の一部、上限4万円を支援し、ハノイ農業大学は留学生寄宿舎を無料で提供することで話をつけました。

 8月3日に最初の学生、地域教育文化学部のS君が、ハノイ農業大学の日本語チューターとして赴任しました。以来、11月下旬の段階で12人の学生が、2週間~1ヶ月間ハノイ農業大学に滞在し、日本語クラスを維持しています。来年の3月末日までには23名が参加予定です。チューター達は受講生の熱意に押され、週6日、午前、午後、夜間の各2時間の授業を行っているそうです。受講生も増えてきて、70名に達しました。最後に、S君が国際交流室に寄せたメイルを紹介します。

「(前略)いよいよ明日が最後となりました。本当に、ここまで密度の濃い時間を過ごせるとは思いませんでした。これからの自分の人生に、確実に何かしらの影響を与えてくれただろうと思います。(中略)いい経験ができました。言葉では表せないような経験ばかりです。こうした経験ができたのも、安田副学長はじめ山形大学の皆様、大崎先生、ハーさん、そしてこちらの学生たちの支えがあってです。本当にありがとうございました。(後略)」

日本語クラスの画像
日本語クラス

チューターS君の誕生日にサプライズ・パーティーがの画像
チューターS君の誕生日にサプライズ・パーティーが