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大崎教授の海外駐在記「ハノイ農業大学駐在記2(2)」

 ケニアからベトナムに戻って、まずホットしたのは、日本の存在を感じ取ることができたことです。ケニアでは、日本製中古車を除けば、中国の存在感に圧倒され、韓国の家電製品や、韓流ドラマ、kポップに囲まれた生活で、日本の影の薄さに焦りさえ感じました。ベトナムでも、中国や韓国は躍進しています。しかし、日本も頑張っているではないか、という気配を感じ取ることができ、安堵しました。

 その第一がオートバイです。ベトナムに限らず、東南アジアの多くの国では、日常の主たる交通手段はオートバイで、そのほとんど全てが日本製です。オートバイは、通勤や通学に使われるだけでなく、主婦達は、市場のごみごみとした細い通路の奥深くまでオートバイで入って行き、乗ったまま買い物をします。

 ケニアは、自転車やオートバイがまだ市民に普及していませんが、ボダボダと言う、自転車の荷台に座席を設けてお客を乗せる自転車タクシーが、だいぶ前からありました。しかし、今回は、ピキピキという、オートバイ・タクシーが急激に増えていました。そのオートバイが全て中国製で、運転手たちは異口同音に、「日本製のオートバイが欲しい。中国製は3年で壊れるが、日本製は永久に壊れない。しかし、高くて手が出ない」と述べていました。一方、ベトナムでは、「中国製は3年で壊れる。高くとも日本製の方が得だ」という声を聴きました。同じ理由で、日本の家電製品も、何とか踏ん張っているようでした。

 2月10日。旧正月の元旦は、元日本語クラスの学生で、ベトナム農水省の研究員になったタムさんと、ハノイ東南郊外にある、彼女の実家近くのお寺に出かけました。大きな山門のあるお寺で、参拝者はオートバイで集まってきました。3人、4人乗りはざらで、赤ちゃんを入れて5人乗りもありました。お寺の周囲には、多くの臨時の有料駐車場が設けられていました。ハノイの街はオートバイで溢れ返っているのですが、路上放置はなく、人々は屋内外の有料駐車場をまめに利用します。HUAの構内でも、学生たちは例外なく有料駐車場を利用し、そのつど、3000ドンの駐車料(バス賃が5000ドン)を徴収員に払います。

 サテライト管理人のハー君も、オートバイでHUAにやってきて、有料駐車場を利用します。しかし、テト休暇で駐車場は料金徴収員がいなくなり、無料になりました。すると、彼は有料駐車場を求めて、構内を走り回り始めました。「いつもの駐車場に置けばいいじゃないか。無料だよ」と私が言うと、「何を言っているのですか。警備員がいなければ、すぐ盗まれてしまうじゃないですか」と彼は言いました。料金徴収員の本業は、警備員だったのです。警備員のいない市場では、どんなに細い通路でも、人々はオートバイから降りずに買い物をする訳でした。

 延辺大学のある延吉で、自転車やオートバイを全く見ませんでした。日本留学経験者に理由を聞くと「帰国後、私は自転車通勤を始めたのですが、教授に、そんな恥ずかしいことは止めなさい、と注意されました。自転車やオートバイに乗るのは、車を買えない貧乏人のすることだ、と言うのです。私は45分の道を歩いて通勤しています」と言う話でした。

ハノイ旧市街の画像
ハノイ旧市街

旧正月の古寺の画像
旧正月の古寺