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大崎教授の海外駐在記「ハノイ農業大学駐在記2(7)」

 3月24日日曜日の0時20分のハノイ発の便で帰国します。翌25日月曜日に、HUAに有料の日本語クラスが開講されます。設置者はHUAの国際教育発 展院です。有料クラスの設置理由は、日本留学や日系企業の就職を目指す学生に、日本語力をつけることであり、有料化することにより、日本語の習得に真剣味 が増すだろう、と言うことでした。

 有料クラスは、1クラスの定員が25名で、2クラス設置されました。夜間クラスで60分授業、週4コマあります。入学料は約5000円です。学生の仕送 り月額平均が約7000円ですから、かなり高いです。授業料は月額約500円です。山形大学提供の、無料の日本語クラスからも、多くの学生が入学しまし た。

 この約2週間は、有料日本語クラスと山大の無料日本語クラスを巡り、HUAと私の間で話し合いがありました。HUAは、開講に合わせて山大がボランティ ア日本語教師を派遣するよう要請しました。その要請を基本的には受諾しましたが、これから希望者を探すので、すぐには無理だ、と言うと、では独自に探すか ら、ボランティア教師が派遣されるまで、その給料を山大が払ってくれ、と虫のよいことを言い出しました。断りました。  次に要請されたのは、有料クラスに学生を集めるために、山大の無料クラスを縮小してくれ、と言うものでした。月に1人のチューター派遣に抑えてくれ、とも言われました。これに対して、私は強く反対しました。反対の理由は2つありました。

 一つは、有料クラスと無料クラスは相互に否定する存在ではない、と言うことです。有料クラスに修了認定などの優位性を与えれば、学生は集まるはずです。 その場合、語学の習得には反復練習が不可欠ですから、有料クラスで覚えた日本語を、無料クラスで反復実践することが、習得の早道だと強調しました。

 もう一つは、山大が日本語クラスを設けたのは、多くの山大生を日本語チューターとして送り込み、現地の学生と接することで、グローバル化時代に即応した人材を育成することです。この肝心要のプログラムを縮小するのは、本末転倒であり、飲めませんでした。

 日本語クラスは、単に日本語学習の場ではなく、大きな親日家のサロンを形成しています。関西のある大学が交換留学生を20人派遣してきました。この大学 が独自に作り上げたプログラムでは、HUAの学生との個人的な交流の機会がありませんでした。しかし、個人的に知り合った学生に、チューターとして夜間の 日本語クラスに参加することを勧めたところ、参加者が次々に現れ、HUAの学生と楽しい時間を過ごした学生が輩出しました。

 日本語クラスは、ベトナムの学生だけでなく、日本や、カンボジアや、韓国の留学生も参加しています。ベトナム語が拙いことで、周囲から孤立していた留学 生にとり、日本語クラスはHUAの学生と密な関係を結べる場であり、ベトナム語の習得にも効果ある場になっていました。その場がなくなるかも知れない、と いうことで、危機感を持った学生が、HUAの学生達と一緒に、私の許に連日押しかけてきて、経緯を知りたがりました。

有料日本語クラス発足式、演壇には国際教育発展院のハー院長 の画像
有料日本語クラス発足式、演壇には国際教育発展院のハー院長

鴨料理屋の2階で山大農学部の佐々木先生を囲む、山大日本語クラスの学生達。4カ国の学生がいます。の画像
鴨料理屋の2階で山大農学部の佐々木先生を囲む、山大日本語クラスの学生達。4カ国の学生がいます。