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大崎教授の海外駐在記「ベトナム国家農業大学駐在記(3)」

 ハノイの11月下旬の気温は、連日30度を超えていました。学生達は、月末に雨が降り、それから一気に寒くなる、と言っていました。予言通りに雨が降り、12月になり気温は16~17度になりました。皆はダウンジャケットを着こみ、寒い寒いと言っています。

 当地とは限らないのですが、日本語クラスにやって来る学生に接していて感じるのは、知的で、真面目で、何事にも熱心なことです。彼らにとって、正規の単位にならない日本語は、第二外国語、第三外国語であり、人によっては第四外国語、第五外国語でもあります。しかも、多くの学生は、農学、工学、経済学、などを専門としているわけですから、日本語学習の原点は、彼らの知的好奇心です

 日本語クラスで、「あなたは何が好きですか。」と問うと、多くの学生は「英語の勉強が好きです。そして、日本語も。」と答えます。工学部の3年生(5年制)の男子学生に「日曜日には何をしましたか。」と問うたところ、「英語の勉強を5時間、日本語を3時間、そして専門の勉強を。」と答えました。工学部は数学と物理が重要視されているそうです。

 山形大学リーダーシップ論で活躍していた経済学部の女子学生に、「今日は何時に起きましたか。」と問うたところ、「毎日4時半に起きます。」と答えました。授業は6時45分から始まるので、4時半に起きて、朝食抜きで、一日の予習をするのが日課だそうです。

 ゲストハウスにも学生が良く遊びに来ます。お目当ては、我が家の犬です。そして、彼らが帰る時に頻繁に言うのは、「1時間後に授業があります。少し予習をしたいので、失礼します。」です。その結果でしょうか、彼らは何事にも良く質問をします。

 毎朝4時半に起きるという女子学生に、「では、何時に寝るのですか。」と問うたところ、「今週は毎日午前2時に寝ています」と答えました。以下は英語での応答で、「学期末で、レポートを沢山書かねばならないので、寝る時間がありません。」ということでした。

 ちょうど、私が、ゲストハウスで、英語版のDan Brownの「The Da Vinci Code」を読んでいる時に遊びに来た、農学部の女子学生が、本の表紙を見て、「その本、面白いですね。私は高校時代に読みました。最近のDan Brownの作品は、」とDan Brownの作品の話を始めました。私は驚いたような表情をしたのでしょう。彼女は笑いながら、「先生、私はベトナム語訳で読んでいますよ。」と言いました。それにしても、予想外の話題でした。

 語学の習得は大変です。私も専門とする「生態学」の枠内の科学英語の読み書きは、辞書があるなら、不自由しませんが、会話となると、途端に心もとなくなります。数年前に、日米交換サマープログラムで来日した、米国の女子大学院生の指導教員になりました。同時に来日した学生同士が集まると、いつも話題になるのは、日本の大学の先生方の英語力だそうでした。「立派な英語で論文を書いているので、指導教員になってもらったが、会話が全然成立しない。」と言うことでした。みんな、苦労しているのだな、と思いました。

 ベトナム国家農業大学で、今回日本語クラスの登録者は575人いましたが、脱落率も高いです。しかし、2年目、3年目に入った学生の日本語力は凄いです。「何かおかしいよね、と、何がおかしいの、の何の違いを教えて下さい。」などと聞きに来ます。

キャンパスの池の熱帯スイレンは満開。の画像
キャンパスの池の熱帯スイレンは満開。

日本語クラスを開講している建物。構内では植物の苗造りが盛んです。の画像
日本語クラスを開講している建物。構内では植物の苗造りが盛んです。