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大崎教授の海外駐在記「ベトナム国家農業大学駐在記2(1)」

 11月10日から12月9日までの予定でベトナム国家農業大学に駐在しています。今回が4年目になりました。この間、サテライトにおける国際交流は手探りの状態で、各学部の学部長と会談したり、大学紹介や留学相談会を開いたり、学術講演会を行ったり、セミナーを開講したりしましたが、最も多くの学生と接することができたのは、無料日本語クラスの開設で、次第に力は日本語クラスに収斂しています。

 特に、山形大学の学生が、日本語チューターとして派遣されるようになってからは、現地学生の山大日本語クラス参加者数はうなぎ上りで、ベトナム国家農業大学の場合は、初年度が64人、2年目が約150人。3年目が約650人と、二つの教室に入り切れず、外に溢れかえった学生が窓から覗いている、という状態になりました。

 しかし、今回は、初日の登録者が約90人と激減しました。その理由として、参加学生達から意外な話を聞きました。山大日本語クラスの学生達が先生役になり、学生寮や各学部などで、日本語クラスを開いている、と言うのです。

 山大日本語クラスは、今回は、9時30分~11時、15時30分~17時の日に2回開講しています。しかし、この時間帯は、学生にとっては都合の良い時間帯ではないそうで、早朝の7時~とか、夜の21時~23時、という時間帯に、独自のクラスを開いているそうです。中には、高校生対象の有料クラスを開いている学生もいました。

 当初、山大日本語クラス参加学生から参加認定書を出すことを求められ、断りました。その代り、日本語能力検定試験を受けることを勧めました。今、その検定受験が各サテライトで流行っています。試験は初心者のN6から上級者のN1までの6段階に分かれています。

 正規の外国語学部日本語学科の学生はN3かN2で卒業し、現地の日本語学校の先生をしています。山大日本語クラスの学生は、多くは、農学部、工学部、経済学部などの学生で、上級クラスの学生でも、まだN2はいませんが、N3は出始めています。しかし、多くはN4かN5で、N4以上の学生が、独自のクラスを持ち始めたようです。次回の検定試験は12月6日にあるそうで、当地ではN3を受験する学生が、現役が3人、卒業生が2人います。

 山大日本語クラスのモットーは「誰でも何時でも何度でも」です。したがって、様々なレベルの学生が同じクラスにいます。山大生チューターがいる時には、能力別にチューターの数だけグループ分けしますが、普段は1クラスか2クラスの編成です。学生達にこの方式の是非を問うと、「語学学習は、各自の熱意に依存します。山大日本語クラスは、その熱意を持続させる楽しさがあります。」「何よりもの魅力は、時々山大生がやって来るので、思う存分日本語会話ができて、欠点を修正し、新しいことを知ることもできて、とても楽しいです。」

 ベトナム国家農業大学での山大日本語クラスは、教室の確保などで、国際教育発展院の協力を得ています。その係りに、山大日本語クラス出身で、今年の山形での国際サマープログラムに参加し、この9月に農学部を卒業した、ハンさんがなりました。まるで、山形大学現地職員のように、細々としたことまで熱心に協力してくれます。

日本語クラスを開いている、国際教育発展院の第二校舎。3室ある。の画像
日本語クラスを開いている、国際教育発展院の第二校舎。3室ある。

最上級クラスの参加者。前列右から2番目がハンさん。の画像
最上級クラスの参加者。前列右から2番目がハンさん。