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大崎教授の海外駐在記「ベトナム国家農業大学駐在記3(2)」

4~5年前に、ベトナム国家農業大学の男子学生から、女子学生たちが韓流スターに熱を上げていて、全く理解できない、というぼやきをよく聞かせられました。当時、ほとんどの女子学生は、化粧っ気はなく、長い髪を頭の後ろで結わえるポニーテールで、男子学生はそっけない刈り上げでした。2~3年前から、明らかに化粧している女子学生が現れ、濃く赤い口紅をつけ、髪もボブスタイルにする学生が増えてきました。
  今年は、男子学生に、韓流スターのような、頭の側面をそり上げ、頭頂部の髪を膨らませたヘアースタイルが大流行です。当初は、男子学生にも韓流ファンが増えてきた、と思ったのですが、女子学生たちが笑いながら、男子は韓流のヘアースタイルにすると、もてると思い込んでいるからだ、と言いました。女性の好みが、男性のヘアースタイルを変えたのです。韓流ヘアースタイルの男子学生に聞いてみると、床屋で椅子に座り、黙っていたら、こんな髪型にされてしまって焦った、とも言っていました。
  今年、特に目を引くのは、学生達の日傘です。日傘と言っても、色柄の雨傘を代用したものですが。これも、韓流の影響なのかと、学生に聞いてみましたが、確たる答えはなく、私も韓流ドラマを見ているわけではありませんから、なぜ急に日傘が増えたのか、その影響元は分かりませんでした。
  ベトナムでも、美人の条件は色白だそうで、2~3年前までは、女子学生は、半袖に腕を覆うカバーをして、つばの広い帽子を被って、日差しを避けていました。恐らく、それに代わったのが日傘で、やはり、おしゃれが近代化してきたからだと思います。
  ベトナム国家農業大学は、ハノイの旧市街からは15キロほど離れた農村地域にあります。しかし、大学の周囲は、この3~4年で急激に都市化し、近代化し、道路も拡張されて歩道もでき、舗装化され、道の両側には、広い窓ガラスの明るいレストランや、その他のお店が連なるようになりました。冷えた生ビールを、ジョッキーで出すレストランも出現しました。これまでは、生暖かい瓶ビールや缶ビールをコップに注ぎ、氷を入れて飲んでいました。
  先日、学生達と生ビールを飲みに行ったときに、「ベトナムは日本に比べて何年遅れているか」と問われました。この種の質問を発展途上国でされると、とても困ります。日本の過去の数十年間が、マダラ状に凝縮して存在するからです。何を基準にするかで、話は変わってきます。また、あまり率直な印象を話したくないこともあります。
  それはともかく、ベトナム国家農業大学の先生方の間に、自家用車を持つ人が増えてきました。日本産が多いですが、韓国産の現代や起亜も目につきます。しかし、4~5年前には、自家用車を持っている人は、ほとんどいませんでした。日本で、国立大学の先生方に自家用車が普及しだしたのは、40数年前だったと思います。そういう意味では、ベトナムは、日本の40数年ほど前の状況に似ています。
  それを、思い切って言ってみると、皆がかなりのショックを受けたようでした。40年という数字を、小さく反芻していた一人の学生が尋ねました。「ベトナムが、日本のように、国産車を作るようになるのは、いつ頃になると思うか」私は、答えに窮しました。

日本語クラス。男子学生の髪型に注目の画像
日本語クラス。男子学生の髪型に注目

日傘をさす人々の画像
日傘をさす人々