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大崎教授の海外駐在記「ベトナム国家農業大学駐在記3(5)

 ベトナム国家農業大学で、滞在中に山大日本語クラスを開いて、今回は5年目になります。生徒の初期登録数は、2年前の約650人をピークに、昨年は、約150人と激減しました。減った理由は、上級クラスの学生達が早朝や夜間に独自の日本語クラスを開講したり、日本語塾に雇われたりして、大学周囲に沢山の日本語クラスが出来たからだと説明されました。しかし、その先生役の学生達も、日中の山大日本語クラスによく参加しました。
  今年は、この現象に拍車がかかっています。生徒の初期登録数は100人程度に減り、しかも、2年目、3年目の、従来なら常連になるべき古参生徒が激減しました。残った古参生徒も、たまにやって来ますが、生徒としてクラスに参加するというより、アドバイザー的振る舞いで、授業を止めては、新しい生徒たちに何やら解説をしたがります。
  分かってきたのは、古参学生の多くは、有料の日本語クラスを経営しており、生徒数も5~20人にも及んでいました。日本でも、中高生にアルバイトで英語を教える学生がいますから、教えること自体は何ら不思議ではありませんが、その度胸の良さには驚かされます。
  さらに、アルバイトは日本語教師にとどまらず、日本語通訳として、お店や企業、観光ガイドにも進出していました。そして、そうして稼いだお金で、ハノイの中心街に設立された本格的な日本語学校に通い、日本語能力の向上に努めている学生が多いことです。彼らの夢は、日本への本格的な留学や、日系企業への就職だそうです。
  そういう意味では、不定期に開かれる無料の山大日本語クラスの魅力は薄れて、学生達はお金を払ってでも、規則的に開かれる、街に溢れてきた有料日本語クラスに流れているようです。また、それだけベトナム社会が豊かになってきた反映かも知れません。
  そんな学生の一人で、ハノイの日本レストランでアルバイトをしている学生が言いました。「店の規則が厳しくて、ストレスが溜まって大変です。」「客への挨拶、皿やコップの運び方。そんなことまで指示されるのですよ。」日本に行ったことのある女子学生が、「日本人の自殺率が高い原因が、日本に行ってすぐに分かりました。」と言いました。「日本は規則が厳しいです。赤信号になると、車が通っていなくとも、人は止まらなければなりません。とてもストレスが溜まります。だから自殺率が高いのだ、と知りました。」「ベトナムは、本当に自由な国だと思いました。」
  11月20日は「先生の日」でした。この日は日曜日だったので、前もってのお祝い行事が多く、先生たちに集まってもらって、歌や踊りを披露する光景が、学内各所で見られました。ゲストハウスの私の部屋にも、木、金、土曜日に、学生や元学生がやってきました。例年なら、彼らは大きな花束を持って来るのですが、今年は、花束は二組で、ウオッカを持って来た学生がいました。3年連続して、大きく立派な手帳を持って来てくれた日本企業に勤める元女子学生もいました。1ページ目には日本語で、感謝の言葉が書いてありました。
  土曜日の昼過ぎにやって来た、日本語クラスのリーダーのリンさんも、ウオッカと二日酔い止めの薬用茶を持って来ました。「先生には花よりこの方が良いと思いました。」そして「これからマルクス・レーニン主義の授業があるから。」と言って、帰って行きました。

先生の日のプレゼントの画像
先生の日のプレゼント

後列中央がクラスリーダーのリンさんの画像
後列中央がクラスリーダーのリンさん