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大崎教授の海外駐在記「ベトナム国家農業大学4(2)」

 日本は異常寒波の襲来で、東京も雪が降っているそうですが、ハノイは連日25度を超す陽気です。1月24日は、ハノイ都心部にある私立アムステルダム高校で、JASSO(日本学生支援機構)主催の日本フェスティバルがあり、ハノイの高校生に日本の大学を紹介するコーナーもあると言うので、山形大学も参加しました。

 ベトナム国家農業大学は、ハノイ都心部からは川幅1kmのソンホン川を隔てて10数km以上離れた農業地区にあります。郊外には片道四車線の自動車道路が伸びていますが、川を越えて都心部に入ると、道は細く、両側は四、五階建ての古く細長いペンシルハウスがごみごみと密集しています。郊外も都心も、道にはバイクが溢れて、ひっきりなしに警笛を鳴らし続けています。それが、私が抱く猥雑なハノイの街でした。

 ところが、今回、ベトナム国家農業大学で乗ったタクシーは、大学の裏まで伸びてきた都市高速にすぐに乗り、いつもとは異なるコースで都心部に入って行きました。高速道路の路上にはバイクが全く走っておらず、道の両側には、40階、50階、という高層マンションが現れました。アムステルダム高校は、コンクリートで固めたモダンで大きな大学の校舎のような学校でした。周囲は40階を越える近代的なビルディングが林立し、植物の緑も、都会の喧騒もない、無機質的な世界でした。韓国人が多く住む一角だそうです。

 ベトナム国家農業大学の以前の学生は、英語が得意で、日本語クラスに通う学生は、熱心な勉強家、という印象がありました。しかし、最近の学生数は1万から4万に膨れ上がり、英語が全く通じない学生が増え、努力家という印象も薄れつつあり、私のベトナム人学生に対する印象自体に陰りが出てきています。ところが、アムステルダム高校で接した高校生は全てが優秀でした。滑らかな英語を話し、日本語も得意な学生もいました。

 この高校の卒業生の多くは、毎年、欧米の大学に進学するそうです。教頭先生と話をしましたが、彼の息子さんも、1人がアメリカへ、1人がイギリスへ留学中だそうでした。この日、私たちは、4人のベトナム国家農業大学の学生と、山形大学のブースを作るために、ステッカーや横断幕、パンフレット、大学ロゴ入りの団扇などを持って行ったのですが、なんだか、田舎のネズミが都会に迷い込んだような気分になりました。

 山大以外でブースを作ったのは、九大、筑波大、横浜国大、早大、法大、立命館太平洋大、東京国際大でした。中には、椅子の背に、大学のロゴ入りカバーを被せて手慣れた様子でブースを作る大学もありました。山大は、昨年の山形のサマープログラムに参加した3人の女子学生(リン、チン、アン)が色々と事前準備をしてくれて、当日も、ブースに高校生を呼び込み、相談に乗っていました。居合わせた日本人の年配の男性が、山大のブースが最も目立ち、集まった学生も最も多い、と大声で話題にしてくれていました。

 しかし、参加大学の中では、山大が唯一、英語での履修コースがなかったです。高校生の質問の多くは、合格の目安となる、EJU(日本留学試験)やTOEFLやTOEICの得点に集中しましたが、答えることはできませんでした。ただし、理、工、農の3学部は、現地受験のEJUだけでの渡日前入学許可制度があり、英語での受験も可能としていました。

(1)私立アムステルダム高校正面の画像
(1)私立アムステルダム高校正面

(2) 山形大学ブース。左より、リンさん、アンさん、チンさん。の画像
(2) 山形大学ブース。左より、リンさん、アンさん、チンさん。