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馬場遥平 人間文化学科 2年

派遣期間:平成29年9月4日~9月16日(13日間)

<日本語教室での活動内容>
 日本語教室は、ラトビア大学経済学部キャンパスにて、週に4回行われた。月・木曜日は14:30~17:30、水・金曜日は14:30~19:00、という日程である。生徒の年齢層は10代~40・50代と幅広く、教室に来た理由・目的も「日本語に興味があるから」、「アニメや漫画が好きだから」、「留学や旅行で日本に行く予定があるから」など、さまざまである。
 教室では、ニューカマー、ビギナー、ミドル、アドバンスと、生徒の能力別に4つのクラスに分け、授業を行った。私は主にニューカマー及びビギナークラスを担当した。ここでは、日本語を聞いたことがない、まったく知らない、という生徒が多くを占めている。そのため、取り扱った内容は主にひらがなやカタカナ、私は○○です、これは○○です、という簡単な表現、時計の読み方などである。漢字については、ひらがなやカタカナも含め、その歴史や音読み・訓読み、部首についてを簡単に説明するにとどめた。
 また、単調な授業にならないよう、偶然持っていた書道用具を活用し、日本の文化紹介を兼ねた書道教室を開いた。その際に用いた日本の新聞や広告も、非常に好評であった。
 上の文中において、「簡単に説明するにとどめた」と、あたかもさらっと、すらすらと説明できたように見て取れる記載があるが、実際は全くの逆である。私の英語の能力は乏しく、語彙もまた同様であり、毎度遠回りな説明になる。しかしその都度、生徒たちがより分かりやすい表現に言い換えてくれたり、言いたかった単語を提示してくれたりと、ともに交流しながら授業を作っていることが実感できた。

 <教室以外での活動内容>
 現地の人にすすんで声をかけ、現地の人と私とで外出する、ということが目標の一つであった。結果として、そのような機会を多く設けることができ、充実した日々を過ごすことができた。
 その中で最も衝撃的だったのが、偶然出会った、日本語教室とは関係のないラトビアの人と、彼が通う柔道教室に2人で行ったことである。彼の英語はラトビア語あるいはロシア語なまりであり、rの発音が「ルルル」のように巻き舌になる。したがって、「How are you」も「ハウアルルユー」のようになる。一度で聞き取れなくとも、適当な返事でごまかしてはならないと考えているため、会話の途中に何度も聞き返し、理解しようと努めた(彼以外の人との交流の場合も同様)。彼も怒らず、何度も答えてくれ、優しさを感じた。彼が言うとには「柔道教室には日本人も来ている」らしく、また待ち合わせの連絡の文面には「Sensei is waiting us.」とあったので、センセイも日本人なのだろう、ぜひあいさつをしたいと思った。意気揚々と道場に乗り込むと、そこには日本人の姿はなかった。もしやと思いセンセイの方を見ると、そこにはブルース・ウィリス似のとびきりダンディな、道着姿のSenseiがいらっしゃった。言うまでもなく、私の口から出てきた言葉は「こんにちは」ではなく「Hello!」であった。
 その後、ついに柔道教室が始まるのだが、ここで念のために用意しておいた「ラトビアに持ち込んだ服の中で最も動きやすい服セット」が役に立った。というのも、当初は、日本から遠く離れたラトビアでの柔道教室はどのようなものか、よく目に焼き付けようと見学する気満々であった。しかし、「一緒にやろうぜ」という流れになり、私も稽古に参加することになったからである。その内容はと言えば、日本における柔道教室とほとんど変わらないものであった。また、折に触れて「礼」や「やめ」、「はじめ」といった日本語を用い、その説明をするため、それらを英語で聞くことができ、新鮮であった。ただし、教室の雰囲気は和気あいあいとしていて、笑いが起きる場面も少なくなかった。この点は、日本におけるそれとは少々異なる点なのかもしれない。
 現地の人から寝技の指導を受けたことは忘れられない思い出である。自分の運動不足を反省するとともに、非常に楽しく、新鮮な時間を過ごすことができた。持ち込んだ白いシャツ、寝巻のズボンを引き換えに、すばらしい経験をすることができた。自らすすんで行動することで、多くの人と出会うことができ、多くの経験をすることができるということを実感した。現地での自分の行動及び現地での経験は、今後の私の生き方、考え方に大きな影響を与えるだろう。

<参加目標への達成度・参加した感想・今後の展望>
 初めての海外での生活を楽しむこと、すすんで声をかけ、英語を使うこと、現地の人との交流をすることが私の目標であった。上記からわかるように、非常に充実した日々を過ごすことができたため、これらの目標は十分に達成することができたといえる。このプログラムの魅力は、日本語教室というものを通して、現地の人との交流が必然的に発生するところにあると思う。現地の人との交流は、旅行や観光ではめったに実現するものではない。期間も二週間ほどから参加できるため、私のように、初めて海外に行く、という人にぜひ参加をお勧めしたい。自身の英語能力や日本語に関する知識は、まったく心配する必要はない。必要なのは、自分の意思を伝えよう、現地の人とすすんで交流しよう、という心意気である。また、はじめて海外を目の当たりにし、海外(ラトビア)と日本との違いを見る、考える思考回路が頭に形成されたように思う。海外について取り上げるテレビ番組を見たときにも、「ここが違うんだ、すごいな」という感想を持つことはできるが、番組が終わると、それきりで終わってしまう。自分の目で確かめることの効果は絶大であると学ぶことができた。今後は、より深く様々な土地や、そこにいる人々の考えを知るため、機会を設けて海外に行き、そして留学も視野に入れて勉学に励む心づもりである。

日本語教室の様子の画像
日本語教室の様子

ラトビア大学経済学部の画像
ラトビア大学経済学部

教室外での活動の画像
教室外での活動

教室外での活動の画像
教室外での活動