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浅野舞 工学部高分子・有機材料工学科 1年

派遣期間:平成30年2月21日~3月14日(22日間)

日本語教室での活動内容
 渡航前の話に聞いて想像していた授業形式とは大きく異なり、極端に狭い部屋での指導となった。少人数の生徒さんと非常に近い距離の下で指導をせざるを得なくなったことは堅苦しさを取り除くことにつながり、結果としてとても良かったと思う。
 当初は大崎先生の仰っていたように各自が自分の考えた指導を行う予定だったが、狭い部屋で別々の話をするのは無理があったため 集団指導+個別指導の演習 という形に落ち着いた。指導方法については私たち山大生の中で各々の自論があり、個性も気も強すぎる仲間たちはまとまらずまとめることもできず非常に大変だった。最初に着いていた慎太郎くんがとても有能だったため結局彼に頼り過ぎてしまったところもあり、その点は反省している。
 クラスはライティング(文法事項)、スピーキング(表現)、文化紹介の3つのテーマで開講した。しかし、上級の生徒さんはあまりにも出来が良くて何を教えればいいのかわからず困るほどだった。高校英語の参考書を基に問題を考えて細かい文構造や語尾の変化、尊敬語謙譲語なども扱ったが、全てあっさり解いてしまっている生徒さんが少なからずいて驚いた。初級の生徒さんは今回の日本語教室が本当に初めての人も多かったので、ひらがなカタカナの書き方と発音から教えた。
 私は「どうやったら使える日本語を楽しく学べるか」ということについて考えて授業に臨んだ。7年間英語を勉強してきたが、テストには対応できても実際の生活で使うものとはなんだか違うことが今回英語を使おうとしてよくわかった。また、私は今塾講師のアルバイトをしているので、今年度一年間は勉強の効率ややる気についてよく考えてきた。自分がどのような教育を受けたかったか、どうしたらやる気が出たか、教える側としてどうすればよいかを改めて考えて、内容よりもアプローチの仕方を考えた。私は生の日常会話の機会を与えることが私たちが一番役立てることだと考えたので、フリートークの時間を大切にした。3~4人で会話をすれば焦らせることも少なく、自然と楽しく学習ができたのではないかと思う。話をしていく中で同世代くらいの生徒さんたちととても仲良くなり、後半は毎日遊んで、今もLINEが途切れないほどの良い友人となった。

日本語教室以外での交流活動
 宿泊したホステルプリマは同世代ばかりで、挨拶をすると皆笑顔で返してくれるとても雰囲気の良い場所だった。話しかけてくれる人も多く、名前を覚えてもらえたりもした。しかし、挨拶以上の会話をしたいと思っても自分から話しかけに行けるほどの英語力が無く、受け身で盛り上がれずに悲しい思いをした。
 そんな中、中国人の青年と仲良くなった。プリマは階ごとについているキッチンのルールが階ごとに決まっており、彼のフロアは当番制で食事を作っていた。私たちは彼に頼まれて、寿司を作って振舞うことになった。スーパーマーケットに行くと寿司作りに必須な品が揃っていて驚いた。肝心の具材の生魚だけがどうしても手に入らず、イクラの瓶とキュウリ、ツナ、マヨネーズなどを軍艦にしようとした。しかし冷蔵庫に保存していたらイクラだけ盗まれてここでも悲しい思いをした。それでも皆喜んでお礼を言ってくれたので嬉しかった。
 寿司に関してはTOKYO CITY というお店に行った思い出もある。店の雰囲気もメニューも日本の雰囲気がほぼ感じられなかったが、とても多くの種類のカリフォルニアロールがあった。皆でたくさんの種類を試したが、どれもマヨネーズやクリームチーズベースのソースが乗っていて美味しかった。私はとても好きな味だった。
 ラトビアの食事は本当に美味しくて安くて、日本に帰りたくないと思うくらいだった。授業終わりにスーパーマーケットに寄るのが日課で、パンとサラミやハム、お菓子、量り売りのナッツを大量に買って帰って好きなだけ食べた。ラトビアの伝統料理を食べたくて数人に聞いたが、皆パンとポテトとチーズなどと言っていたので野菜を食べることは諦めた。
 ラトビアではラトビア人だけでなく日本人の知り合いも多くできた。彼らも年の近い学生だったが、行動力や知識に感服するばかりで、自分が数年後それほどの力を持てるとは思えなかった。しかし、もっと頑張ろうという気持ちや自分も行動を起こせばこうなれるのかもしれないというちょっとした現実味も感じられた。
 様々な人種に囲まれて暮らす中で、壁について考えた。私だけでなく、おそらく多くの日本人が海外との壁を大きく感じていると思う。私はその壁があることを当然だと思っていた。しかし、プリマで違う人種の若者たちが入り混じって喋っている状況が普通で、違和感や未知感をずっと拭えなかった。この壁の正体は言語の違いなのか、日本人の先入観なのかどちらもあると思うが、私が英語を話せないことが友達や出会いを大きく狭めている事実をはっきりと突きつけられて切迫した焦りと英語の必要性を初めて感じた。

参加目標の達成度と努力した内容
 英語のコミュニケーション能力は想像通り足りなかった。ただ思っていた以上に意思の疎通は図れたことが嬉しかった。それは相手が理解しようと努力してくれたところが大きいと思う。最初は怖気ついてしまって話しかけられるのを待っていたのが駄目だったと思う。しかし後半は精いっぱい努力して自分の意思を伝えることができた。英語の語彙力などの能力面は殆ど成長していないと思うが、英語を使う能力はしっかり上がったと思う。上がったと言うよりも抵抗がなくなったと言うほうが適切かもしれない。このことは消極的になりがちな私にとって大きな進歩だと思う。
 自信を持ちたいということも私の大きな課題であった。今回は逆に打ちのめされて自信がついたかはわからないが、明らかに度胸はついた。今後は日本語が通じるところなら恐れず生きていけると思うし、異国も自分の生活と繋がった世界として捉えることができるようになった。このような成果を考えると、総合的に見た達成度は満足のできる程度だったと思う。

プログラムに参加した感想
 非常に密度の濃い時間を過ごせた。悔しいこともたくさんあったがそれも含めて本当にたくさんの刺激を受け止められたことが満足だし、今後の自分の役に立つ確信がある。

今回の経験による今後の展望
 英語の未熟さ、特に具体的な不足部分が分かったので自学に力を入れたい。TOEICを活用して確実にレベルアップしたい。
 ラトビア人の歳が近い友人が何人もできたので、その子と今後も連絡を取り続けて彼らが日本に来る時には日本を案内したい。私もラトビアにまた行くつもりなので、それまでに言語と異文化への壁をなるべく無くしたい。今回の刺激を忘れず、全て受け止めて気を引き締めて生活したい。