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谷口雄樹 理学部理学科 1年

派遣期間:平成30年3月5日~3月18日(14日間)

日本語教室での活動内容
ラトビア大学における日本語教室は現地高校生から社会人までの幅広い年齢層の方々が受講していた。また受講者によって学習進度が全く異なっており、一人一人に合わせた進度で授業を行った。授業は日本語の書き方、会話そして日本の文化についてなどの授業をレベル別に分けて行った。
この中で一番苦労したのは初心者向けの会話の授業であった。私の担当した受講生の中にひらがな、カタカナは読めるが意味がわからないという人がいた。そういう人たちにバラバラなひらがなの羅列から意味を持つひらがなの羅列に思考を転換してもらうのがとても難しかった。特に外来語を日本語のカタカナに直す説明が難しかった。例えば「バス」という単語はBusという単語であるが、busをそのまま日本語読みに直すとおかしくなる。この英語と日本語のニュアンスの違いを英語で説明するのはとても難しかった。
また一番面白かった授業は上級者向けの会話の授業であった。そこに参加する受講者の中には日本語能力試験の受験を考えている方も多数いた。そういった人達とペアを組み会話をするが、中には専門的なことを日本語で話す機会があった。その人は宇宙分野に非常に関心があり、自分が私的に持参していた現代天文学(日本評論社)に興味を示していた。そしてその本に出てくる話題について会話し、わからない単語を説明するなどした。他にも、話題は異なるが日本についてなど奥深い話題を英語を交えつつ日本語で会話し、さらに日本に興味を持ってくれる、この授業が面白かった。

日本語教室以外での国際交流
現地では日本語教室の受講生と食事に行ったり、買い物に行ったりした。その交流を通して異国の文化に触れることができた。その中で一番印象深かったのは郵便局での出来事であった。私は日本に荷物を送ろうと現地の郵便局に赴いた。そこで拙い英語で海外に荷物を送りたいと伝えた、が言葉が通じなかった。その後にこの出来事を受講生に話した。すると、ラトビアの公用語はラトビア語であり、その他ロシア語や英語などが話されているが、1990年代初期にソヴィエト連邦から再独立したこともあり英語が通じないという場面が多々ある、と教えてくれた。そして受講生と一緒に郵便局に赴き、荷物の送り方を教えてもらった。日本では何気にできている事でも、一歩日本を出ればわからない事、できない事にすぐに遭遇してしまう。それが現地の受講生との交流の中でわかった事である。

参加目標の達成度と努力の内容
今回のプログラムでは2つのことを目標としていた。1つ目は現地の人たちと一緒に日本語を勉強する過程で、日本という国を深く知ってもらうことである。この点について、受講生の多くは日本について非常に関心があったように思う。現地の書店でも日本の漫画が置かれ、アニメが放映されていた。それらを入り口として日本独特の文化や作法、人との接し方などを日本語というツールを用いてうまく伝えられたと思う。
2つ目は現地で日本と同じように生活をするというものである。その中で、現地で実行しようとしたのは荷物の郵送と銀行口座の開設であった。荷物の郵送は上にも述べたように、現地の受講生に助けてもらいなんとか実行することができた。しかし銀行口座の開設はなかなか上手くいかなかった。手続きは英語で行えるが、行員の言っていることがなかなか理解できず、1度開設に失敗してしまった。その後に無事口座を開設できたが、自分に英語力がないことを痛感した。

プログラムに参加した感想
ラトビアへの留学を通して日本の素晴らしさを再認識することができたと思う。これは一度日本の外に出てみなければわからなかったと思う。例えば、日本での量販店や飲食店では店員さんが笑顔で迎えてくれるがラトビアではそれがなく、非常に驚いた。
日本語をラトビアの人たちに教える過程で、日本を見つめ、ラトビアの文化や風土などと比較することによって双方の良いところや悪いところが見えてきた。2020年には東京でオリンピックが開催される。その際に外国人が数多く来日すると考えられるが、その際に日本の良さを発信していくのは日本人だけではなく、今回日本語教室での受講生のような人たちかもしれない。そのような、いわばオピニオンリーダー的人材はどのような形であれ日本に関心を持ち、日本語を学んでいる人たちであり、決して日本人だけではないと思った。また日本に関心を持つ人たちと日本語を一緒に学ぶことを通して日本を知ってもらえることは、その人の身近な人にも日本のことが伝わることと同義であり、もし誤ったことを伝えてしまうと、日本に対して誤った認識を持たれてしまうと感じた。このような意味で学生大使というのは本物の大使には及ばないが、やはり大使というのは間違っていないと感じた。

今回の経験による今後の展望
私は近いうちにヨーロッパへ長期留学に行きたいと考えている。その長期留学を行う上での課題を今回の留学で多数見つけることができた。また人とのコミュニケーションを行う上で英語だけでなく、自分から積極的に話していかなければならないというのも今回の留学を通して学ぶことができた。さらに今回の留学の中で自分の英語力のなさを痛感した。それらを克服するためにも、まずは英語力の向上をはかり、自分から話しかけていく能力を身につけ、今後の海外での学びにつなげて行きたいと思う。

リガ近郊の町の画像
リガ近郊の町

リガ市内を走るバスの画像
リガ市内を走るバス

日本語教室の画像
日本語教室