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後藤沙希 地域教育文化学部地域教育文化学科 1年

派遣期間:平成30年3月5日~3月16日(12日間)

日本語教室での活動内容
月曜日・水曜日...会話(16:00~17:30初級、18:00~19:30上級)買い物、しりとり、位置と方向指示、許可を求める表現
火曜日...日本文化(17:30~19:00)折り紙、しりとり、箸の使い方
木曜日・金曜日...書き方(17:30~19:00)ひらがな、カタカナ、漢字、短い文章の読解
 日程は上記のとおりで、1コマ90分の授業を週5日7コマさせていただきました。ラトビア大学の学生さんも参加できるように夕方、大学の人文学部校舎の一室を借りて開きました。参加人数も7名~10名ほどでしたので、派遣期間終盤でも山大生一人に対して二人くらいとアットホームな空間で授業ができました。
授業内容はスピーキング、ライティング、文化の3つを曜日ごとで分けました。スピーキングは初級を担当しました。
スピーキング初級ではその日その日でテーマを決めて、借りていた日本語学習のテキストの中から使えそうなページをコピーして使っていました。初級に参加する生徒さんの中でもレベルはまちまちでした。ひらがなを読むことに慣れておらず、例文の下のローマ字を読みながら練習する方もいれば、状況をイメージしつつすらすらと読める方もいて、その二人を同時に指導する場面もありました。そのときは、会話のテキストを見ながら役割を交換して練習したり、テキストを見ずにホワイトボードを商品に見立てて演じてみたりしました。しかし、演じてみるときにも、ひらがなを読めない生徒さんの方はなかなか言葉が出てきませんでした。例文を暗記して欲しいわけではなかったので、私が英語でヒントを出して、その意味に近い意味を思い浮かべてもらいました。例としては、「では、それをください。」を「お願いします。」でもOKということするなどです。値段を訊く練習では、値段を変えてみたりサイズを尋ねる会話に変えてみたりと、同じようなシーンを様々なパターンに触れられるようにしました。位置と方向指示は、上下左右・間などの単語は簡単なようでした。しかし、それを文章に取り入れるとなったときに出てくる「~の」をつけることが少し難しいようでした。
 文化では、折り紙と箸の使い方をしました。箸については、参加した生徒さん方のほとんどが配った瞬間に上手に使い始めていて、正直驚きました。ラトビアに派遣された友人の話では、お店によってはラトビアのレストランでも普通に箸が出てくるとのことだったので、彼らにとっては比較的馴染みのある文化だったのではと思いました。折り紙は、生徒さん・学生共とても楽しそうに活動していたように思います。特に押すと跳ねるカエルや少し難しい箱が人気でした。学生がたくさんいる時期には、みんな一人一つカブトを折って、その日の授業の最後に写真を撮りました。その日は学生の方が生徒さんにカブトの折り方を教わる姿もあって、とても素敵な文化体験だったなと思います。
 書き方については、初級・上級に分けなかったので、担当する生徒さんのレベルに合わせてその日の授業の内容をその場で決めていました。ひらがなは好きだがカタカナはややこしくて好きではないという生徒さんもいました。特にシとツは指導する学生の書き方の癖にも言及してこられる生徒さんがいて驚きました。大抵は点々を縦に並べるか横に並べるかを説明すると納得してもらえます。しかし、その生徒さんは英語もあまり話せる方ではなかったので、説明も翻訳アプリを見せながらしました。それでもうまく説明できず、最終的に日本語とラトビア語の両方を話せる生徒さんに助けを求めたのも思い出深いです。最終週の木曜日は、日本語学習のテキストの巻末の方にある文章を印刷しておき、ひらがな・カタカナをクリアしている人に読み取りをしてもらい、わからない単語や文を質問してもらうという形式をとりました。日本の文章は「誰が何を」という部分がわかりづらいのか、正月などの単語の質問と同じくらいたくさん質問されました。

日本語教室以外での交流活動
 ラトビアに到着した初日、次の日の朝ごはんを買いに寮近くのスーパーへ買い物に行きました。おばさまの店員さんだったのですが、カードをかざす場所を教えてくれた上に、私たちがビニール袋を開けられないのを見かねて手伝ってくれました。たったそれだけの交流でしたが、外国に着いたばかりの私にはその小さな優しさがとても有難かったです。
 エストニアとリトアニアにそれぞれ一泊二日で観光に行きました。
 二週目の火曜日に、生徒さんの一人がOrigo(駅に併設するショッピングモール)内の書店とRimi(現地に多くある一般的なスーパー)を案内してくれました。そのあと、LIDO(現地の料理が食べられるレストラン)で閉店時間が過ぎるまで話をしました。彼の英語が流暢すぎて聞き取れない部分が多くて悔しかったですが、それよりも私たちが食事している最中に店員さんが椅子を片付け始めたことが面白かったです。
 水曜日には、授業後に念願だったオペラを観に行きました。英語の字幕は流れるのも早く、解釈が追い付きませんでしたが、少しおしゃれをして会場の雰囲気を味わえたので、とても素敵な体験になりました。
 最終日には、授業後に生徒さんおすすめのケバブを食べに行きました。
 最終日、寮に帰ったあと、Rimiを案内してくれた生徒さんがラトビア、エストニア、リトアニア3カ国の絵本を見せてくれました。

参加目標への達成度と努力した内容
 一番達成できたと思う目標と努力した内容は、日本語教室で相手をする生徒さんの能力や興味関心に合わせた活動を考えて実行するということです。授業と言っても、対個人の形だったので生徒さんの到達度を見つつ次に進むという感じでした。最初に今日は何をしたいか訊いてやる内容を決めたり、進み方によって次にする内容を変えてみたりと、以前よりも臨機応変に対応する力がついたのではないかと思います。

プログラムに参加した感想
 ラトビアの生徒さんとの交流からは勿論、同じく派遣された仲間の姿からも本当にたくさんの刺激を受けました。生徒さんの興味があることに向かって突き進む熱意と学んだことの吸収の速さには、終始驚かされるばかりでした。授業でも日本語学習の枠を越えて、それぞれ違う知識や考え方を持つ人たちが集まって互いに知っていることを教え合う姿が見られてとても素敵な空間だったなと思います。コミュニケーションに必要なのは言葉と伝えよう関わろうとする気持ちなのだと実感することができました。学生大使派遣プログラムには語学留学などとは違った良さがあると聞いていましたが、実際に行ってきてみてそれが少しわかった気がします。この学生大使を通して、その地に暮らす人々とかかわりを持てたこと、その地独特の環境に「住む」ことができたのはすごいことだったのだと今になって思えます。日本語を教えに行ったはずなのに、かえって私がたくさんの学びを得られた経験になりました。

今回の経験による今後の展望
 挑戦することに「やりすぎ」はないのだと気づいたので、とりあえずやってみよう!くらいの気持ちを常に持って生活していきたいです。コミュニケーションをとるとき、気持ちだけでは補えず悔しい思いもしたので、英語を勉強しようと思います。