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田中冴美 地域教育文化学部地域教育文化学科 2年

派遣期間:2017年8月24日~2017年9月8日(16日間)

<日本語教室での活動内容>
場所:ラトビア大学経済学部
時間:月、木 14:30~17:30
   水、金 14:30~17:30&17:30~19:00
   土日と火曜日は休み
クラス:New Comer、Beginner、Middle、Advance

 生徒数は大体40人くらいで、高校生から社会人まで幅広い層が来ていた。私は主にAdvanceを担当していた。Advanceの生徒はいつも8人くらいだったが、日によって4人だったり10人だったりまちまちだった。人数が多いときは講義形式で、人数が少ないときは対話形式で授業を行った。Advanceの生徒は「〜は〜です。」「〜は〜ですか。」といった会話ができ、「を、に、が、と」などの格助詞も大体使える。授業では主に文法をした。「〜しなければならない」、「〜すべきだ」という表現はまだ知らないとのことだったので、そこから始めて、英語の助動詞にあたる範囲を教えていった。特に苦戦したのは「〜できる」という可能表現を教えた時である。私たちは普段、活用などは意識せずに「食べられる」「来られる」「泳げる」などの可能表現を使う。しかし、生徒からすればどの動詞がどう変化するのか分からない。可能表現を教える前に、まず五段活用動詞などを教える必要があった。国語文法はとても久しぶりで、思い出すのに苦労した。日本語教室ではあまり文法はしないのではないかと思っていたが、advanceの生徒は文法を勉強したいようであった。文法は、単語や文化より教えるのが難しいが、生徒に伝わったときの達成感と喜びが大きい。
 たまに息抜きに遊びをした。折り紙やすごろく、かるたなどである。どれも生徒は楽しんでくれた。中でも良かったのは、いろはかるただ。いろはかるたは、「犬も歩けば棒に当たる」などのことわざが書いてあるかるたである。Advanceでは、ただかるたをするのではなく、札をとった人に書いてあることわざを読ませ、その意味を説明してもらう、ということをした。生徒は日本語のことわざの意味が分かると感心していた。楽しめて日本語の勉強にもなる遊びだった。 
 また、日本語教室では、常に生徒を名前で呼ぶことを心がけた。授業を始める前には必ず自己紹介をし、生徒の名前を聞いて、席順に紙に書いた。ラトビアの人は同じ名前や似たような名前、難しい名前が多く、覚えるのが大変だが、何回か顔を合わせ名前で呼ぶようにすると自然と覚えられる。席順に名前を書くと、授業という感じがするし指名がしやすい。そして何よりもお互いに名前で呼び合うと、相手と親しくなれる。名前は大切だと思った。

<日本語教室以外での交流活動>
 日本語教室以外でも、生徒と山大生とでご飯を食べに行ったり遊びに行ったり、交流の機会はたくさんあった。ラトビアの人は一見クールに見えるが、一緒に話をしていると意外と気さくだったりする。授業では一方的に話すことが多いので、親密に話せる機会は大切だ。話した中で、ラトビア語を教えてもらったことが印象に残っている。生徒と話すときは英語だが、ラトビアの人は普段はラトビア語で話すし、街の看板や商品に書いてある文字はほとんどラトビア語だ。ラトビア語のこの言葉はどういう意味なのか、ラトビア語でこれはなんて言うのかと聞いてみることで、生活の中のラトビア語が少し読めるようになる。また、覚えたラトビア語のあいさつを使ってみると、現地の人との距離がぐっと縮まる感じがした。ラトビアの人が日本語を話してくれると嬉しいように、やはり日本人がラトビア語を話すのも嬉しいのかなと思った。 

<参加目標への達成度と努力した内容>
 参加目標は3つあった。一つ目は色々な建築を見ることだ。リガの旧市街は世界遺産に登録されている。その理由として西欧の11~17世紀の建築様式が混在していることがある。旧市街は大学のすぐそばにあり、派遣期間中は皆のおなじみの場所となっていた。調べていた通り、リガの街の建築は年代や様式が様々であり、そういった建築を一度に見られたのは貴重であった。さらに休日にはリガから出てスィグルダへ行ったり、隣国のリトアニアのヴィリニュス、シャウレイに行ったりして積極的に探訪できた。少し離れるだけで街の雰囲気が全然違うのが印象的だった。二つ目は英語力の向上だ。英語は、日本語教室で教える時や、街で何かを尋ねる時、寮の人と話す時、あらゆる場面で使わざるを得ない状況に置かれることで、向上したのではないかと思う。三つ目は現地の人との交流だ。これは上にも書いた通り、達成できただろう。積極的に話しかけることを心がけた。

<プログラムに参加した感想>
 このプログラムは自由度が高く、学生自身で考えて行動しなければならない。何もしなければ何もしないで終わるし、何かをしようと思えばいくらでも出来る。自由度が高い分、想像以上に現地の人と交流する機会があった。すべての場面が交流の機会である。特に、日本語教室での交流は学生大使ならではで、ここまで深く交流するのは観光ではなかなかできない。ラトビアは前述した通り、一見クールな人が多く、もしこのような交流する場が無かったらその印象で終わっていただろう。その国がどういう国なのかは、「人」によるところが大きいと感じたし、たくさんの人に出会えて、仲良くなれて良かった。また、学生自身で考えて行動することで、「生き方」を身につけることができた。行き帰りの飛行機、現地の交通機関の利用、お店での商品購入など、初めは戸惑いつつもだんだん慣れていき、とりあえず何とかなるという精神を手に入れた。何事も挑戦だということが分かった。

<今回の経験による今後の展望>
 今回の経験を通し、英語と日本語の両方をもっと勉強したいと思った。自分がもっと英語を話せれば、コミュニケーションの幅をもっと広げることができたと思う。今回出会えた人とまた交流があるだろうし、これから出会う人もいるだろう。その時に英語で十分に話せるようにしたい。また、日本語も勉強しようと思ったのは、日本語教室での生徒の姿に感化されたからだ。生徒は日本語に対して真摯で、日本人の私の方が気づかされることが多かった。日本人だからこそ、日本語を学んでいきたい。

授業風景の画像
授業風景

リガ中央駅の画像
リガ中央駅

スィグルダの画像
スィグルダ

アイスホッケーの画像
アイスホッケー