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大友花 地域教育文化学部 文化創生コース 1年

派遣先大学:ベトナム国家農業大学
派遣期間:平成31年2月25日~3月11日

○日本語教室での活動
 大学の授業は、一日に3回ありました。午前と午後の授業は、他の授業を取っている学生もいるため少人数になる事が多かったのですが、夜の授業は昼間の授業が終わってから来てくれる学生が多く、毎日20人前後の人数が集まりました。毎回の授業で「会話クラス」と「読み書きクラス」の二つに分かれて教えました。会話クラスの人は、ある程度日本語を話せたり聞き取れたりする事ができる学生が集まっており、会話やミニゲームなどを通して、日本語でコミュニケーションを取れるような練習をしていました。読み書きクラスでは、ひらがなとカタカナを教えました。こちらのクラスの学生は、日本語の勉強を始めたばかりの人や、ひらがなとカタカナを網羅している人など、少しレベルに差が見られました。山形大学の生徒が増えるにつれて、現地学生の能力に合わせた少人数ごとに分かれた授業を展開する事ができました。

○日本語教室以外での交流活動
 日本語教室以外の時間のほとんどは、ひなたクラブの人たちと一緒に過ごしました。みんなでご飯を食べたり、買い物に行くなど、大学付近の色々な場所へ連れて行ってもらいました。現地の学生の日常生活を垣間見ることができて楽しかったです。
 週末はチャンアンとバイディン寺に連れて行ってもらいました。出掛けた週末はとても天気が良く、観光日和でした。日本では見ることの出来ない自然の美しさや雄大さを五感で感じる事ができて、心が洗われたような気持ちになりました。その日に見た景色を形として残したいと思い、写真や動画をいくつか撮りましたが、後で見返してみると、実際に見た時の景色の色彩や迫力などは、写真などではなかなか伝わらないものだと感じました。実際に目で見て感じたことを大切にしたいと思いました。
 また次の週末で訪れたハノイセンターでは、ベトナムの民族衣装であるアオザイを着させてもらいました。現地の人たちは、入学式や卒業式などで着るのだと言っていたので、日本の袴や振袖と似ているのではないかと思いました。

〇参加目標への達成度と努力した内容
 私は今回の学生大使のプログラムの中で、現地の学生方と積極的にコミュニケーションを取ることを目標の一つとしていましたが、この目標はほぼ達成できたのではないかと思います。元々人見知りなどはしない性格なので、日本語教室だけに関わらず、できる限り現地の学生方に話しかけたり、輪に入っていくようにしました。現地の学生方とはすぐに打ち解けて仲良くなり、一緒にいてとても居心地が良く、楽しかったです。
 また、特に印象に残っていることは、ある日晩ご飯を食べ終わった後にカラオケ付きのカフェに行ったことです。私は文化創生コースで音楽を専攻しているのですが、それを覚えていてくれたベトナム 人の友人が、一緒にステージで歌おうと誘ってくれました。まさか学生大使のプログラムで、ステージに登って歌を披露する機会があるとは思っていなかったので少し驚きましたが、誘ってもらってとても嬉しかったです。音楽は万国共通だとよく聞きますが、本当にその通りだと感じました。ステージで一緒に歌わせてもらいながら、私が勉強している音楽が、国境を超えて人と人を繋いでいるのだと考えると、音楽をやっていて良かったなぁと改めて思えました。

○プログラムに参加した感想
 学生大使のプログラムに参加して、特に印象に残っていることは二点あります。一つは、現地学生が日本語を勉強することに対して、とても熱心であったことです。日本語教室で居眠りをする学生は一人も見かけませんでしたし、皆さんノートを取りながら集中して私たちの授業に参加してくれました。また、自分用の単語帳を作ったり、歌詞をノートにひらがなで書き出して、日本語の歌を練習するなど、学生一人ひとりが工夫をしながら日本語を学んでいました。留学や働くために日本へ行く予定があるという学生も多く、自国以外の言語を勉強する必要性の大きさを改めて知りました。
 二つ目に、二週間海外で過ごし、日常生活から心身ともに距離を置くことで、普段自分が生きている世界の小ささを感じる事かできた点です。ベトナムで非日常的な二週間を過ごすことで、いつも楽器の練習や勉強などで手一杯になっている私の日常生活を楽観的に客観視できるようになりました。現実逃避というよりは、小さな悩み事や不安を深刻に捉えない心の寛容さが身についたように思います。

○今回の経験による今後の展望
 私は学生大使のプログラムを通じて、多くのことを学ぶことができたと思っています。それが何なのか、帰国したばかりの今では、まだはっきりとは分かりませんが、ベトナムという日本から離れた地で、同年代の方たちが日本語を一生懸命に勉強している姿は、自分にとって、とても良い刺激になりました。この貴重な機会を活かして、自分が大学で勉強していく上でのモチベーションへと繋げたいと思います。
 今回の学生大使のプログラムでは、ほとんどの時間を日向クラブの皆さんと一緒に過ごしました。授業はもちろん、大学外のお出掛けや週末の遠出まで、色々とお世話をしていただきました。日本語を話せる方が多くて助かりましたし、皆さんの細やかな心配りがとても嬉しかったです。山大生の行きたい場所や食べたい物を優先してくれたり、日本人の口に合うお店を選んで連れて行ってくれたり、ベトナム人同士の会話でも、私たちの前では極力日本語を使うようにしてくれたりと、日向クラブの皆さんのお心遣いには本当に感謝しています。
 ある日の会話クラスで、日本へ留学したことがある学生から、「日本人は冷たい」と言われた事がとても印象に残っています。その学生曰く、隣に誰が住んでいるかも分からない日本の環境が、とても寂しく感じたそうです。国は違えど、身内や友人に限らず、みんなで助け合いながら生活をしているベトナムの方々の優しさや気配りの気持ちを、私も含め、日本人は見習わなければいけないと思いました。