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猪瀬健斗 地域教育文化学部 地域教育文化学科 1年

派遣先大学:ベトナム国家農業大学
派遣期間:10日間(令和4年9月1日~9月10日)

1 日本語教室での活動内容
 今回の日本語教室では、各日毎に目標が設定されておりそのレベルまでの日本語を書く、話すといった内容を教えるものであった。私が担当した現地生は既にひらがな、カタカナ共に書くことが出来たため、日常会話や漢字などの日本での生活を想定した授業を行った。授業の内容の例として、「寝る」、「朝」などの言葉を対義語と共に教え、イラストなどを用いてイメージと文字を結びつけインプットしやすくするなど、過去に自分が学んだ教育方法を実行した。現地生の学びたい、知りたいといったものを授業に織り交ぜながら進めることで生徒のモチベーションを向上させつつ日本語のレベルを引き上げる事が出来たと感じた。中でも最も嬉しかったことがある。初日に教えた生徒はとても無口で日本語を教えている最中もあまり喋らなかった。しかし、生徒と一緒になって正解を喜んだりなどをしたことで、次の日から少しずつ口数が増えてきたのである。生徒自身に自分の教育で影響を与えられたことが大変嬉しかった。

2 日本語教室以外での交流活動
授業以外の時間は現地生の日本語勉強を行っている、「日向クラブ」の皆さんに大学周辺を案内して頂いた。ベトナムという異国の地では驚きの連続であった。お店の在り方、物価、車の文化などキリがないほどの違いがあった。お店では、祭りの屋台のように商品や食べものが外に並んでおり、常に客を招いていた。本当に「祭り」と表現するのが適切である。そのため、それぞれのお店に目が移りやすく、迷子になりかけたことが多々あった。次に物価の違いだ。大学周辺の学生街では、1食約3万ドン、日本円では約200円だ。代表食はフォー、生春巻き、バインミーだ。どの食事も日本とは異なり、常に新鮮な気持ちで楽しめた。やはり私はフォーが最も美味しいと感じた。元々ラーメンが好きな私はフォーをとても楽しみにしていた。味付けも薄味で私の舌に合い、永遠に食べ続けられるように思った。車の文化では、歩行者よりも車が優先という違いや四輪よりも二輪バイクの方が多いということにも驚きであった。横断歩道や信号が無く、運転手による状況判断でしか通行できないという危険な場面しかなく常に肝を冷やしていた。これはインフラ整備の不足や制度の不充実が課題であるのかとも思った。

3 参加目標への達成度と努力した内容
 私がこのプログラムで目標にしていたことは、「現地生に紹介することを通じて日本、ベトナム文化をより理解し、文化という形を説明できるようになり、周囲を観察しフィードバックを行えるようになること」だ。結果としては、このようなレポートを書いており、読んでいただいている皆さんに伝えられていると考える。日本では当たり前な衛生面や考え方とベトナムでの当たり前では、似ている箇所もあれば異なる点もある。それを踏まえて今後の自分の生き方にどのように繋げていくか。特に疑問を持ったことがある。客観的と言う言葉があるが、これは主観という枠から抜けることは困難ではないかということだ。客観というのは特定の立場にとどまらないで物事を捉えることだが、これは自分の経験から他人の考えを想像することから始まるのではないだろうか。今回のプログラムで海外の方々の考え方に触れ、より客観の枠が増えた。私は今後、社会に出て様々な考え方を持つ人と接するが、日本人だけでなく、海外の人とも接する。よって、この考えは社会でも役に立つ、また、目標のひとつが達成出来たと思う。

4 プログラムに参加した感想
 まず私が今回のプログラムに参加した理由として、海外という場所から現地の様子を観察すると同時に日本を離れた場所から客観的に観察することが出来ると考えたからだ。ベトナムという国の特性を自分の目で確認することでしか分からないこともあった。だが、現地に行くことで食事や人の特徴や流れなどテレビや本では分からないことも観察することが出来た。特に現地に暮らす「人」について注意して観察をしてみた。分かったことは多々あるが、ベトナムの方々はとても協力的で主体的、また温厚な側面があった。屋台や授業での様子を伺っていると、我々のために席の準備をしてくださったり、言葉が通じなくともジェスチャーや顔の表情から伝えようとする努力がとても印象に残った。日本人と似ている箇所が多々あったが、やはり少し主体的でリーダーシップを持っている人が多いという点が違った。日本人は少しシャイで協調性が高いのでは、と客観視することが出来た。ベトナムでは戦争が1970年頃まで続いており、今も発展途上の最中である。よって、他人ではあっても協力しあっている背景があるためにこのような特製があるのではないだろうか。やはり、価値観や視点というのは同じ場所に留まっていては変えることが難しいという考えが自分の中で確立することが出来た。改めて日本という形、ベトナムという本当の形を知ることが出来た大変大きな意味を持った授業となった。

5 今回の経験による今後の展望
 私は今回の経験から今後もっと多くの国を訪れ、様々な国を見て、人を知り、教育などの現場に活用したいと考える。実際、教育という現場に立つのも良いが、海外で働いてみたいという欲が湧いてきた。また、英語に限らず言語の勉強というものは必要不可欠であるとも感じ、ますます勉強の意欲が掻き立てられた。自分の未知を自分自身で少しずつ開拓する、この行為は現代の若者に必要なスキルなのではないだろうか。少子高齢化や気候変動、大きく社会が動き続けている現代に必要とされている能力もその時代毎に変化し、今、課題解決力、論理的思考が共通テストで求められているように、自身で解決しなければならない社会になっている。ベトナムの方々のように主体性や積極性があるとより自己を主張しやすくなり、良い案が出てくる可能性も十分上がると考える。私は今後も言語の勉強を続け、海外に挑戦したいと考える。国と人を知り、また人に伝えられるように。

今回の授業でお世話になった仲間や先生方、現地の皆さんに感謝や経験を忘れずに再び学んで行こうと思う。ありがとうございました。

日本語教室での漢字の書き取りの画像
日本語教室での漢字の書き取り