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白幡莉南 人文社会科学部 人間文化コース 2年

派遣先大学:ベトナム国家農業大学
派遣期間:9/1~9/10(10日間)

1〈日本語教室での活動内容〉
 毎回、違う学生を相手に授業を行った。各回、参加人数に応じて、一対一で授業をする日もあれば、日本人一人に対して現地学生が四人の日もあった。私が担当した現地学生の方から、「語彙力を増やしたいので、単語を教えてほしい」というリクエストがあったので、動物の名前、色の名前、食べ物の名前などを教えた。発音を何度も繰り返し言葉を発することを大切にした。さらに、授業で出た単語のベトナム語を教えてもらい、互いに教え合い学び合える時間を過ごすように心がけた。
 対一名の授業では単語を教えたり、私が日本語の質問文を作り、それに日本語で答えてもらい添削したりした。現地学生が日本語で何を伝えようとしているのかを注意深く感じ取り、時には英語を交えながら会話をした。難しい会話も翻訳機を用いずに交わすことが出来た際には大きな喜びを感じた。対複数名の授業ではしりとりや対義語クイズを行い全員で話し合い楽しめる授業を作った。
 毎回、授業開始の自己紹介の際、もしくは授業終了前の数分で、好きなアーティストの話や趣味の話、恋バナをして盛り上がり親交を深めた。国や育ちが異なっていても盛り上がる話は同じだと感じた。また、日本のアニメに関心を抱いている学生が多く、話のネタの一つとなり話が盛り上がるきっかけとなった。

2〈日本語教室以外での交流活動〉
 日本文化に興味があり、日本語を学んでいる「日向クラブ」の現地学生が山形大学生の世話をしてくれた。日向クラブの方々と観光地に遊びに行ったり、学校周辺を案内してもらったりした。ハノイの植物園(Bãi đá sông Hồng)で生春巻きとバインミーを手作りしたピクニック、バッチャン村で陶芸体験、大型ショッピングセンタ-での買い物、ハノイセンタ-観光、伝統衣装アオザイの着付け体験など本当に様々な場所に連れて行ってもらった。寮の近くを散歩し、食事を共に楽しみ、カラオケに行って皆で大盛り上がりする日もあった。平日でも学校が休みの学生が遊びに連れて行ってくれた。さらに学校が終わり次第私たちに会いに来てくれる学生も多くおり、毎日楽しい時間を過ごすことが出来た。
 時には、授業終わりの現地学生が私たちの宿泊していた寮に偶然いたので、買い物に行きたいと伝えたところ快くバイクに乗せて近くのスーパーまで連れて行ってくれたこともあった。現地ではバイクは自転車感覚で乗られており、急な方向転換や信号のない場所での歩行者の横断は当たり前に行われており、日本では味わえないスリルを楽しむことが出来た。また、空き時間にコーヒーが飲みたいといえば、寮の近くのおすすめのカフェにも連れて行ってくれた。私たちが行きたい場所、やりたいことには時間が許す限り応えてくれた。
 ベトナムは気温が高く、日中は日差しが強いため、日本人学生の体調を考慮して寮で休憩する時間を十分にとってくれた。この休憩時間に日向クラブの方々は私たちの部屋に遊びに来て、互いの文化の話やたわいもない話をし、UNOやトランプをして遊び、一緒に昼寝をしたりもした。たわいもない、ありきたりな時間が私にとっては大切な思い出となった。
 日向クラブのメンバーは日本に興味があり憧れを抱いていた。「日本に行ったら納豆とラーメンを食べたい」「京都の嵐山に行ってみたい」「日本の桜猫を見てみたい」というように日本に関する知識の豊富さに驚きつつ、それ程の関心を抱いてくれていることに誇らしく嬉しい気持ちになった。

3〈参加目標への達成度と努力した内容〉
 現地の方と積極的にコミュニケーションを取ることを目標としていた。日向クラブの方々は社交的で、三日目には冗談を言い合いふざけ合える大好きな友達となっていた。
 現地の商店街やスーパーの店員は態度が日本とは大きく違い、また、話すスピードや表情から怒っているのか、という印象を受けることもあった。しかし、私が拙いベトナム語でありがとうと伝えると、ありがとうと返してくれた。笑顔を向ければ笑顔を返してくれるし、手を振れば手を振り返してくれた。言葉が通じず、何を考えているか全く分からない人を相手に踏み込んだ行動をとるのは勇気が必要だった。だが、少しだけ話しかけてみる、笑顔を向けてみるというような、その小さな行動や言葉が、国や言葉を超えたコミュニケーションとなり、大きな満足感と幸福感を与えてくれた。日本人だけで買い物に行った際には、英語もうまく伝わらず、翻訳機を用いても理解してもらえずに、異物扱いされ冷たい目線を向けられることもあった。だが、そのようなときも必ず誰かが助けてくれる、何か困っていれば必ず誰かが手を差し伸べてくれる、そんな心温まる経験が出来た。

4〈プログラムに参加した感想〉
 初めは、なんとなく海外に行ってみたいという軽い気持ちだったが、心から大切だと思える友達に出会うことが出来た。日本では感じることのできない楽しさや恐怖、不安と向き合う事となった。慣れない環境や食べ物、言葉が通じない状況に体調を崩し、精神的に不安定になることもあった。帰国時のハノイ空港で急に荷物を掴まれ、日向クラブの友達がお土産にくれたキーホルダーを取り上げられるという怖い経験もした。滞在中は不安やストレスを抱える日々だったが、それでもまたベトナムに行きたいと思うのは、日向クラブの方々と過ごした時間が何よりも大切で楽しいものだったからである。

5〈今回の経験を踏まえた今後の展望〉
 ほかの国や地域にも行ってみたいという気持ちが強くなった。現地の環境や文化に身を任せ、来るものを拒まずに、ありのままを体験していきたいという気持ちが芽生えた。ベトナム滞在中、学区外に出ると、「外国人がいる」「なんかよく分からないこと言っている」という視線を向けられることが多々あった。そのような場面でもう少し流暢に英語を話すことが出来れば、と痛感した。これからより多くの国に赴き学びたいという気持ちを抱いた身として、英語学習に力を入れていきたい。

日本語教室の画像
日本語教室

信号のない場所の横断の画像
信号のない場所の横断

植物園で生春巻きを手作りの画像
植物園で生春巻きを手作り