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白幡こころ 人文社会科学部 人間文化コース 1年

派遣期間:平成30年8月27日〜9月13日

 <日本語教室での活動内容>
 私たちが現地へ着いたとき、先発の学生がすでに授業体制を整えていたので、日本の中学校で使う英語の教科書のトランスレーションを引き継ぎました。
 授業では、前半をトランスレーションに当て、後半は派遣学生それぞれが考えてきた日本語のゲームや折り紙などを行いました。特にアドバンスクラスの方では生徒の使える日本語の語彙が多く、ほとんどのゲームを日本語で行えました。行ったゲームは、しりとり、自分の好きな食べ物のヒントを三つ出し、それが何かを当てる「これは何でしょうゲーム」、宮城県のローカル番組で行われている「お絵かきしまSHOW」などです。
 授業では時制を意識しました。現在形、過去形、未来形、現在進行形などの使い分けは難しいかと思いましたが、現在進行形では「V+〜(し)ている」と書いたホワイトボードを見せながら進めると理解できたようでした。また、日本語では「参加している」など英語では現在形で表す単語を進行形で表すことがあったり、英語では必ずsをつけて区別する複数形が日本語ではあまり重要視されなかったりなど、今まで自分で意識せずに使っていた部分を指摘され、改めて日本語について考える機会になりました。トランスレーションでは日本語訳を敬語に統一していましたが、友達同士での会話ではフォーマルな口調ではない訳し方の方がいいのではないかと生徒の方から提案があり、日本語での一人称の種類や語尾などについても紹介しました。
 派遣学生が多く到着した後半からは、一人の学生に何人かで着くことになり、対話する機会が増えました。ビギナークラスの生徒とは、日本語と英語を交えて日本の文化などの話をすることが多かったです。アドバンスクラスの生徒は、漢字や文法に興味を持っている人が多くいました。特に、漢字では、書き順や音訓の読み方など細かい点まで説明しました。また、「面白い漢字が知りたい」との要望があったので、米寿や白寿の成り立ちについて一緒に考えてもらうクイズ形式で紹介したところ、「面白い」と好評でした。
 ハイジマ先生の授業にも出席させていただき、そこでは日本語の正しい発音やひらがなの書き方をチェックするなどの補助をさせていただきました。

 <日本語教室以外での交流活動>
 まず、私個人としての出来事では、空港からロストバゲージについての連絡が来ず悩んでいたところ、日本語教室の生徒が空港に連絡をしてくれたので荷物の到着時刻を知ることができました。親切に連絡を取ってくれた彼女には本当に感謝しています。
 はじめ、ラトビアの人はシャイだと聞いていましたが、日本語教室で出会った方たちは出会ってすぐにいろいろなところに連れ出してくれました。旧市街にあるおすすめのレストランや展望台、バルト海、現地で有名なチョコレートの博物館など日本とは全く違う景色や匂いを肌で体感することができました。
 また、現代美術館の解説員をしている女性は、職場である美術館の入場無料日に仕事として英語で解説して回ってくれたり、現代美術のイベントや展示があると声をかけて連れ出してくれたりしました。私たちが観光で訪れたら絶対に知ることはできなかった場所やイベントに連れ出してもらったことは、何にも代えがたい経験になったと思っています。
 嫌味を言われることもあり、現地の人との交流は楽しいことだけというわけにはいきませんでしたが、日本語教室の生徒の方や親切な現地の方のおかげでそれも含めての密度の高く充実した滞在になりました。

 <参加目標への達成度と努力した内容>
 私は、このプログラムに参加するにあたり、二つの目標を掲げました。
 一つ目は、日本人が行くからこそできる対話をするということです。授業内での会話で、「日本人であるあなたはフォーマルな口調でなければどのような一人称を使うのか」と言われることがありました。確かに、日本人の一人称は種類が多く、人によって違うものを使っていたりします。派遣学生である私たちの中でもそれぞれで、使う一人称によってどのような印象を受けるかを紹介しました。言葉から感じる微妙なニュアンスの違いなどは教科書の中だけでは知ることができないものだろうと思います。
 二つ目は、日本の文化を深く紹介し、他国の文化についても直接話を聞くことです。一対一の授業内の会話では、ラトビアだけでなくスペインやカザフスタンなどいろいろな国の政治の形態や、宗教のあり方についての話をお互いに話し、聞くことができました。自己紹介をした際、苗字の漢字の由来について聞かれることもあり、日本の苗字の由来で最も多いのは地名だと話すと驚いていました。ラトビアでは花や木の名前を元にした苗字が最も多いそうです。また、労働状況や地震、津波などの話に及ぶことがあり、私たちの話に真剣に聞き入ってくれました。

 <プログラムに参加した感想>
 私にとって、今回のプログラムが初めての出国でした。ロストバゲージなど最初から波乱が待ち受けており、異国の地で自分たちだけで生活するということは不安が伴いましたが、現地の方との交流を通して不安は次第に消えていきました。授業以外での拘束が全くなかったおかげで、日本語教室の方々に自分たちでは知ることが出来なかっただろうという地元のレストランやイベントに連れ出してもらい、より近い目線で現地を見ることができたと思っています。また、はじめは日本語教室の生徒が少なく、派遣学生の方が人数が多いという事態になっていましたが、先発組が率先してホステルなどで知り合った方に声をかけ受講生を増やすという柔軟な対応ができたと感じています。

 <今回の経験による今後の展望>
 私が今後の課題とする一つ目は、英語でのコミュニケーション力の増強です。もともと自分の英語力に自信がなく、引っ込み思案であるため、今回の渡航でも十分に英語でコミュニケーションを取れたとは言い難いと感じました。トラブルの際にも同行の友人に助けてもらうところが大きく、感謝しています。英語がもっと話せれば、日本語の会話だけでは理解してもらえない部分を補うことができ、より深い対話ができたかと思うと、大変悔しいです。
 二つ目は、日本語や日本の文化についての知識をより深めることです。特に、日本語については普段から意識せずに使用している部分を指摘されると、自身でも疑問に思うことが多く、勉強不足を痛感しました。しかし、同時に日本語の奥深さにも気づくことができました。私のコースではこれからも日本文化や日本語について学ぶので、ラトビアで感じたこの思いを大切にして日本語の勉強を続けていきたいと思います。

  最後に、今回のラトビア滞在を大変有意義なものにすることができたのは、ラトビアで出会った皆さんと、ともに過ごした学生大使の皆さん、サポートしてくださった国際交流室の皆さんのおかげです。この場をお借りして御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

日本語教室でのお絵かきゲームの様子の画像
日本語教室でのお絵かきゲームの様子

帰国前夜に地元の人が良く行くお店に連れて行ってもらいましたの画像
帰国前夜に地元の人が良く行くお店に連れて行ってもらいました