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金村駿 人文社会科学部 人文社会科学科 1年

派遣期間:平成30年9月3日~9月17日

・日本語教室での活動 
 私がラトビアに到着した際にはすでに2週間ほど日本語教室が開講されていたため、それまでの方針に従って教室に参加した。
 教室では主に、日本人中学生用の英語の教科書(NEW HORIZON)を用いて英文和訳・和文英訳を行った。私が担当した日本語教室の生徒はすでに日本語を学んでおり、ある程度日本語での意思疎通が可能な人が多かったため、私はネイティブスピーカーとして生徒が訳すのを補助する役割が主だった。和文英訳は卒なくこなせても、英文和訳で上手く和訳できない人が少なくなかったため、日本語や英語を用いて日本語文法を説明した。
 上記の他に、生徒とのコミュニケーションを図るためにフリートークも授業の一環として行った。フリートークでは簡単な日本語(NHKやさしい日本語ニュースのような)を用いて会話を行い、意味がうまく伝わらない場合は英語で補足する形で進めた。日本のサブカルチャーをきっかけに日本語を学びだした人もいたため、そのような話題で話が盛り上がるよう心掛けた。また、高校時代に使っていた日本史の資料集を持参していたため、日本史を学んでいる学生にその資料集を見せて、一緒に歴史について話すなどした。

・日本語教室以外での交流活動
 日本語教室の後、山大生と教室の生徒(社会人)と何回か夕食を共にした。パブでは皆でオードブル料理を食べながら他愛もない話をしたり、20歳になっている山大生はお酒も一緒に飲んだりなどして盛り上がった。また、ファミレスで各々好きなピザを注文し一人一人そのピザを丸ごと平らげるといった日本での外食ではあまりしない食べ方をするなどして、なかなか新鮮な体験ができた。
 食事の他には皆でバルト海にも行った。海にはリガの中央駅から30分ほどで、気軽に遊びに行くことが出来た。浜辺はリゾート整備が進んでおり、秋の風が日に日に冷たくなっていた時期ではあったが、多くの観光客が海水浴をしたり食事をしていたりと楽しんでいた。海に行った際、ラトビア人学生の他、ラトビア大学に留学中のウズベキスタン人の留学生とも一緒に楽しんだ。
 ラトビア滞在中はラトビア大学の外国人向け学生寮に寄宿したため、ラトビア人以外の外国人との会話も何度かあった。トルコ人学生やアフリカ系ポーランド人学生などと話す機会があり、山形に住んでいるとほとんど会わないような国の人々と出会える貴重な経験だった。
 また、日本語教室以外での活動で最も印象的だったものといえば、ハイジマ先生から日本語の授業を任されたことである。ハイジマ先生が用事で授業から抜けなければならないという事があり、私を含めて5人がその授業を引き継いだ。20人ほどの学生が受講しており、その学生を目の前に英語で指示しながら授業を進めた。大人数を前に英語で授業を行うのはもちろん初めてであり、授業の内容は日本語の基礎(平仮名、数字)で、日本語教室のように日本語での意思疎通もできなかったため、かなり緊張して臨んだ。

・参加目標への達成度と努力した内容
 今回の滞在は私にとって初めての海外だったため、日本を離れて生の外国文化に触れるという目標は大いに達成することが出来た。日本を離れることで日本の事を外の視点から見ることができ、自分の思考を今一度客観視し得た。
 リガ市内を散策しながらその都度ラトビアの歴史や文化を調べ、現在のラトビアの発展とその影を知ることができ、自分の知的欲求を高める大きなきっかけとなった。ラトビアは半世紀にも及ぶソ連占領時代があった為に、人口・言語・交通などにその名残がまだ色濃く残っており、日本では実感できない旧共産圏の歴史を身に染みて感じることが出来た。
 日本語教室に参加している人の多くは、すでに日本文化を知っている・興味を持っているといった様子だったが、時折日本につ いてさっぱり分からないが友人の付き添いで来たという学生もおり、そのような学生に少しでも日本のことを知ってもらおうと、日本食や伝統芸能などを説明した。私は花笠サークルに所属しているため、山形にも興味を持ってもらおうと簡単に花笠音頭を踊ることもした。 
 加えて、リガは音楽の街としても有名であるため、国立オペラ座でのオペラ・バレエの公演や大聖堂のパイプオルガンコンサートなど、休日を中心に様々な音楽行事に参加した。格調高い音楽を本場で聞く機会はあまり無いため、とても有意義な時間となった。

・プログラムに参加した感想
 初めての海外滞在がパック旅行のようなものではなく、現地の人と深く関わる機会が多いこのプログラムで本当に良かったと感じた。留学生ではない同世代の学生と関わる機会は多くないため、その点でも刺激を受けた。
 2週間の日本語教室で、改善点や活用するべき教材が多々見つかり、日本人として日本語をより詳しく学びたいと思ったため、今回の滞在を糧としてもう一度学生大使に参加してみたい。過去に学生大使に参加した山大生の中には、様々な国の大学に行って日本語を教えたという人もいたが、私は再度ラトビアに行ってより深い関係性を形成していきたいと感じた。ラトビア大学の教室の関係上、今後ラトビア大学に派遣する山大生の数は絞らざるを得ないという話も聞いたため、その中の一人に選ばれるようこれからの勉学に精進していきたい。

・今回の経験による今後の展望
 日常的に英語を話す生活をしてみて、リスニング・スピーキング能力をもっと伸ばさなければならないと痛感した。リーディング能力は今までの積み重ねからある程度あったが、リスニング・スピーキングはまだまだだと実感した。何となく相手の言いたいことは分かるが、機微までは理解することが出来ずに悔しい思いを何度かした。英語で話そうとしても単語が出てこないことがよくあり、その度毎に携帯電話の辞書で単語を調べた。自分の考えを円滑に伝えることが出来ないもどかしさをバネに今後の英語学習に取り組んでいくつもりである。
 また、ラトビアの公用語ラトビア語はドイツ語の影響を大きく受けており、名詞にそれが顕著に表れている。私は初修外国語でドイツ語をとっているため、単語を一目見て理解できた時は感動した。その感動を胸に今後もドイツ語の学習を進めていき、英語以外の言語の観点から物事を見る能力を養っていきたい。