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大崎教授の海外駐在記「ケニア駐在記(1)」

 2012年10月22日の月曜日に、ケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学(通称JKUAT、 Jomo-Kenyatta University of Agriculture and Technology)に山形大学のサテライト・オフィスを開設しました。両校の交流を図る最前線の基地です。両校の教職員学生が求める様々な情報の媒介基地として利用していただければ幸いです。オフィスは6畳程の広さで、扉を開けておくと、廊下を通りがかった人々が、1歩2歩とオフィスに踏み込み、デスク越しに手を差し伸べ「Welcome to Kenya」と言って去っていきます。

 ジョモ・ケニヤッタ農工大学は、1981年に設立された国立大学で、本部キャンパスはナイロビ郊外46キロのサバンナの真っただ中にあります。ナイロビ空港と市街からはそれぞれ、中国の援助で建設されたフリーウエイが直接に通じています。大学は、最初は農学部と工学部の2学部で始まりましたが、現在は、農学部、理学部、人文科学部、保健学部、情報工学部、建築土木工学部、電気機械工学部、エネルギー環境工学部、生物工学部、等があり、学生2万8500人、教員700人、その他の職員1200人が在籍しています。

 キャンパスの広さは205.8ヘクタールで、中心部には、2階建てレンガ造りの校舎群を主として、工学系の石積みの5階建ての大きなビルディングと、紫の花に包まれたジャカランダなどの花木類が、十分な空間を開けて緑の芝生の中に配置されています。芝生の木陰には、緑色に塗られた椅子と机が置かれ、学生達が本を広げています。赤道直下、標高1800mのこの地は、常春の国なのです。芝生の中を走るプロムナードは、刈り込まれた深紅のブーゲンビリアの生垣で仕切られています。しかし、同じキャンパスも中心部を離れれば、ライオンが潜むサバンナの草原や、チーターがまどろむアカシアの、手のひらを広げたような疎林を連想させる東アフリカの原風景そのものが展開しています。各種の運動施設や、カラフルな洗濯物で綾取られた学生寮群、私の住む平屋建てのゲストハウスも、その一画にあります。

 大学の正門前には、アフリカ情緒たっぷりのローカルな市場があり、1階が商店・飲食店の2階建ての建物も、雑然と連なっています。中には5階を超す大きな建物もありますが、多くは私営の学生用アパートです。ジョモ・ケニヤッタ農工大学は、行政的にはナイロビ市域にあります。しかし、最も近い繁華街は隣のチカ市にあり、近代的な大型スーパー・マーケットもあります。チカ市はパイナップル産業の中心都市で、パイナップルをリヤカーに山盛りに積んで、売り子達が街道を行く車に熱心に声をかけています。

 大きな赤い太陽がキャンパスの西の空を茜色に染め、黒々としたサバンナの大草原に沈んでいく頃、学生達の歌うコーラスの声が、サテライト・オフィスの中にも、静かに響いてきます。

JKUATの正門の画像
JKUATの正門

ジャカランダの花の画像
ジャカランダの花