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大崎教授の海外駐在記「ケニア駐在記(8)」

 工学部の中庭に面した事務棟の窓口に多くの学生が集まり、怒鳴り声がしていました。何事かと近づくと、試験カードの受け取り口でした。12月から賃上げストに突入予定だったJKUATは、政府が直前に折れ、一気に試験シーズンになりました。受験資格は、9月からのセメスターの授業に13週以上出席した学生で、事務の窓口で、出席表と、授業料納入領収書、寄宿舎費納入領収書、を示して試験カードを受け取ります。試験の際には、机の上に常にこのカードを置いておかなければならないそうです。指定された時間内にカードを受け取り損ねると、試験は来年までお預けだそうで、時間がないと殺気立つ学生もいました。試験シーズンが終わると、年末年始のクリスマス・バケーションに入ります。

 JKUATは3部制で、入学期は、1月、5月、9月で、今回試験を受けるのは5月と9月の入学生だそうです。この試験が終わると、5月の入学生は、来年の5月まで4カ月間のロング・バケーションに入り、1月からの新学期は、1月と9月の入学生が受講するそうです。

 日本語クラスも、試験シーズンに入って受講生は一気に減り、出席者は人文科学部のBoniface君と、近所の高校生のFaithさん、他に院生が、忙しい忙しいと言いながら、ぼちぼち来るだけです。熱心に通っていた農学部大学院のJustineさんは、ウガンダからの留学生だったそうで、ウガンダにも山形大学の日本語クラスを作って下さい、と言い残して帰国しました。1月に入ると新入生と1月入学生が戻ってくるから、日本語クラスも受講生が増えるよ、と言われていますが、私の帰国予定日は1月12日です。

 山形大学の学生を日本語チューターとしてJKUATに派遣することを企画している、と話したところ、JKUATは大学構内のゲストハウスを学生の宿舎として提供する、と言いました。皆さん、宿泊費は無料、食費は学食で一食60円です。問題は航空券代ですが、今日の最安値航空券が成田ナイロビ往復10万円です。現在、山形大学が旅費の一部として支援している上限4万円は増額を検討中です。詳細は渉外部国際交流室へお問い合わせ下さい。

 ゲストハウスは、100軒以上ある職員宿舎を数軒流用したもので、3ベッドルームとリビングルーム、キッチン、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ、バス、洋式トイレがあり、130坪ほどの芝生の庭に、拳大の実が房状に実った大きなマンゴーの木が、各敷地に1本2本と植えてあり、赤やピンクのブーゲンビリアや、ピンクや黄色のランタナ、紫の花咲くマサキのような斑入りの葉を持つ植物の生垣に囲まれています。

 私の「進化生態学」の講義は学部では終わり、大学院の各クラスでは「科学論文の書き方」が中心になって来ました。今まで、日本で大学院生の英語論文を随分と直してきましたが、講義と言う形で教えたことはなく、面くらっています。パワーポイントに急遽、内容をまとめて説明していますが、コピーさせてくれ、と今までに5人の学生がサテライト・オフィスにやって来ました。私に論文の書き方を熱く指導して下さったのは、EvolutionやAmerican Naturalistの編集長を歴任した米国Duke University のMark Rausher先生ですが、遥かなる時空を経て、予期せぬ時と場所で、彼の教えを受け売りしています。

試験カード受け取り風景の画像
試験カード受け取り風景

ゲストハウスの庭のマンゴーの実の画像
ゲストハウスの庭のマンゴーの実