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大崎教授の海外駐在記「ジョモケニヤッタ農工大学駐在記5(1)」

 3月6日~18日までの日程で、ケニアのジョモケニヤッタ農工大学に駐在しています。大学はスト中でした。ストは、1月9日に始まった新学期直後の1月19日から始まっており、ケニア全土の33国立大学の教員組合が参加しています。私がまず驚いたのは、私の駐在が始まった5年前に国立大学は7校でしたが、その後、分校の独立と高等専門学校の大学昇格があり、現在は33校まで増えていたことです。
 ストの理由は、教員の賃上げ闘争で、現行の月額5万~20万円の給与を、4年前のストの時に政府が約束した50%に引き上げることを、完全履行してもらいたい、というものでした。今回、政府は40%の引き上げを打診したそうですが、交渉は決裂しました。なお、ストは教員の授業のボイコットで、研究活動や事務職員や技術職員の日常業務は行われています。このストは、12月に始まった国公立病院の医師たちのストに呼応したものだそうで、現在、病院も医療行為を停止中だそうです。
 これらの出来事に私が驚きを示すと、人々は、ケニアは民主主義国家だから、医師も教員もストをする権利がある、と言いました。ただ、民主主義の欠点として、大学教員に定年制がなくなり、若手研究者の就職機会を奪っている、と大学院生が話していました。
 ケニアの大学は3期制で、1月、5月、9月、に新入生を受け入れ、2期続けて授業を受けると3期目はお休みとなります。したがって、今年の1月の新入生は授業をほとんど受けておらず、今期が最後の学生は、4月末の卒業が危ぶまれているそうです。
 スト中は、一切の授業が禁止されており、教育的な目的での教室の使用も禁止されています。したがって、ジョアンさんが開く、週2回の山大日本語クラスも閉鎖されていました。しかし、私が日本語クラスを開くのは黙認されるだろうと、会う人ごとに言われ、7日から毎日2回のクラスを再開しました。ただし、ジョアンさんの参加はスト破りに当たるので、ダメだということでした。ポスター掲示でクラス開講を告げるのも自粛しています。
 3月23日に、日本大使館主催の第10回日本語弁論大会が、ジョモケニヤッタ農工大学で開かれることになっているそうです。恐らく、一昨年度に日本語が履修科目となり、ジョモケニヤッタ大学(農工大学とは別の大学)の日本語教員のリンダ先生が赴任してきたせいだと思います。しかし、この履修コースに参加していない、山大日本語クラスの学生が、去年の9回大会で、1位、2位、特別賞を獲得しており、そのインパクトが影響している可能性を、私は勝手に想像しています。今年の大会には、山大日本語クラスから6人が参加登録をしているそうです。しかし、大学がストのため帰省中の学生が多いそうで、クラスが再開したので、連絡を急遽取るから、弁論大会のための特訓をして欲しい、と言われています。
 7日に、山形大学農学部で、大学院の入学試験の結果が発表されました。この試験を、ベトナム国家農業大学の山大日本語クラスの3人が、私費留学を目指して、日本語で受験していたのですが、合格しました。このことを、ジョモケニヤッタ農工大学の山大日本語クラスで話したところ、「英語でなくて日本語で受験したのか」「ベトナム語は日本語によく似ているのか」「私の日本語力で受験は可能か」などの質問がありました。

開発進む大学の正門前の画像
開発進む大学の正門前

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大学町Jujaのメインストリート