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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記2(5)」

 ラトビアで最も驚いたことは、皆が不愛想なことです。よくよく顔見知りになれば、小さな笑顔を見せますが、見知った顔でも、校舎や寮の廊下、研究室内でさえ、すれ違う程度では、視線は合わせず、合っても即座にずらして終わりです。日本語クラスの学生でも、5分前ににこやかに分かれても、その後、廊下で会っても無反応です。

 これがアメリカだと、校舎どころか、大学のキャンパス内で、見知らぬ人とすれ違っても、笑顔を交わすか、短く挨拶を交わします。私には、見た目にはラトビア人もアメリカ人も同じウエスタンにしか見えないので、両者の態度の違いに、初めは非常に戸惑いました。それを現地の学生に話したところ、「アメリカ人は誰にでも笑顔を見せて、とても軽薄に見える。」「ラトビア人は他人に関心がないのです。」と言われました。

 学生達は、「ラトビアには、人の数ほど異なった考えがある。」と言います。通りの同じ場所で遊んでいる同世代の子供達を見ても、一人一人の遊具は異なり、ローラースケート、スケートボード、自転車、スクーター、と思い思いの乗り物で走り回っています。

 日本語クラスが終わると、他の国々では、学生達は連れだって帰って行き、あるいは、チューターを誘って皆で食事にも行きます。しかし、ラトビアでは、てんでバラバラに去っていきます。同じ学部学科の同じクラスの学生同士でも「あの人は、クラスは一緒だが、友達ではない。」とはっきりと言います。

 困るのは、差し迫った用事のことで問い合わせメイルを送っても、なかなか返事をもらえないことです。ある女子学生に、なぜ、ラトビア人は返事を寄越さないのか、と問うたところ、なかなかメイルをチェックしないので、気づかないのだろう、と言われました。

 私はトラム(路面電車)を使って通勤しています。片道30分の乗車ですが、日本では、電車の中で、若い女性と言えば、ほぼ例外なく携帯を持って画面をじっと見つめています。しかし、ラトビアにはそんな光景はありません。時々、傍若無人に大声で電話をかけている人は、世代に関わらずいますが。

 そんな訳で、ラトビアで人から話しかけられることはほとんどないのですが、先日の深夜、最寄りの店で、きちんとした身なりの、ほろ酔い加減の40~50代の男性に話しかけられました。ゲストハウスから徒歩圏には、大きなモールが3軒、スーパーが数軒、小さなコンビニは沢山あります。どの店も酒類が置いてあり、夜10時までは開いていますが、10時を過ぎると一部のコンビニだけが開いていて、店の隅で、アルコールを立ち飲みできます。

 私は店にビールを買いに行ったのですが、居合わせた酔客達が「あのビールがうまい。」「このビールがうまい。」「10時を過ぎれば、アルコールの持ち帰りは禁止だよ。ばれたら警察に捕まるぞ。」と声をかけてきました。店員はそんな言葉にはお構いなく、ビールを袋に詰めて渡してくれました。その時、一際身なりの良い男性が話しかけて来たのです。

 「あなたは日本人ですか。」「そうです。」「日本人と中国人はよく似ているけど、感じが違うな、と今まで思っていました。その私の受ける印象の違いが正しいかどうかを試したくなったので、聞いてみました。」どんな印象の違いがあるのでしょうかね。

最寄りのコンビニ。の画像
最寄りのコンビニ。

近くのモール。の画像
近くのモール。