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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記2(7)」

 ラトビア空港と旧市街地の間には、川幅500m以上のダウガヴァ川(Daugava)が流れています。海の玄関リーガ港は、バルト海からダウガヴァ川を15キロほど内陸部に遡った、リーガ旧市街地の北のはずれにあり、生物学部から徒歩で10分もかかりません。

 9月3日にラトビアに着いた時、空港には国際交流室ヘッドのAlina さんが、大学公用車の運転手さんと一緒に迎えに来ていました。空港を出て、車がダウガヴァ川にかかるヴァンシュ橋を旧市街地に向かって渡っていた時に、彼女は右後方を振り返り、約700m南の川上にあるアクメンス橋の空港側の岸辺の大きな建物を指さして、「あの大きな建物は国立図書館だが、その後方に建設中の建物が見えないか。」と尋ねました。「それが、今建設中の、ラトビア大学新キャンパスで、自然科学系の5学部が移転統合する。」と言いました。

 その数日後に、国際交流担当のKangro副学長に、午後のお茶に招かれました。その折、彼がまず話題にしたのは、建設中の新キャンパスのことでした。EUからの資金援助で、現在市中に分散している、生物、化学、物理、地学、数学の各学部と医学部の一部を移転統合する、という話でした。私は現在、生物学部のNils学部長の研究室に同居しています。今年、彼は非常に多忙で、研究室で顔を合わすことがほとんどないのですが、「来年の8月か9月に移転するから、次回は新校舎だね」と語りかけて来たことがありました。

 新キャンパスの手前にある国立図書館は、恐らくラトビアで最も大きな建物で、ユネスコの支援プロジェクトとして2008年から建設が始められ、今年の2014年8月29日にオープンしました。先立つ1月18日には、旧館の400万冊の蔵書のうち、2000冊が1万4000人の人間の鎖によって新館に運ばれたそうです。「光の城(Castle of Light)」と呼ばれるガラスで出来たピラミッドのような建物で、「ラトビアの誇り」と言われています。

 「え、まだ国立図書館に行っていないの。」という非難を受けて、新キャンパスの見学がてら、図書館に行ってみました。ダウガヴァ川に掛かるアクメンス橋を渡って、最初の、バス、トロリーバス、トラムの駅が、図書館前でした。12階の直ぐ上が最上階の14階という建物で、1階に体育館のような広い空間があり、右手にクロークが長く続いていました。

 大学を含むラトビアの公共施設で、日本と大きく異なるのは、入り口近くにクロークがあることです。ここでコートや大きな私物を預けます。国立オペラ劇場では、雨の日には、淑女たちはクロークに長靴を預け、ドレスアップにふさわしい靴に履き替えます。

 ラトビア大学の新キャンパスは、国立図書館から徒歩5分ほどの所にありました。山形大学の小白川キャンパスの正面広場ぐらいの空間に、7階建て一部9階のコンクリートの建物が一棟だけ建設中でした。現在、生物学部の校舎は重層な5階建ての建物です。それが、新校舎では5階のワン・フロアーだけで収まってしまうそうです。

 各学部の校舎は、概ね5階建てのレンガ造りで、外壁には動植物や人間の彫刻が施してあり、世界文化遺産都市の街並みに良く溶け込んでいます。私はKangro副学長に、「旧校舎は、中世からの大学の歴史を窺わせるアカデミックな雰囲気があり、私は好きだ」と言ったところ、「新校舎は、近代的なアカデミズム溢れる場所になるだろう」と言われました。

旧市街から望む国立図書館。左手は建設中の新キャンパス。の画像
旧市街から望む国立図書館。左手は建設中の新キャンパス。

建設中の新キャンパス。右手の木の陰に国立図書館。の画像
建設中の新キャンパス。右手の木の陰に国立図書館。