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大崎教授の海外駐在記「ラトビア大学駐在記3(8)」

 10月25日午前3時に、時計が1時間巻き戻されました。この日から冬時間が始まったのです。今年は雨が少なく、暖かい日が続いています。昨年の今頃は、木の葉は散って、冷たい雨が降り続き、道路の窪みには厚い氷が張っていました。

 今年は、雨が降らず、樹木には葉が沢山残っていました。日本のように赤く染まったモミジはほとんどありませんが、街は黄色に輝く葉の中に埋もれていました。「昨年は雨が多くて、きれいな紅葉はなかった。だけど森でキノコが沢山取れた。今年は雨が降らないので、木の葉がいつまでも残っていて、とても綺麗だ。」と、言う人がいました。

 しかし、25日の深夜に大きな雷の音がして、窓に激しくヒョウが当たりました。朝になると、地面一面に沢山の葉がうず高く積もっていました。普段の朝だと、道や公園は綺麗に掃き清められているのですが、この日は一日中、落ち葉が取り除かれませんでした。

 帰国が迫り、呼ばれたり、呼び出されたり、呼んだりと、人と会う機会が増えました。その結果、通りの外から眺めていただけの旧市街地を、建物の中に入って見る機会が何度かありました。私の住む新市街地の住環境とはあまりにも違い、その違いに戸惑いました。

 私が住む新市街地は、500~600坪以上の敷地の古い住宅街と、剥き出しのレンガ作りの5階建てのアパート群が、パッチ状に続く地域です。アパート群と言っても、各アパートの周囲には沢山の木立や森があります。過去2回のラトビア駐在時には、新市街地のラトビア大学のゲストルームに滞在したのですが、今回は、民間のアパートに住んでいます。

 アパートは、ラトビア大学のゲストルームと同じような作りで、日本の公務員宿舎によく似た2DKの小さな部屋とバス・トイレがあります。日本と異なるのは、ドアは二重で、内側のドアには3個のカギが、外側のドアにも1個のカギがついています。旧ソ連時代に大量に作られた、無装飾の無愛想なアパートで、旧ソ連圏ではよく見る建物です。家主は非常に若い夫婦で、夫がしばらくカザフスタンに出張するので、その間、奥さんは友人宅に泊まって、家財道具の揃った部屋を貸出したい、ということでした。

 一方、旧市街地の建物は、隙間なく隣り合った4・5階建てのレンガ作りで、レンガの上に漆喰を塗ってあります。外観は、時間を経て黒ずんだものが多いのですが、窓の形や、壁の装飾で、ロマネスク、ゴチック、ルネッサンス、バロック、ロココ、それらの折衷、と様々な建築様式が取り入れてあり、見ていて飽きません。部屋の中に入ると、思いの外、明るく広く、訪れた家の一軒は3DK でしたが、DKに当たる部屋は100㎡を優に超えていました。建物の裏には、駐車場を兼ねた洒落た中庭がありました。

 日本語クラスにやってくる中高生は、旧市街地の住人が多いです。10月の下旬は、中学高校の試験シーズンが終わり、1週間の秋休みに入りました。彼らの多くは家族と一緒に海外旅行に出かけて行きました。昨年は日本へ行った学生もいました。残った学生を家に呼び、着物を着る会を開きました。7人が集まりました。この学生達が着物姿をFacebookに載せたので、各地の日本語クラスの学生達から、次回来るときには、ぜひ着物を持って来てくれとの要請が殺到しています。

旧市街の住居。の画像
旧市街の住居。

新市街の住居。の画像
新市街の住居。