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大崎教授の海外駐在記「ペルー駐在記(7)」

 2013年5月25日に、山形大学の3人の先生方がリマに来られました。リマ市にあるサン・マルコス大学、国立工業大学、ラモリーナ農業大学の3つの国立大学と協定を結ぶためです。この3大学は、ALIANZA ESTRATEGICA という同盟関係を結び、共同で奨学基金を確保して、学生を海外の協定大学に留学させています。山形大学は国際化の一環として、留学生を積極的に受け入れるために、この3大学と協定を結ぶとともに、山形大学各学部の紹介をするために、スペイン語の堪能な先生方を派遣してきました。

 小白川を代表して来られたのは、人文学部の坂井正人先生で、文化人類学者です。ペルーで約20年間、遺跡の発掘調査をされているそうで、現在はナスカの絵文字を研究されています。工学部からは綾部誠先生が来られました。経営開発学が御専門で、ペルーの隣国ボリビアに約20年間関与され、新たな工業大学の立ち上げなどに尽力されました。農学部はラリー・ロペス先生です。ラモリーナ農業大学の卒業生で、約20年前に国費留学生として来日されました。御専門は森林気象学で、モンゴルの森林を研究されているそうです。

 3大学では学長に会い、協定書を交わし、学部長や学生に、山形大学各学部の紹介と、留学制度の説明をしました。例えば、サン・マルコス大学では、50人以上の学生が説明会に参加して、その後30人以上の学生が、山形大学の3人の先生を囲んで、熱心に質問をしていました。さらに、派遣団の一行は、私立のカトリカ大学をも訪問し、副学長と留学に関する大学間交流の促進を話し合いました。

 私はスペイン語が全く分かりませんが、派遣団の先生方は、相手方の主要なメンバーが英語を話す場合には、内容が私にも分かるように英語で話し、相手が英語を話さない場合は、スペイン語で話すというように、英語とスペイン語を自在に切り替えながら、話し合っていました。私は派遣団団長代行として、中央に座っていただけでした。

 途中、リマから440キロ離れた、地上絵の山形大学ナスカ研究所を、1泊2日の日程で訪れました。レンタカーで走るナスカに至る道は、灰色の岩山と砂丘の連続で、一木一草も生えておらず、月の世界とはこんなものなのだろうかと想像しました。しかし、アンデス山脈から流れ下る水を利用した灌漑施設が発達していて、砂漠の所々に広大な農園があり、生産されるジャガイモやアスパラガスは、日本への主要な輸出産物だそうです。

 ナスカでの2日目の早朝、まだ私が寝ている間に、3人の先生方は、車で1時間ほど離れたイタリア隊の調査地に、チェーン・ソーを持って出かけて行きました。発掘された木材の断片をもらうためで、年輪から当時の気候を測定するそうです。私は近くの飛行場でセスナ機をチャーターして、空からナスカ台地に描かれた地上絵を観覧しました。灰色の台地に白い線で描かれた地上絵が14個、くっきりと鮮やかに見ることができました。

 ナスカ研究所は2階建てで、6室のベッドルームがありました。屋上に出ると、人口約10万の、日干し煉瓦でできた茶褐色のナスカの街と、街の三方を囲む灰色の禿山が望めました。暮れなずむ街を眺めていると、バーベキューを囲みビールを酌み交わす、山形大学とペルーの学生達の姿が、思い浮かびました。実現したい光景です。

サン・マルコス大学で学生の質問を受ける先生方の画像
サン・マルコス大学で学生の質問を受ける先生方

ナスカ研究所の屋上からの展望の画像
ナスカ研究所の屋上からの展望