ささえるひと #06

玉手英利&学生有志

玉手新学長と語り合う、
山形大学の魅力と未来。

2020.04.15

 玉手新学長と語り合う、 山形大学の魅力と未来。

2020年4月の学長就任を前に学生たちと語り合う場を持ちたいという玉手新学長の希望によりこの座談会が実現した。玉手新学長と学内外で活躍する人文社会科学部3年生(新4年生)の有志3名が車座になり、終始リラックスしたムードでそれぞれの学生生活や大学のこれからについて語り合った。「明るく楽しい大学に」新学長の端的な目標のもと、山形大学が新たな一歩を刻む。

玉手新学長と話をした学生3名の写真

山形大学の学生たちは
こんなふうに学生生活を
がんばり、楽しんでいる。

玉手 4月から学長に就任する玉手です。私の専門は生物学ですので、人文社会科学部の皆さんとは、はじめましてですね。私は、生まれも育ちも宮城県仙台市で、ここの理学部には2003年に着任しました。自然豊かな山形は、生物学を研究する者にとっては最適な環境だと思ってやって来ました。皆さん、山形での大学生生活はどうですか。 
山本 山形の自然もそうですが、私は人の良さに魅力を感じています。地元のお祭りやイベントなどに参加したいと言うと受け入れて、歓迎してくれるんです。ただ、情報が入ってくるのがちょっと遅いかなとは思います。 
大友 生活圏が集約していてちょうどいいというか、暮らしやすいです。スーパーも病院も徒歩圏内にあって、仙台とのアクセスもいいですから。
掛川 私にとってもちょうどいい、コンパクトシティですね。玉手先生は、どんな大学生活を過ごされたんですか。 
玉手 実は、バンドをやっていました。本を読むのも好きでしたね。今も趣味は音楽で、ゼミの学生から教えてもらって、スマホで今どきの音楽をダウンロードして聞いています。髭男やBiSH、椎名林檎が特に好きですね。漫画やアニメも好きでよく観ますよ。皆さんは、大学の勉強以外ではどんなことを頑張ったり、楽しんだりしていますか。
山本 「山形大学マガジン」でおなじみの学生広報部YUM!の部長をしています。大学のイベントを紹介したり、この「みどり樹」にも学生コーナーがあって、取材や記事制作もしています。それから、大学の風景をSNSにアップしているので、皆さん、ぜひフォローしてください。学外では、学生サポーターとして新庄市の様々な活動に参加させてもらいました。そこで山形の人の温かさを実感して、今後も何らかのカタチでつながり続けたいと思っています。また、求人を支援する企業でインターンシップを体験しました。合同説明会を企画・運営したり、インターンシップに参加しながらもエントリーに至らなかった学生の分析を行うなど、採用する側の目線で就活を体験することができました。

山本さんのYUM!での活動の様子

山本さん:学生広報部YUM!の活動中。サークル取材やイベントスケジュールを確認。

掛川さんの留学先での様子

掛川さん:以前に山形大学に留学していた友人とエストニアで再会し、笑顔のふたり。

大友さんの留学先での様子

大友さん:ミャンマーの友人と正装である伝統衣装を着て、礼拝に訪れた。

海外経験のチャンスが豊富
最初の一歩を踏み出せば
2回目からは気軽に海外へ。

掛川 私は、2年から3年の夏にかけて、1年間エストニアに留学しました。他にも大学生という立場をフルに生かして、様々な海外体験プログラムに参加していて、もう15カ国に行きました。一部は大学が提供してくれたチャンスで、選抜で選ばれるために良い成績がとれるよう、普段から勉強は頑張っています。趣味は料理を作ることです。食に関心があって留学先では日本料理パーティを主催したり、様々な国の人からその国の料理を教えてもらったりしていました。将来は、海外の人を受け入れる上で壁になりやすい食文化の違いなどに配慮した、フードバリアフリーに関係した仕事に就ければいいなと思っています。
大友 私は、トビタテ!留学JAPAN地域人材コースでミャンマーと山形新聞社でのWインターンシップを経験しました。掛川さんと同じように海外に行けるチャンスはどんどん活用しています。また、復興・創生インターンとして石巻市の水産業を盛り上げる活動に参加したり、東根市の空き家を活用したゲストハウスAgasuke Houseの企画・運営にも携わっています。
玉手 皆さん、学内外の活動に積極的に参加していて頼もしいですね。
山本 2人の海外経験はスゴイですね。私も行きたい気持ちはあるんですが、なんだか怖くて。どうしたら一歩踏み出せるでしょうね。
掛川 治安が良い国に行くといいですよ。エストニアはとても安全。山形より安全かもしれません。
大友 山形大学は留学の機会にとても恵まれていると思います。それに、競争率が低いというか、だいたいは希望が叶うみたいです。 
玉手 良い意味でも悪い意味でも、競争が少ない大学ではありますね。やる気があればチャンスはつかめます。でも、自分で意識しないと、そのチャンスにすら気づかない。もったいない話ではありませんか。山本さんが部長を務めているYUM!でもどんどん情報発信してくれるといいんじゃないでしょうか。
 海外体験といえば、私も大学院生時代にアメリカ横断した経験があります。ホテルを使うと高いので知り合いやその友人の友人やら、次々に紹介してもらって泊まり歩きました。言葉では苦労しましたが、なんとかなるものだと自信がついて、次からは躊躇しなくなりましたね。

山本さんの今後の目標

こうなれば、もっと良くなる!
山形大学の今後に望むこと
学生目線で見えてきたもの。

玉手 ところで、皆さんは「山形大学にもっとこうなって欲しい」というような要望はありますか。ぜひ、学生さんたちの生の声を聞かせてください。
掛川 留学のチャンスをたくさん与えてもらえるという点ではとても感謝しています。ただ、留学の前後で語学の授業がもっと充実していればいいのにとは思います。エストニアに行った際、自分が思っていた以上に話せなくて、1年間でそこそこ話せるようにはなりましたが、帰って来てしまうと、その維持は難しいです。 
玉手 なるほど。語学力、コミュニケーション能力の強化という部分ですね。ほかには? 
山本 学生と教職員との間に少し距離を感じます。学生も教職員ももっと楽しい雰囲気の中で勉強や仕事ができると、お互いにとってプラスだと思うんですが。 
玉手 確かに。学生が1万人弱規模の大学であれば、もっと近しい感じになれそうですけどね。ゼミの先生と学生は非常に仲が良かったりしますよね。その親密さが全体的に広がっていけばいいんですけどね。もっと日常的に学生と教職員がふれあえる機会があるといいのかもしれません。ある人類学者の説によると、人間が自然にコミュニケーションできる人数は約200人と言われています。その辺も意識しながら少し考えてみましょう。 
山本 生物学が専門の新学長ならではのアプローチに期待しています。

大友さんの今後の目標

学生や教職員はもちろん
地域の人々にとっても
重要かつ明るく楽しい大学へ。

玉手 今度は、皆さんから私に聞きたいことがあればお答えしますよ。 
大友 では、玉手新学長は山形大学をどんな大学にしていこうとお考えなのでしょうか。ぜひ、お聞かせください。
玉手 おお、鋭い質問ですね。私は、この大学に来る前は、1989年に開学したばかりだった石巻専修大学で教えていました。それまで大学がなかった街に大学ができたことで大いに活気が生まれて、街がガラッと変わったといいます。東日本大震災の復興にも大学の施設が活用され、卒業生たちが大いに活躍したとも聞いています。それだけ大学は地域を支える大きな存在なのです。山形大学は歴史がある分、あって当たり前の存在になっていますが、山形大学が山形県や南東北にとってどれだけ重要な存在かを改めて伝えたいと思っています。新しい技術や医療分野での貢献はもちろん、文化の拠点としても存在感を発揮できればと考えています。国や人が豊かであるためには文化的豊かさが欠かせませんから。そして、学生の皆さんにとっては、大学に来ることが楽しみになる、一言でいえば「明るく楽しい大学」にしたいと思っています。大学には、勉強の他にもサークルや友達など様々な要素があると思いますが、大学からのお仕着せではなく、学生たちが自主的に楽しめる環境づくりが課題だと考えています。まだ漠然としていますが、私の専門である生物学や生態・環境学がバックグラウンドにありますから、それらを駆使して具体的な戦略を打ち出していきたいと思います。責任重大なので怖さもありますが、ワクワクもしています。

掛川さんの今後の目標

新学長が身近な存在に
それぞれの目標に向かって
飛躍する山形大学2020!!

玉手 まだまだお話ししていたいですが、最後に、今日の感想と皆さんの2020年の目標、抱負を聞いてトークを締めくくりたいと思います。 
山本 新学長は、とても知識の幅が広く、若い感覚をお持ちなので驚きました。もっといろいろ話をしてみたいと思わせてくれる学長ですね。今後の抱負は、縁を大切に。「出会えてよかった」と思ってもらえる人になること。嘉太(かった)という自分の名前にちょっと掛けてみました。そして、大友さんと掛川さんの話を聞いて「学生のうちに必ず外国へ行くぞ!」と決意を新たにしました。 
掛川 大学の学長というととても遠い存在と思っていましたが、とても話しやすくて楽しい時間でした。今後は、まず就職活動をがんばります。それから、アフリカ大陸ルワンダ行きを目指しています。
大友 私も学長が話しやすい方で、とても楽しかったです。音楽や漫画の趣味も私たちに近くてびっくりしました。今の目標は、もうすぐ4年で就活に向けてソワソワしてきましたが、周りと比べることなく自分がやりたいことをちゃんと選択したいと思っています。それから、大学生だからできることを自分の意志でやり遂げたいです。これからも学長とお話ししたい時は、歓迎していただけますか。 
玉手 もちろんです。学生の皆さんと接することで、自分もリフレッシュできている感覚があります。大学で働く最大のメリットは、つねに若い世代と接することでいろんな新しいものを吸収できることだと思っています。教職員の皆さんもそう捉えてくれると、さきほど、山本さんから出た学生と教職員の距離感というものも縮まるような気がします。逆にいえば、学生の皆さんにとって教職員は人生の先輩にあたるわけですから、意外とおもしろい話が聞けたりするかもしれませんよ。そういう機会や環境をつくらないと難しいのかもしれませんが。いろいろ考えてみましょう。私も皆さんとお話しできてとても楽しかったです。いただいた宿題もしっかり持ち帰ります。では皆さん、大学生最後の1年、悔いのないようにいろんなことにチャレンジして、楽しんでください。今日はどうもありがとう。 
学生一同 ありがとうございました。

玉手学長

山形大学を明るく楽しい大学に。

ダンスをする学生やパフォーマンスを披露する学生……、自由で楽しい空気に包まれたキャンパス。まだ、漠然としたイメージですが、私の中にはこんな理想像があります。小山前学長が実践された「学生目線」の大学運営を踏襲しつつ、私らしいアプローチで具体的な戦略を打ち出していきます。ご期待ください。

小白川キャンパスの様子

つづきを読む

たまてひでとし

たまてひでとし●宮城県出身。東北大学大学院理学研究科修了。専門は、進化生物学、生態・環境、生態遺伝学。理学部長、小白川キャンパス長を経て2020年4月学長就任。趣味は漫画と音楽で、ポップカルチャーへの造詣も深い。

やまもとかった

やまもとかった●福島県出身。人文社会科学部経済・マネジメントコース3年(新4年)。学生広報部YUM!代表。新庄市での学生サポーターや求人支援企業のインターンシップなど、多方面の活動を体験。

かけがわりん

かけがわりん●宮城県出身。人文社会科学部グローバル・スタディーズコース3年(新4年)。エストニア留学をはじめ、南米、トルコ等、海外経験豊富。趣味は料理で、食のバリアフリー関連企業を志望。

おおともはなこ

おおともはなこ●宮城県出身。人文社会科学部グローバル・スタディーズコース3年(新4年)。トビタテ!留学JAPANでミャンマーと山形でのWインターンシップを経験。その他、課外活動にも多数参加。

※内容や所属等は、座談会を実施した2020年1月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.77(2020年3月発行)にも
掲載されています。

[PDF/4.7MB]

「みどり樹」一覧はこちら

他の記事も読む