ささえるひと #07

たくさんの支援者の皆様

コロナ禍に届いた多大なご支援、
感謝の心で社会に、地域に恩返しを。

2020.10.15

コロナ禍に届いた多大なご支援、感謝の心で社会に、地域に恩返しを。

世界中が新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機にさらされる中、わが山形大学もさまざまな困難に直面した。経済的に困窮する学生や物資不足に逼迫する医療現場など。しかし、ありがたいことに各方面から「学びを止めるな」と多大な支援が寄せられたのだ。ここに厚い支援の数々をご紹介し、心からの感謝を表すと共に今後の更なる成長と恩返しを誓う。

経済的に困窮する学生を支援
新設制度を支えた緊急募金。

 例年であれば、新入生を迎えてキャンパス内は1年で最も活気あふれる2020年4月、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために入学式は中止となり、前期の授業は原則オンラインで行われることとなった。4月16日には緊急事態宣言が全国に拡大され、山形県内の経済活動も大幅に減速。アルバイトの喪失や減少、実家の収入減などで大幅な減収を余儀なくされた学生も少なくない。大学では新型コロナウイルスの影響で生活が困窮する学生に対して、緊急支援として一人当たり一律10万円を修学支援金として無利子で貸与する奨学金を新設した。第一次募集はすぐに定員200人に達し、一次同様の定員で二次募集も行われている。
 その原資となる山形大学基金では、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的困窮学生支援のための緊急募金のお願い」として、玉手英利学長が『山形大学は、どのような状況においても未来を担う人材である学生を育て、大学の使命である教育・研究・社会連携を続けてまいります。社会全体が経済的困難に直面しておりますが、明るい未来への希望を繋ぐために、皆さまのお力添えを賜りますように、お願い申し上げます』と訴えた。皆さまから多大なご支援を賜り、緊急募金(第一次)については、5月29日までに募金件数265件、募金額14,578,000円に上った。さらに、引き続き第二次緊急募金をお願いしており、8月31日時点で募金件数389件、募金総額は21,757,000円に達している。幅広い年代の卒業生や教職員、保護者などさまざまな人々から寄せられているという。玉手学長は、この多大な支援に深く感謝するとともに、今後も学生の経済状況を見ながら追加支援を検討していきたいとしている。

山形大学学生・教職員・関係者からの感謝のメッセージ1

ニーズに即した物資による支援
贈呈の場面には感謝と笑顔。

 物資による支援も相次いだ。例えば、農学部の同窓会組織・鶴窓会は同学部や企業・団体などと協力し、鶴岡市内在住の学生延べ324人に米とレトルトカレーを贈った。賛同した会員や生産者有志、JA庄内たがわなどが計1,620キロを超える米を提供し、産学官連携で交流のある丸善食品工業(東京)がレトルトカレー1,200食分を用意してくれたのだ。受け取った学生からは「4月はアルバイトが全くなかった。主食の支援はすごく助かる」と感謝の笑顔がこぼれた。このほか、各団体・企業から留学生や寮生に支援をいただいている。
 また、本学附属小学校・中学校・特別支援学校の児童生徒には、「子どもたちにマスクケースを贈るプロジェクト実行委員会」から抗菌マスクケースが寄贈された。新しい生活様式に欠かせない存在となったマスクを子供たちに衛生的に使用してほしいという思いから、山形市内を中心とした地元企業・団体の皆さまのご厚意によるもので、耐久性・耐水性に優れ、環境にも優しい素材でできた可愛らしいデザインのマスクケースが準備された。加えて、学校運営に役立ててほしいと、在校生の保護者からマスクやハンドジェルの提供も複数いただいている。さらに、工学部では東日本大震災で被災し、福島県浪江町から長井市に移って酒造りを続けている酒造店からアルコール消毒液の寄贈を受けた。2011年に米沢市内に一時避難した酒造店社長が、工学部の学生有志から冷蔵庫などの無料提供を受けたことへの9年越しの恩返しとして話題になった。その他にも、山形県・各市町村からの実家を離れて暮らす学生へのお米の提供、留学生への乾麺提供など、行政、企業・団体、個人からさまざまな思いのこもった支援が寄せられたことが新聞記事等でも度々取り上げられ、本学のホームページでは随時紹介するとともに心からの謝意を表している。

山形大学学生・教職員・関係者からの感謝のメッセージ2

医療従事者に安全と癒しを
逼迫する附属病院に届いた物資。

 最も多くの支援物資が寄せられたのは、このコロナ禍の最前線で奮闘を続け、医療物資不足という困難にも直面していた医療現場、医学部附属病院だった。附属病院は、新型コロナウイルス感染症への対策を行いつつ、がん治療などの高度医療を提供する役割も担う特定機能病院。マスクや防護服などの医療資材不足という困難も重なり、かなり逼迫した状況にあった。医療現場への敬意とエールのこもったサージカルマスクやフェイスシールド、サージカルキャップなどが企業やNPO法人、山形県日中友好協会から多数寄贈された。また、緊張の続く医療現場でホッと一息をと、コーヒーや菓子の提供も受けた。さまざまな支援物資に感動し、現場スタッフの士気が高まったことは言うまでもない。
 皆さまからの多大なご支援の数々を、山形大学に対する期待と激励と受け止め、学びを止めることなく「withコロナ」下にあっても希望を胸に一層研鑽を積み、地域貢献、社会貢献による恩返しをと心に刻んでいる。

玉手学長

支援の広がりに心からの感謝を
~「withコロナ」時代の
新たな学びに向かって~

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、多くの学生が苦境に直面するなか、山形大学でも緊急の学生支援を実施してきました。学生支援を目的とした山形大学基金には、学内外から多くの寄附を頂戴し、卒業生や在学生のご家族、そして地域の皆様の「学生の学びを支えたい」というメッセージと温かな心の広がりに、学生・教職員を代表して心より感謝申し上げます。どのような状況でも学生のひたむきな学びを止めることなく、「withコロナ」時代の大学の役割を果たせるよう、これからも大学全体で継続的な支援に取り組んで参ります。ぜひ皆様のご理解とお力添えを賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

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※内容や所属等は2020年9月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.78(2020年9月発行)にも
掲載されています。

[PDF/4.3MB]

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