Pro-environmental behavior.

■環境関連の社会貢献活動

 山形大学では「自然と人間の共生」を理念とし,さらに「地域に根ざし,世界を目指す」というスローガンを掲げています。そのことから地域社会との連携の一環として,地域における環境アドバイザーや山形県の環境審議会委員を担う教員が多く在籍しています。また,学外の一般の方に向けての公開講座や子供向けの事業等を積極的に行っており,環境関連の科目も数多く開催しています。それらを通じて地域全体での環境マインドの醸成を促し,やがては世界全体での「自然と人間の共生」の実現を目指していきます

■山形県の環境審議会委員等
(山形県 環境白書等より抜粋)

山形県環境審議会委員:7名
山形県公害審査会委員:4名
山形県環境影響評価審査会委員:6名
山形県環境アドバイザー:9名


■一般向け公開講座・大学開放事業等(環境関連)
(平成17年4月1日〜平成18年3月31日)
生活と環境の科学シリーズ I
資源のリサイクルを考え、実践する
 -空き缶を溶かしてモノを作ってみよう-
地域教育文化学部
17.9.3(土)〜17.10.8(土) (全6回) 中学生以上の生徒と親のペア
 20世紀は大量生産、大量消費の資源浪費型社会を形成しましたが、それは、地球環境に多大な負荷を与え、今、地球はその負荷の重さにあえいでいます。一度消費したゴミや廃材をもう一度資源として、再利用する循環型の社会の形成が21世紀の人類に課せられています。多くの人々がそのことに気づき始め、資源浪費型社会から循環型社会への移行を模索し、実戦を始めています。
 本公開講座では、受講生自らが使用済みの発泡スチロールを切り刻んで、自分の気に入った鋳型を作成します。そして、ジュースやビールの空き缶(アルミニウム製)を集めて、溶かし、鋳造して、なにか、自分の気に入ったものを作ります。

大教養人をどう育てるか
-地域教育部科学部と草木塔精神-
地域教育文化学部
17.6.10(金)〜17.7.15(金)(全5回)
一般市民
 新生の地域教育文化学部は,21世紀の山形県の教師像である大教養人を,どう育てるのかにある。大教養人とは少子高齢社会の教師理念でもあり,従来の学校教育ばかりではなく,生涯教育や家庭教育などの地域教育にも大きく参加することとなる。「いのちの教育」を核心とする山形教育と,「自然と人間の共生」を教育理念とする山形大学とを結ぶのは,「草木塔」精神を措いてない。山形文化が生み育てた「草木塔のこころ」を,豊かに次世代に伝承していくことで,大教養人を育てたい。

講演の様子(学部HPより)

親子で考えるための理科教室
地域教育文化学部
17.6.11(土)〜17.7.9(土)(全5回)
親子
 科学教育充実の底上げを図るため,家庭における科学教育の涵養を計画する。子どもたちの自然現象に対する興味や関心を喚起させたり,持続させたりするには,お父さん,お母さんに科学の見方や考え方を涵養することも重要な視点である。そこで,本講座では,小学校の教科書で取り扱われている内容から,物理,化学,生物,地学領域の実験を取り上げ,お父さん,お母さんが子どもと一緒に実験・観察,さらには「どうしてそうなるのか?」について理論の構築をしたりするなど,科学の方法を体験してもらう。その結果として,食事時,団欒時で,子どもと一緒に,日常生活で普通に見られる現象を,「どうして。不思議だな。」という視点で考えたり,調べたりするといった科学の話題で弾む家庭の築きを目的とする。

実験の様子(学部HPより)

 「健康と長生きの先端科学」
理学部
17.6.11(土)〜17.6.25(土)(全3回)
一般市民・大学生・高校生
 理論上、人間の寿命は120歳といわれていますが、実際にはそんなに長生きできないのが現状です。その原因の1つが生物ラジカルです。健康で、長生きするためにこの生物ラジカルといかにうまくつきあっていくか、実生活に結びつく例をあげて講義します。
講義内容(理学部HPより)
「体内で作られる一酸化窒素(NO)は両刃の剣」
(財)山形県産業技術振興機構 BiFRSプロジェクト研究統括  吉村 哲彦

右端の三日月型の図はマウスの上腹部(肝臓)で撮られたNOの画像(電子スピン共鳴法による)
 一酸化窒素(N0)は常温で気体のフリーラジカルで、大気汚染物質の一つです。一方、からだの中でNOはNO合成酵素によって作られています。恒常的に作られている微量のNOは、生命・健康を維持するのに不可欠ですが、多量に作られると様々な病気に関係することが知られています。このようにNOが関係する多様な作用を評価するためには、細胞、組織、器官におけるNOの濃度と分布に関する知識が必要です。講義では、体内のNOの測定例を具体的に紹介します。
「活性酸素からの防御に働く遺伝子」
山形大学大学院医学系研究科教授  藤井 順逸

SOD1遺伝子を欠くマウス(左)の顔面には自然に炎症が現れる
 私達は酸素無しでは生きて行くことができません。しかし、酸素呼吸の結果として老化やいろいろな病気の原因となる活性酸素が生じます。それに対して防御しないと、細胞が破壊されたり遺伝子に変異が起ったりするため、やはり生きて行けなくなります。こうした防御には、抗酸化ビタミンなどの低分子化合物と、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)やカタラーゼといった活性酸素を除去する働きがある酵素遺伝子が関わっています。
 今や健康番組でも馴染みが深くなった活性酸素からの防御がどのようになっているか紹介します。
「ウーロン茶高分子ポリフェノールのすばらしい能力」
筑波大学大学院生命環境科学研究科教授  沼田 治

左図はコントロール、右図は高分子ポリフェノールで処理した繊毛虫テトラヒメナ。点状に並ぶミトコンドリアが活性化している。
 我々はウーロン茶や紅茶に含まれる高分子ポリフェノールがミトコンドリアを活性化することを発見しました。ミトコンドリアは生物が生きるために必要なエネルギーを生産する細胞内の小さな工場です。高分子ポリフェノールはミトコンドリアを活性化して細胞を元気にする能力があるのです。この高分子ポリフェノールをゾウリムシの仲間のテトラヒメナにかけると泳ぐ早さが早くなります。また、マウスの精子にかけると精子の鞭毛運動の速さも早くなります。この講義では高分子ポリフェノールのすばらしい能力について紹介いたします。
「健康を守るウコギのパワー」
山形県立米沢女子短期大学教授  山田 則子

ウコギ
 古来より「医食同源」と言われるように、食物の機能には栄養や嗜好の面での働きとともに、体の調子を整え病気を予防する働きがあります。ウコギは上杉鷹山公が植栽を奨励したと伝えられ、その葉は野菜として利用されています。ウコギ葉にはポリフェノールや食物繊維などの機能性成分が多く含まれ、ウコギ葉の摂取によりさまざまな疾病が軽減されることが明らかになっています。
 ここでは生活習慣病のなかでも増加の著しい糖尿病の予防食品としてのウコギの有用性についてお話します。
「最上紅花と健康について」
東北公益文科大学・大学院教授  平松 緑
 
紅花畑と紅花を使った料理(三色花咲き米)
 山形県花、最上紅花は江戸時代に日本一の生産を誇り、唯一の換金作物でした。染料、化粧料、生薬、油料、食、花卉として現在も使用されています。とくに生薬では血液循環促進作用、免疫賦活作用、抗腫瘍作用などがありますが、紅の花びらには活性酸素を消す抗酸化作用があります。活性酸素は老化および生活習慣病(癌、脳卒中、心臓病など)に深く関わっています。健康に生きるためのヒントを、「食」からわかりやすく説明いたします。
「新しい産業を創出する人に優しい科学技術」
山形県文化環境部学術振興課 科学技術政策主幹  藤原 茂樹

 


 産学官の連携により製品化された(株)マイクロトモグラフィー社の「眼底診断装置」

 

 高齢化の進展に伴い健康や長生きへの関心が高まってきています。このようなニーズに応えていく研究は重要であるとともに、産業面でも大きな市場となっており、戦略的に取り組んでいく必要があります。このため県では、将来を見据えてライフサポートテクノロジー(生命生活支援工学)などの研究開発を進めてきており、検査・分析機器や食品などの開発において成果を生み出すとともに、医療、創薬などの分野においても実用化・産業化を目指しています。将来の産業や雇用の創出に向けた県の科学技術政策の足跡と今後の展開について解説します。
「病気治療に挑戦I」
山形大学理学部教授  長谷川 典巳

タンパク質の合成に不可欠な転移リボ核酸(tRNA)の分子モデル
 遺伝子の本体である核酸、DNAについては知らない人はいないでしょう。核酸には、DNAとは異なるRNAという別種の核酸が存在しています。主なRNAとして、mRNA、tRNA、rRNAなどがありますが、これらはのRNAはいずれもタンパク質の合成に密接に関わっていることが知られています。ところが、RNAが酵素機能をもつことや、mRNAに結合して、(病気を引き起こす)タンパク質の発現をじゃましたり、病気の原因となる物質に結合して、病気を予防したり治療したりできるような天然には存在しないRNAを人工的に作り出すことができるようになってきました。このもう一つの核酸、RNAにスポットを当てて、RNAの基礎からRNAのもつ新しい機能についてお話しします。
「病気治療に挑戦II (うつ病・キレル子供たちとBSE)」
山形大学理学部教授  西田 雄三

「酸性雨」で枯れ木が目立つ乗鞍スカイライン。 [うつ病・キレル子供・BSE」と同じ原因で起きている。
 現在、BSE(狂牛病)との関連で「米国産肉牛の輸入」について日本とアメリカとでもめています。昨今の新聞紙上では、 [うつ病・キレル子供たちの増大]が大きな社会問題となっています。最近の研究から、これらの病気に共通する発症因子として「脳における鉄イオンの代謝異常」が指摘されています。ここではこれらの病気の発症過程を簡単に説明し、予防策としての「日々の生活、特に食生活の改善点」を中心にしてお話します。
「健康維持のメカニズムと生物ラジカル測定」
山形大学工学部教授  尾形 健明

「生物ラジカル消去力の強い植物ポリフェノール」と「生物ラジカル測定用ESRシステム」
 人間の理論寿命は120歳ですが、実際は不可能です。それは、空気の21 %を占める酸素が変化した生物ラジカル(活性酸素・フリーラジカル)に原因があるからです。これは、ウイルスなどの侵入細菌を殺すのに貢献する一方、癌・動脈硬化・糖尿病・炎症などの様々な病気を引き起こすと共に、老化を促進する毒性を持った化学種でもあります。
 この講義では、生物ラジカルを操って健康を維持する方法と、生物ラジカルを測定する最新の方法を紹介します。
「発生、老化のメカニズムと健康測定」
山形大学客員教授・(株)機能性ペブチド研究所所長  星 宏良

胚細胞には老化はないが、体細胞は老化する。
 老化は誰にでも起き、逃れることは出来ません。生物個体には寿命がある一方で、生殖、発生を介して世代を越えて子孫を存続させる術を獲得してきました。本講義では、特にヒトを含めた哺乳動物の発生、老化のメカニズムについて、最近分子、細胞レベルで明らかにされた興味深い知見について解説いたします。また、細胞を用いた抗酸化作用などの健康評価法により、食品中の老化予防成分の探索などについても紹介します。

高分子とナノテクノロジー
−ものづくり研究の最前線−
工学部
(東京サテライトにて開催)
17.8.5(金)
一般市民・高校生
大学生・企業研究員
 ナノテクノロジーとは,ミクロンよりも小さい100万分の1ミリという超微小単位で設計し,加工・計測する技術です。IT・エレクトロニクス分野,環境・エネルギー分野,医療・バイオなどの重要分野の発展に貢献しつつあり,21世紀の産業革命を生み出すものと期待されています。この講座では,高分子材料を中心としたナノテクノロジー研究開発の最前線を,高校生,大学生,社会人の方々に容易に理解していただけるように紹介し,解説します。加えて,企業の研究員には共同研究の検討時間を準備します。

五感で感じる農業 農学部
17.6.11(土)〜17.6.25(土)(全3回) 小学生から大人まで
 生産生体制御学講座は,生物系3分野(植物病理学,動物生態学,栽培土壌学),工学系3分野(農地物理学,水文環境制御学,生産機械システム工学)から成る。本公開講座では各分野の研究内容を学生ホールに展示し,参加者に実際見て,触って,嗅いで,味わってもらいそれらを知っていただく。場合によっては実験も行う。
平成17年度のプログラム
テントウムシの行動を科学する 安田 弘法(農学部教授)
土の中の水の動きを探る 安中 武幸(農学部助教授)
生き物が豊かな田んぼをつくる 花山 奨(農学部助手)
土の不思議 角田 憲一(農学部助教授)
身近な水質をはかってみよう 飯田 俊彰(農学部助教授)
梶原 晶彦(農学部助手)
植物の病原菌を覗いてみよう 生井 恒雄(農学部教授)
さくらんぼはゆすって落とせるか 赤瀬 章(農学部教授)
ダダチャマメの美味しさを測る 夏賀 元康(農学部助教授)

やまがた発!在来のくだものとやさい
-とびきりの四季、紹介します-
農学部
(東京サテライトにて開催)
17.12.4(土) 一般市民
ミニ講演<春夏秋冬>
 春-さくらんぼ「サトウニシキは日本一有名な在来品種!?」
  (農学部教授 平 智)
 夏-だだちゃまめ「早生から晩生まで20種類以上あります!」
  (農学部助教授 江頭宏昌)
 秋-ラ・フランス「実はフランス生まれの山形人」
  (農学部助教授 村山秀樹)
 冬-温海かぶ「焼畑で作る赤かぶ」
  (農学部附属演習林長 小野寺弘道)
○休憩 おいしい在来作物の試食
○公開トーク「在来作物は生きた文化財」
 パネリスト:小野寺弘道、赤澤經也(農学部附属農場主事)、村山秀樹、江頭宏昌、平 智

公開シンポジウム
津波と海岸林−インド洋津波に学ぶ−
農学部
17.11.5(土)-6(日) 一般市民
 11月5日(土)、6日(日)に農学部11月祭(大学祭)が開催され、その特別企画として、公開シンポジウム「津波と海岸林−インド洋津波に学ぶ−」が実施されました。
 今回のシンポジウムは、昨年末のインド洋津波で多くの国々が甚大な被害を受けたことにより、本学独自で調査隊を結成、学長裁量費を利用して8月にスリランカの被災地の現地調査を行ったことの報告会でもあります。

山形の魅力再発見パート3 山形大学都市・地域学研究所
17.6.4(土)〜17.6.25(土)(全4回) 一般市民
 本講座の狙いは,「山形」という土地柄を,経済学・歴史学・農学・工学・医学・看護学の観点から,受講生の皆さんと考えることにあります。講義では,山形大学の4学部にわたる8人の教授・助教授が,それぞれの専門分野に基づいて,「山形」を論じます。
平成17年度のプログラム
森敦の文学空間〜〈庄内〉から、〈庄内〉へ〜
中村三春(人文学部助教授)
古代の山形で、人々はどう生きたのか 三上喜孝(人文学部助教授)
炭焼き藤田とあこや姫〜山形の伝説〜 菊池 仁(人文学部教授)
蔵王坊平におけるスポーツ医学的取り組み 大貫義人(地域教育文化学部教授)
生活習慣と糖尿病予防 富永真琴(医学部教授)
山形の親と子の歴史:子育て観と虐待の視点から
森岡由起子(医学部教授)
食品素材にみられるポリフェノールと健康機能 五十嵐喜治(農学部教授)
野菜と健康 高樹英明(農学部教授)

トワイライト講座
「サイエンスセミナー」
理学部
17.4.15(金)〜18.2.3(金)(全30回) 高校生・一般市民
 理学部では,学部の授業科目「サイエンスセミナー」を高校生や一般市民の方々に「トワイライト講座」と題して,広く開放しています。「サイエンスセミナー」とは,理学部の数理科学,物理学,物質生命化学,生物学,地球環境学の5学科の学問領域について,その相互のより一層の理解と関係の強化を軸に,自学科の領域だけでなく他学科の学問領域に触れることにより,より幅広い発想と創造性を養うことを目的とし,主として理学部2学年を対象に開講されているものです。数学,理学分野に興味のある方,大学の講義に触れてみたい方の受講を募集しております。

講義の様子(学部HPより)

サイエンス・サマースクール inやまがた 理学部(後援:山形県教育委員会)
17.8.9(火)〜18.8.19(金)(全7回) 高校生
 理学部では,高校生の夏休み期間を利用して,体験型講座「サマースクール」を開講しています。高校生の皆さん,最先端の科学実験を体験し,科学の面白さに触れてみませんか。県内外を問わず,多数の参加をお待ちしております。

高温超伝導体の実験(学部HPより)
平成17年度のプログラム(理学部HPへリンクしています。)
宇宙の不思議をのぞいてみよう 柴田晋平(理学部教授)
滝沢元和(理学部助手)
放射線のA・B・C
櫻井敬久(理学部教授)
齋藤和男(理学部教授)
自分の遺伝子を見てみよう!
  −簡単にできるDNA実験−
玉手英利(理学部教授)
渡邉明彦(理学部助教授)
エステル合成
  −くさい臭いは良い匂い−
槙 雄二(理学部教授)
栗山恭直(理学部助教授)
岩石が語る壮大な地球のドラマをのぞいてみよう! 中島和夫(理学部助教授)
高温超伝導体の不思議を体験してみよう
佐々木実(理学部助教授)
長坂慎一郎(理学部助教授)
大西彰正(理学部助教授)
海洋微化石から古環境を探ろう リチャード・ジョルダン(理学部助教授)

ひらめき☆ときめきサイエンス
-大学の研究室へようこそ-
KAKENHI
理学部・工学部
(後援:日本学術振興会)
17.8.9(火)〜18.8.19(金)(全7回) 中学生・高校生
 中学生・高校生が、現在、活躍されている研究者と大学の最先端の研究成果の一端を見る、聞く、触れることで、学術と日常生活との関わりや、科学(学術)がもつ意味に対する理解を深めていただく機会を提供するプログラムで、平成17年度より実施しています。
平成17年度のプログラム(日本学術振興会HPへリンクしています。)
光る物質を作ってみよう 城戸 淳二(工学部教授)
ゲームで体験、実験で理解する、
生き物の進化の不思議
玉手 英利(理学部教授)


子ども向け事業