INTEGRATED REPORT 2022 山形大学 統合報告書2022

地域とつながる山形大学 #02

未来へ羽ばたく「スチューデント・ドクター」たち

Education教育の取り組み

学生と地域の人々をつなぎ、多様な「共育」環境を生み出す学びを提供

 山形大学では、多彩な教育の取り組みを通じ、地域・社会のコモンズとして、学生と地域の人々をつなぎ、多様な「共育」環境を生み出しながら、学生が自分の成長を実感できる学びを提供しています。

 医学部では、全国共通の試験により能力を担保された学生を「スチューデント・ドクター(Student Doctor)」と任命し、参加型の臨床実習を積極的に推進しています。本学ではこの「山形県広域連携臨床実習協定」を全国に先駆け2009年に導入。2012年には大学病院だけでなく市中病院も加わり、3病院からスタートした連携先は現在14病院に拡大しました。全ての病院が同じ学生評価基準を用いたり、運営会議を経て患者の同意の取り方等、細かな点までフォローするといった臨床実習の質を担保する点も高い評価を得ています。医学生への教育効果は高く、医学部卒業生の県内定着増加にも貢献しています。今後も本学の医学生が最新の医療技術と医療知識を学ぶ環境を提供し、医療の質と向上、ひいては県民の生活の質の向上の面から、県民すべてが高度な医療を受けられる体制の維持を目指すべく努めていきます。

 「フィールドワーク 山形で働く魅力(プレインターンシップ) (山形から考える)」では、早期からの学生インターンシップを実施しています。この活動は、キャリア意識と学習意欲を高め「働くとは何か」を考えることを目的に、2014年から県内中小企業団体と連携して実施しているものです。

山形で働くことの魅力を知るプレインターンシップの様子①

山形で働くことの魅力を知るプレインターンシップの様子②

山形で働くことの魅力を知るプレインターンシップの様子③

山形で働くことの魅力を知るプレインターンシップの様子④

 一般的なインターンシップが大学3年生頃に興味のある企業への就職体験を目的にしているのに対し、ここでは地域の中小企業の魅力理解や働くことを考えるための次年度へのステップと位置付け、全学部1年生を対象に基盤共通教育の選択必修科目としている点が特徴です。学生と受け入れ企業双方からの評価は高く、受け入れ企業においては、社員の意識変化や組織の採用力向上を促進するきっかけとなっています。今後も学生と企業の社員が「共に学び、育ち合う」共育型のインターンシップを目指し、産学連携による人材育成の発展につなげていきます。

 最後にご紹介する活動は「山形大学学生チャレンジプロジェクト」です。これは、学生の創造性・自主性・積極性を高め、大学や地域との関わりを深めることを目的とし、学生からプロジェクトを募集、採択されたものには1件につき30万円までを活動資金として支援するものです。2022年8月には、「地域を元気にする」「山形大学を楽しくする」「自分(たち)の夢をかなえる」をテーマに全件11のプロジェクトが採択され、学生たちによるエネルギッシュなプロジェクトが始動しました。

 このような取り組みを通じ、社会のいかなる変化にも対応できる「深く考え実行する力」と「果敢に挑戦する心」を持ち、他者と力を合わせて持続可能な幸福社会を創り上げる人材を育てています。