INTEGRATED REPORT 2022 山形大学 統合報告書2022

T O P I C S飯田キャンパス

東日本重粒子センター 本格稼働
~多症例のがん治療が可能になりました~

東日本重粒子センターでは、2015年に開始した次世代型重粒子線がん治療装置の開発が終了し、2022年10月1日からは、予定していた全ての症例に対し重粒子線がん治療を実施しています。
導入した治療装置は、
①超電導電磁石を用いた世界最小型回転ガントリー照射装置
②新開発の超小型のスキャン二ング電磁石による、高速3次元スキャニング照射
③省エネルギー型シンクロトロンと少人数スタッフ対応のeasy-operationシステムの導入
④省設置スペース設計まで実現した世界最小の設置面積などの先端技術が組み込まれ、すでに韓国の2大学に同型装置の設置が進められ、今後、「山形モデル」として、世界展開を目指す性能を有しています。

重粒子線がん治療は、重粒子線(炭素イオン線)をがんに照射してがん細胞を死滅させる最先端の治療方法で、
①がん細胞を殺傷する効果が高い
②正常臓器への負担が軽減
③短期間で治療できるなどの特徴を有しており、本センターは、東北・北海道地区で唯一の治療施設で、また、世界で唯一の総合病院と直結した患者さんにやさしい治療施設でもあります。本センターでの重粒子線がん治療は、2021年2月に前立腺がんの治療を開始し、2022年5月以降は、回転ガントリー照射装置の運用を開始し、頭頸部腫瘍を始めに順次症例を拡大、現在は、図に示した全ての症例の治療を行っています。
2022年9月末現在で、すでに547症例の治療が終了しており、600症例/年の治療を目指しています。さらに、今後は、本治療装置を活用した新たながん治療についての研究も進めることにしています。

◯山形大学医学部東日本重粒子センター HP
https://www.id.yamagata-u.ac.jp/nhpb


新型コロナワクチン接種協力への感謝状贈呈

山形市は2021年6月から7月にかけて、山形ビッグウイングを会場として新型コロナワクチンの集団接種を行いました。山形大学医学部(以下、医学部)では、教職員・学生が予診、薬液充填、ワクチン接種、会場誘導などを担当し、関係する機関の方々との連携により、約29,000人の山形市民の皆様に接種を行うことができました。その結果、2021年9月1日時点での2回目接種が終わった住民の割合が56.6%(全年代対象)と全国主要都市の中で最も高い都市となりました。(日本経済新聞調査結果)
2021年10月28日には本集団接種への協力に対して、佐藤孝弘山形市長から上野義之医学部長に感謝状が贈呈されました。
医学部では、本件以降も県内自治体の集団接種事業へ教職員を継続的に派遣しており、引き続き新型コロナウイルス感染症終息のため貢献してまいります。