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山形大学将来ビジョンの発行にあたって

山形大学は、1949年の開学以来、常に、大学の進むべき方向性を自らに問い直しながら、社会の期待に応えるべく全力で教育・研究・社会貢献に取り組んできました。

いま、私たちの社会は、産業構造と自然環境が急激に変化する、予測不能で不確実な時代を迎えています。そして、新型コロナウイルスによるパンデミックは、人と人のつながりに大きな影響をもたらし続けています。しかし、このような将来が見通しにくい状況でこそ、大学は明るい未来への道のりを見定めて、前に進まなければなりません。「山形大学将来ビジョン」は、山形大学が掲げる「地域創生」「次世代形成」「多文化共生」の3つの使命を果たすために、地域社会と共に歩む大学の真の在り方を心に刻むべく策定したものです。

山形大学将来ビジョンのキーワードは“つなぐちから”です。

明るい未来を切り拓く新たな知・新たな価値を生み出すためには、社会に存在する様々な壁を大胆に軽やかに越えて、人と人、異なる知と知を”つなぐちから”が必要です。大学は、その力を発揮するために存在しています。人新世と呼ばれる激変の時代、いまこそ、大学の存在意義に立ち返り、社会の紐帯となって活躍する大学を目指して、「つなぐちから。山形大学」を本学が描く将来像に掲げたいと思います。

将来像へ向かうためには、大学の在り方自体を大きく変える必要があります。

一瞬のうちに世界中で知が共有される現代社会において、大学が知を占有する教員と学生の「教室」だった時代は終わりました。大学は学生・教職員と地域・世界の多様な人々を時間と空間を越えて”つなぐ”「コモンズ」として、様々な個人・組織に対して質が保証された「知」のサービスを提供する事業体となるべきだと考えています。

山形大学が目指すべき「コモンズ」とは、多様な人々・組織や課題をつなげて、協働で新たな知の創出や問題解決を行う知識集約型社会のグローバルな結び目(ハブ)となること。さらには、世代や立場の異なる地域の人々をつなげて、地域で受け継がれる知識・経験をもとに、新たな価値を生み出す地域コミュニティの拠点(コア)となること。この二つを実現する大学づくりを進めます。

新しい大学の在り方の下で、学生には、山形大学での学びを通じて、幸せな未来を自ら思い描き、他者と協力してそれを実現する力と心を身につけてほしいと考えています。豊かな地域文化と雄大な自然に恵まれた山形こそ、自分らしい生き方を見出す最前線の現場です。キャンパスライフで様々なことに挑戦し、自らの可能性を大きく広げることを願っています。

社会に大きなインパクトを与える真のイノベーションは既存の価値観や施策にとらわれない自由な思索から生まれます。そのために、学生・教職員の自由な発想を尊重し、未踏の課題に取り組む研究を時間をかけて育てたいと考えています。

 “つなぐちから“がもたらす未来として、「持続可能な幸福社会」を将来ビジョンの副題に掲げました。幸福社会の在り方には、様々な選択肢が考えられます。幸福の定義も多様、尺度もひとつではありません。山形大学は長期的な活動を通じて、科学的なアプローチで幸福の解明や向上に貢献する大学として、独自のアイデンティティ(存在意義)を確立することを目指します。人口減少社会の先にある持続可能な幸福(well-being)を実現するために、どの道のりを選ぶのか。地域の様々な人々と共に考え、共に働いてまいります。