ホーム > 大学紹介 > 学長室だより > 2021年度入学生へのお祝いとメッセージ
新入生のみなさん、入学おめでとうございます。また、みなさんをこれまで支えてこられたご家族の皆さまにも、心からお祝い申し上げます。山形大学の教職員一同は、みなさんを同じ学びの場に集う新たな仲間として、心から歓迎します。
新型コロナウイルスの感染拡大により数多くの社会的な活動が中止や自粛を余儀無くされ、新入生のみなさんは複雑な思いや不安を抱え、この春を迎えられたと思います。
本来であれば、入学式の会場で、みなさん一人一人のお顔を見ながら直接お祝いをお伝えし山形大学にお迎えしたいと考えていましたが、新型コロナウイルス感染症が未だ終息の兆しが見えない中で、1000名を超える新入生のみなさんに一つの会場に集まってもらうことは、これからの授業を開始する上でも影響が大きいと判断し、止むを得ず入学式の開催を中止するという苦渋の決断をいたしました。
山形大学では、キャンパスでの学びを重視しています。みなさんには、同級生や先輩、教職員との直接的なコミュニケーションを通じて、多くのことを学び、様々な経験を積んで、自分の可能性を大きく広げてほしいと願っています。そのために、コロナ禍のもとでも、みなさんが安心して大学生活を過ごせるように、山形大学の教職員一同、全力でサポートしていきます。
このメッセージでは、みなさんがより充実した大学生活を過ごされるように、みなさんに期待することを3つお伝えしたいと思います。
1つめは、「自分の学びを考える」ということです。
大学での教育はみなさんの知的関心と自律性を尊重することを大切にしています。大学生には、授業の時間割を自分で考え、一日の生活のなかで自分が立てた計画に従って学習を行うことが求められます。授業科目や学び方も多様なので、どのような学習を行うのかは、自分で選択することになります。このように「大学での学び」では、みなさんが何を学びたいのかを自分自身で深く掘り下げて考えること、つまりみなさんが「自分の学びを考える」ことを前提としています。
みなさんの長い人生の中で、一番、「自分のために使える時間」が多いのが、大学時代です。社会に出れば、日々の忙しさから、自分の興味のあることについてじっくり学ぶための時間を取ることは難しくなるでしょう。大学生活という貴重な時間を大切に使って、自分の興味や関心の幅を広げる「主体的な学び」の楽しさを感じ、自分で学び続ける習慣を身につけてほしいと思います。
2つめは、「他者とのつながりを大切にする」ということです。
キャンパスは様々な人々との出会いの場です。山形大学には、日本各地、世界各国から、様々なバックグラウンドを持つ人たちが集っており、様々な活動に積極的に取り組めば取り組むほど、年齢や価値観、言葉や文化などが自分と違う多くの人たちとの関係が生まれます。大学で知り合った仲間との友情や地域での活動で出会った人たちとのつながりは、その後の生涯にわたっての財産となります。
大学生活では、新たな体験をするチャンスが数えきれないほどたくさんあります。まずは目の前の小さな興味から出発してみるのも良いでしょう。アンテナを高く張り、自分からチャンスを掴み取る姿勢を大切にしてください。試してみたら夢中になれることが必ずあるはずです。これまで経験したことがない様々なことに挑戦してください。いま、コロナ禍の中で、学生サークルをはじめ、学外でのフィールドワークなど、一部の活動が制限されていますが、山形大学は、様々な感染防止対策を講じて、みなさんのキャンパスライフを支えます。
3つめは、「正解のない問題を考える」ということです。
高校までの勉強では、「答え」が存在する問題を解くことが多かったのではないかと思いますが、大学では、「正解が未だない問題を解く」ための勉強をすることになります。大学を出て、社会生活の中で直面する問題のほとんどに、絶対的な「答え」はありません。みなさんが社会に出て働き、問題に直面した時、その解決のために様々な方法を考えることになりますが、そこに「正解」のような唯一の解決策は存在せず、いくつかの解決策の中からより良いと思われる方法を選択し、練り上げ、問題に対応していくことになります。
「正解が未だない問題」は世の中に多くありますが、コロナ禍に対して社会がどう立ち向かうかは、まさにその典型例です。感染拡大防止と経済活動が相反する問題を解決するために、いま世界中が模索をしていますが、正解はまだ見つかっていません。みなさんには、大学の学びの中で、こうした正解が未だない問題に立ち向かう力を身につけてほしいと思います。どんな状況にあっても諦めず粘り強く考え、最善の解決策を見出していく力です。
山形大学では、学部に入学するみなさんには、入学後の最初の1年間に学ぶ「基盤教育」の中で、自分の考えを形成し、判断する力を身につけるための科目をたくさん用意しています。また、大学院に入学するみなさんは、学部生の時に身につけた知識を更に深め、研鑽する機会を用意しています。ぜひ、よく学び、よく悩んで、問題を解決する力を身につけてください。
最後に、みなさんにお願いがあります。
パンデミックが未だに終息しない中で、みなさんには引き続き、日常生活での感染防止対策を徹底するようにお願いします。みなさんが安心して大学生活を送れるよう、授業やサークル活動、施設の利用等において、大学は様々なルールを設けています。そして、学生のみなさんにとって重要な情報を、WebClassやホームページで随時お伝えしています。ご家族の皆さまを含め、大学のホームページ等をチェックし、大学からの大事なメッセージを受け取れるようにしてください。
やがて困難な日々は終わります。それまでの間、自分と、周囲の大切な人のために、社会の一員として、いま何をなすべきかを自分で考え、責任ある行動をとっていただくよう、心からお願いいたします。
今日から、大学生としての新たな生活がスタートします。これから多くのことを経験する中で、時には自分一人では解決できないことや、苦しいこと、つらいことに直面するかもしれません。そんなときは、友人や、私たち教職員に相談してください。私たちはみなさんとのつながりを何よりも大切に考え、みなさんの支えになりたいと思っています。
みなさんが、山形大学で充実した日々を過ごされることを心より願い、私の歓迎の言葉といたします。